悪質なアスリート盗撮「着替え…シャワー…トイレについてくる人もいるんですよ」日本代表で東京五輪ビーチバレー出場の村上めぐみ選手が語った“スポーツと盗撮”【インタビュー全文】
アスリートを狙う卑劣な盗撮行為。現在もスポーツ界を取り巻くこの盗撮問題について、ビーチバレーボールで東京オリンピック日本代表として出場した村上めぐみ選手は一体なにを思うのでしょうか?
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インタビュー取材全文は以下の通りです。
Q.盗撮問題ついて選手としてどう思いますか?
「そうですね。私自身はあまりそういう被害があったという感じで思ってはないんですけれど、ただ、海外の試合とか見てると、やっぱり水着でやってる選手はかっこいいなって思ったりするので…。なんていうんですかね…。みんなが同じ感覚ではないことはわかるので、そういった(盗撮目的の)目線で見られたり、実際に試合会場で何を撮影してるってズームにしてお尻だけ撮ってる人とかいるんですよ。 そういう人たちはちょっと嫌だなって、やっぱり思う選手もたくさんいるので、そういったところを日本の文化だと取り締まっていくしかないのかなって感じですね。海外だと、そこにそういう意識を持つ人そのものが少ないと思うんですよ。すごく近くで見てるんですけど。そういう(盗撮目的の)感覚じゃないんですよね。やっぱり文化がそうさせてるなって私はすごい思うので。日本人はしっかり隠すじゃないですけど、露出をあまりしないじゃないですか。 それが普通だな、一般的な感じだなと思うので、その差が海外に行ってると思うんですけど。その日本の文化がそういった意味では、問題になってしまうポイントなのか。そういう水着だったり、体操服とかスケートの服とかですかね。ああいうのは、そういった意味で日本人は見てしまうのかなって思う。 露出が少ないっていう日本人の「肌を出さない」「恥ずかしい」っていうような文化がそうさせてるんじゃないのかなって私は思います。しょうがないとは思うので、そういったところで受け入れられにくかったり捉え方が違かったりするのかなっていうのは思います」
Q.文化はなかなか変えにくいとは思いますが、そうした中で盗撮問題はどう変えていくべきだと思いますか?
「そうですね。やっぱり他の国と同じようにはいかないと思う。選手自身も変えるところが必要だと思うので、私達で言いますと、最近は水着ではなく短い短パンだったり、長いスパッツだったりを着用してもOKになりましたし、上着もタンクトップを着ても大丈夫っていうルールになってきているので、そういった意味では選手自身もそういう問題を起こさせないようなユニフォームを選ぶことも必要かなと思います」
■「ケータイのカメラでズームとかして狙って…」悪質な盗撮の手口
Q.選手たちも盗撮問題を気にせず着たいものを着るというのが一番だと思いますが、問題に合わせなければいけないというのは、どう感じていますか?
「そうですね。(問題に合わせて)していった方がいいんでしょうけど、今の私の時点では、やっぱり動きやすい方を自分で選びます。ただ、その試合じゃないところでもそういうこと(盗撮)は起きるので…。例えば、砂を流しているシャワーのところに近づいてくるとか。結構外でやってるのでビーチバレーって。見ている人と距離が近いというのも持ち味ですし、選手が個人で会場に集まってきたり、出ていったりするので遭遇しやすいんですよ。 そういったときにもそういうこと(盗撮)は起きるので、そこはもう、見てる人とやってる人で作っていくしかないのかなとは思います。選手側では服を選んだりとか外を歩くときにはもう水着では歩かないとか。そういうのが必要になってくるのかなとは思います。」
Q.ズーミングやシャワーの近くにいる人を目撃したときは、どう思いますか?
「私は結構『あっ!おかしい!』と思ったら、すぐに言うというか引くことはしないですね。『なんですか?』みたいな。その後に関係者に言いに行きます。他の子がやっぱり嫌な子とかがいたりとか本当に熱狂的なファンになっちゃうとトイレまでついてくるとかもあるので。それは危険だなってやっぱり思ってしまうので、そのときは選手同士でも助け合いますけど、やっぱり関係者の方に言って『ちょっとおかしな動きしてる人がいます』だったりとか『変な声のかけ方をしてくる人がいます』っていうのだけ一応お伝えしてその場にいてもらうように。見張ってもらうじゃないですけれど、警備してもらうっていう感じで。今のところはお願いしています。でも言えない子がやっぱり多いと思う。学生選手とかにも結構あるみたいなので重なってくるとちょっと嫌な思いしてしまうと良くないとは思いますね
Q.なかなか言えない選手にとってはプレーに影響も出てくるものですか?
