竹中工務店が世界初Fc300のグラウト材を実用化、眺望確保しやすく

星野 拓美
 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

竹中工務店は、設計基準強度が300N/mm2(Fc300)の超高強度グラウト材を開発し、同社が設計・施工を手掛ける2つの建築プロジェクトに適用した。同社によると設計基準強度が300N/mm2の超高強度グラウト材を実用化したのは世界初だ。今回の超高強度グラウト材を同社が18年に開発したコンクリートの細柱と組み合わせることで、眺望を確保しやすくなる。2023年9月5日に発表した。

開発した超高強度グラウト材を、コンクリートの細柱「ペンカラム」の接合に使用することで眺望を確保しやすくなる(出所:竹中工務店)

開発した超高強度グラウト材を、コンクリートの細柱「ペンカラム」の接合に使用することで眺望を確保しやすくなる(出所:竹中工務店)

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 グラウト材はセメントを用いた材料で、コンクリートの柱や梁(はり)を接合するために部材同士の間に充填して使用する。強度と流動性の両立が求められる材料だ。そこで今回の超高強度グラウト材は、100~200N/mm2ほどの圧縮強度を持つ超高強度セメントに2種類のシリカフュームと流動性を高める新開発の界面活性剤を組み合わせた。

 2種類のシリカフュームは粒度が異なる。1つは直径0.1μmの微粒子シリカフューム。従来、よく用いられている粒度だという。今回は、直径1μmの粗粉のシリカフュームを新たに加え、最密充填になるように調合した。竹中工務店広報部は、「微粒子だけを多く入れたグラウト材は、水を吸って流動性が得られなくなる」と説明する。粒度が異なるシリカフュームを組み合わせ、緻密な構造にすることで流動性を確保した。

 開発した超高強度グラウト材が充填後に所定の強度を発現するには、建設現場での加温養生が必要だ。竹中工務店は、部材の接合目地部分にニッケルクロムワイヤを入れて加温する工法と、目地部分の外周に面状ヒーターを巻いて加温する工法の2種類を開発。日本建築総合試験所から建築材料技術性能証明を取得した。

 

 

 竹中工務店広報部によると、

 

開発した超高強度グラウト材の材料費は

 

市販品の約2倍。

 

別途、加温養生の現場施工費がかかる

 

 

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