戸田建設が洋上風力の稼働を2年延期、コンクリートリングの設計ミスか
佐藤 斗夢
日経クロステック/日経コンストラクション
戸田建設は長崎県五島市沖に建設中の洋上風力発電施設でコンクリート構造の浮体部に不具合が生じたことを受け、運転開始時期を2年延期して2026年1月に変更した。不具合が判明した製作中の2基に加え、海域に設置済みの風車にも同様の問題がないかを調べる。同社が23年9月22日に発表した。
設置海域まで海上運搬するため、岸壁で組み立てた浮体部を台船に積載する様子(写真:戸田建設)
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洋上風力発電事業の概要。赤字が変更点。稼働時期を2年延期したことで、固定価格買い取り制度(FIT)による売電期間は18年間になった(出所:五島フローティングウィンドファーム)
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五島市沖の風力発電施設は、風車を海に浮かべる「浮体式」だ。戸田建設が代表の「五島フローティングウィンドファーム合同会社」は22年10月、2100kWの設備8基で構成する商業用の大規模発電施設の建造に着手。しかし23年5月、基礎部に相当する浮体構造に不具合が判明した。
浮体構造には、自社開発の「ハイブリッドスパー型」を採用。上部を鋼製、下部をプレキャストコンクリート製とした。地上ヤードで製造したリング状のコンクリートブロックを、PC鋼棒によって連結して下部を構築。その後、鋼製の上部と接合して浮体部を完成させ、台船で設置海域まで運搬する。
風車の概要。全長は約176.5mで、浮体部にハイブリッドスパー型を採用。上部は鋼製、下部はコンクリート製とした(出所:五島フローティングウィンドファーム)
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実証時に、地上ヤードでコンクリートリングを結合する様子(写真:戸田建設)
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不具合が生じたのは、下部のコンクリートリング部だ。地上ヤードで上部と下部を接合する際に問題が発生し、作業を中断した。戸田建設は詳細について「知財に関する」(戸田建設広報部)として明らかにしていないが、設計に問題があったと見られる
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