G7 で、一番経済が、落ち目の三度笠の、ドイツが、

 

「円安・為替」のため、GDP、4位に陥落か???

 

 

 落ち目の三度笠のドイツに円安のためGDP抜かれたら、”日本の恥”

 

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世界第3位の経済大国は定位置にあらず、停滞するドイツにGDPで逆転間近の現実

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経済の低迷で「戻ってきた病人」と揶揄されるドイツ(写真:AP/アフロ)

 

 

 

 

 IMF(世界通貨基金)の世界経済見通し(WEO)で、ドル建て名目GDPの絶対額で日本がドイツに追い抜かれるという見通しが示された。  歴史的な円安の結果であり、日独逆転は為替変動の影響だが、成長率が横ばいの日本に対してドイツは着実に経済規模を積み上げてきてきた。そもそも今の円安が一過性という保証はない。  日本とドイツの差は、為替次第でいつでも入れ替わるようなものになった。日本は世界第3位の経済大国というステータスを守ってきたが、それも定位置ではなくなりつつある。  (唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)

 

 

  【著者作成グラフ】日本とドイツの名目GDPの推移。IMFの予測ではドイツに追い抜かされるという予測が示された 

 

 

 

■ ついに日独GDP逆転予測が 

 2023年初頭から、「2023年は日独GDPが逆転する年になる可能性がある」という話題が注目を集めていた。2022年10月のIMF世界経済見通し(WEO)以降、「大幅に進んだ円安によって日本のドル建てGDPが顕著に縮小する」と見られていたことが背景にある。  

 

その後、今年1月、4月、7月とWEOは更新され、いよいよ今月の改定では2023年以降、ドル建て名目GDPの絶対額に関して、日本がドイツに追い抜かれる見通しが示された(図表(1))。  

 

【図表(1)】 

 図(1)で示しているように、日本のドル建て名目GDPは2021年から2022年にかけて一段切り下がっている。言うまでもなく歴史的な円安の結果であり、日独逆転は為替変動を受けた価格効果の帰結とも言える。  過去10年を振り返っても、日独GDPの差が極端に拡大した時期(2012年前後)では円相場が史上最高値を付けていた。ドル建てGDPの比較は多分に為替変動の影響を受ける。  

 

 

こうした過去の経緯を踏まえ、今回の逆転はあくまで市況の乱高下を受けた一過性のスナップショットと考える向きもあるかもしれない。

 

 

そういった主張もある程度は理解できる。

  2012年時点のドル建て名目GDPに関して言えば、日本はドイツよりも8割弱も大きかった。

それが10年余りで追いつかれ、逆転されるに至ったのである。2012年時点でこの展開を予測できた者はごく少数だろう。

同じこと(再逆転)が今後10年で起きるという主張も一蹴できるものではない。 

 

 しかし、「一過性のスナップショット」だったとしても十分大きな出来事ではある

 

 

 

■ 人口7割のドイツに抜かれるという屈辱 

 2010年には日本が中国に抜かれて世界第3位の経済大国に転落するということが話題になったが、中国に抜かれるのとドイツに抜かれるのでは意味が全く異なる。 

 

 

 経済成長の源泉は

 

(1)労働力、

 

(2)資本、

 

(3)全要素生産性(TFP)だ。

 

(3)が容易に変わらない以上、

 

(1)と(2)で成長率格差は規定されやすく、

 

人口で圧倒的に勝る国に抜かれること自体、

「来るべき時が来た」という側面もある。  

 

 

 

この点、日本の人口は1億2462万人であるのに対し、

 

中国は14億1140万人、

 

米国は3億3514万人と

 

日本より経済規模の大きな国は人口規模もはるかに大きい(人口は2023年10月のWEOで使用されている前提と同じもの)。  

 

 

これがそのまま(1)労働力の格差になるのだから、

 

名目GDPの規模で中国や米国と競うこと自体がそもそも難しい。  

 

 

しかし、ドイツの人口は8389万人であり、

日本の7割弱にとどまる。

それほどの人口差を持ちながら経済規模で抜かれてしまうという事実は、

それなりにショッキングである。  

 

 

上述の(1)~(3)で言えば、

近年の日本は(1)労働力の縮小が低迷の主因と指摘されてきた。

それでも人口が多い分、

(1)労働力で優位にあるはずの日本がドイツに抜かれてしまったということはやはり

 

(2)資本や

 

(3)全要素生産性(TFP)の劣化が著しいという可能性を示唆する。  

 

 

もちろん、ドル建てで比較している以上、

多少の変動は割り引く必要はあるが、

「為替要因なのでドイツとのGDP逆転は問題ない」という話にはならないだろう。

 

 

 

■ 円安による影響と一蹴できないこれだけの事情

  第一に、両国の差は確実に詰まってきたという経緯があった。

  図表(1)を見ても分かるように、

1990年代後半以降、日本のドル建てGDPがはっきりと拡大したのは2008~2012年の5年間に限られており、これはリーマンショック後の超円高局面と完全に符合する。基本的に為替変動がなければ日本のGDPは横ばいが基本だった。

 

  一方、ドイツは着実に右肩上がりで規模を積み上げてきた。

そうして積み重なった「地力の差」に2022年以降の歴史的な円安相場が加わったことで、たまたま2023年、日本の背中を捉えるに至ったというだけの話だろう。  大きな円安がなかったとしても両国の差は徐々に縮小する傾向にあったことは忘れてはならない。  

 

 

第二に、円安が一時的という保証はない。

  今回の日独GDP逆転を「為替の価格効果(円安)を受けた一時的なもの」という評価は論者によってはあるかもしれないが、それには「円安は一時的」という前提が必要である。  

しかし、過去の本コラムへの寄稿を通じて執拗に論じている点ではあるが、本当にそうなのだろうか。  

 

パンデミック直前(2019年末)と

2023年8月末で比較した場合、

 

名目実効為替相場(NEER)で約▲23%、

 

実質実効為替相場(REER)で約▲30%も下落している。

 

ちなみに、同期間の円は対ドルで▲30%以上下落している。  

 

これほど下落した通貨は世界でも極めて稀だ。

 

少なくとも国際的な準備通貨の目安と見なされるIMFの特別引き出し権(SDR)構成通貨(米ドル、ユーロ、人民元、日本円、英ポンド)

では他の追随を許さない弱さである。  

 

その背景は過去の本コラムへの様々な寄稿を参照していただきたいが、

著しく切り下がった水準が円の新常態だとした場合、

ドイツを下回る名目GDPもまた、

日本経済の新常態ということになる。  

 

 

 

 

【参考記事】

 ◎円安はもはや構造的、「史上最大の経常赤字」から何を読み解くべきか

 

 ◎日本経済に埋め込まれている巨大な円売り余地、炸裂すれば今以上のインフレに

 

 ◎終わらない円安基調の正体、過去高水準「日本に戻ってこない円」をどう見る?

 

  ◎ドル/円はなぜ購買力平価から乖離しているのか、増えない輸出、足りない設備  日独GDP逆転に際して議論すべき論点は多いが、まず行き着くのは「円安は一時的なのか?」という、目下、注目されるテーマにならざるを得ない

 

 

■ 「世界第3位の経済大国」は定位置ではない 

 もちろん、今やドイツも「戻って来た病人(the sick man returns)」

と言われるほど凋落しており、

 

中国やロシアにベットし過ぎたツケを払うという厳しい状況に突入しつつある。

 

 

  それが日本よりも深刻な状況かどうかはさておき、

ドイツの長期停滞説を唱える声は確かに強まっている。

 

 

とすれば、

「為替次第では再逆転も……」と

考える余地も理解はできる。

 

しかし、少なくとも言えることは、

両者の差は為替変動次第でいつでも入れ替わるものになってしまったということだろう。  

 

米中に次ぐ「世界第3位の経済大国」

というステータスはもう日本の定位置ではなくなっており、

その背景に著しく切り下がった円の水準という論点があることを認識すべきだろう。

 

 

それは過去3年間で起きた、かなり大きな変化の一つである。 

 

 ※寄稿はあくまで個人的見解であり、

所属組織とは無関係です。

また、2023年10月17日時点の分析です

 

唐鎌 大輔

 

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