「メンタル的にやられるとビーチバレーは頭とか心とか体とか全部に影響して。やっぱり暑い中でやるってなると心が乱れると体力的に出し方を間違えてしまう。なんていうんですかね。出し切っちゃって倒れちゃったりとかいうのもあると思うので、選手の心に負担をかけるのはプレーにはすごく影響してくるところだなと思います」 Q.ご自身のプレーのなかでカメラレンズや観客の目線などで違和感を感じたことはありますか? 「違和感はあります。サーブをちょっと後ろから打ちたいなと思って後ろに下がるじゃないすか、そこに観客がいるんで。もう構えた瞬間にお尻が目の前ですよね。 見る方も大変なのかもしれないんですけど。コートの作り方とかもできるだけ近い方が面白いってわかってるので、そういうふうに近くには持っていきたいんですけど。そういった変な意味でそこの席を買う人っていうのがいたりだとか、ケータイのカメラでズームとかして狙って撮っている人がいるのは聞いているので。そうされると、せっかくビーチバレーを楽しんでもらいたいポイントがずれるなっていうふうに思う。残念ですね。嫌だと思うこともあるかもしれないですけれど。残念な気持ちには選手はなると思う」
Q.ビーチバレーは競技の華やかさ・美しさというのも魅力の一つだと思いますが
「全身をすごい使う競技なので女性でも鍛え上げられた体になっていきますし、お尻とかお腹とか全部です。肩周りとか足もそうですけど、やっぱり動けているシーズン中に入ってくると体がキレているのがわかるので『仕上がってるな』っていうのは、やっぱりかっこよく見えると思う。そういうふうに見てもらうと一番嬉しいですね。近くで躍動感だったり砂の飛び方や汗も飛んでくると思いますし、すごい近いと呼吸の感じとかも見えると思う。表情がどうなってるとか。それが双眼鏡で見ないといけない距離とかになっちゃうとビーチバレーの面白さはちょっと…。と思います
Q.インドア(バレーボール)でやっていたときには盗撮問題に関して感じたことはあったか?
「いやないですね。でも、プロのチームとかになってくると、もしかしたらあったかもしれないですね。だんだんユニフォームも現代に近づくにつれてフィットするような形が多くなっていると思うので。選手の動きやすさを重視してなのかもしれないですけど、実際にぴらぴらしちゃうと私は動きにくいなと思ってしまう。普段着てないので。なので選手的にはもしかしたら動きやすいかもしれないですけど、 (フィットするような形のユニフォームに)変えることで違った問題が出てきたかもしれないですね」
■「トイレにもついてくる人もいるんですよ」異常な盗撮…
Q.新しい選手が入ってきづらい部分がもしかするとあると思うのですが
「そうですね。もちろん水着に最初なるときは、みんな違和感があると思う。それで走り回って飛び込んでとなると入りづらい競技だなと思うんですけど、今はルールが変わってきて先ほどもお伝えしたんですけど、短パンでも、長いスパッツでも。タンクトップでも。長いTシャツやインナー。何でもよくなってきてるので。 ルールはそのように対応してきているので、学生(選手)もやり出しの子も入りやすくなってるんじゃないのかなっては思います。もちろん産後の女性も、やっぱりそこを気にして『水着になりたくないから出ない』みたいな方もいらっしゃったりしたので、そういったところは徐々に変化は今のビーチバレー界はあると思う」
Q.新しい選手が入りやすくするためには“盗撮問題”はどうしていかなければいけないとお考えですか?
「そうですね。実際にそういう被害を聞いてはいるんですけど、見たりとかがあんまりないので。盗撮(被害)よりも実際の距離でついてきたりとか『写真撮ってください』って言ってセクハラな発言があったりとかっていうほうが選手自身は感じてて。盗撮ってやっぱり隠れて撮ってるから知らないじゃないですか。自分たちは。あるんでしょうけど。っていうのはそうですね…。取り締まるのは難しいところですね。カメラ禁止とかになっちゃう感じになっちゃうんですかね。それでも長いレンズ持ってきて至近距離で撮る人もいるので。どんだけアップにしてそこを撮るのみたいな。あとなんか水着を透かして見れるレンズとかもあるらしくて。水着を着てるじゃないですか?それを透かしちゃう盗撮用のレンズがあるらしいんです。なので水着を作るときに、それに対抗する透かされない生地を使ってる選手もいました」
Q.いちいちそういうのにも気を付けないといけないんですね…。すごく精神的にも辛くなる人もいるのでは?
「そうですね。本当に1回被害にあっちゃうと『この人もそうなのかな?』って思っちゃう人は多分いますね。いると思う」 Q.本来であれば試合だけに集中したいと思いますが、そのほかで気にしないといけない箇所が多すぎますね 「そうですね…。もうちょっと…、そうですね…。気にしちゃうようなことがあると余計に気になると思うので、そうじゃなくなるようにしていただけると…嬉しいですね…」
Q.本来ビーチバレーという競技はどういったところが魅力でどういったところを楽しんでほしいですか?
「やっぱりビーチバレーは、本当に“心技体”っていうんですけれども、心と体と技術とかも全部繋がってるんですけど。本当に毎日の積み重ねがそこ(試合結果)に出るので。自分の周りに置く環境とかも全てをそこに繋がるように選んでいかないとオリンピックだったりでベストのパフォーマンスをするのは難しいと思うので。 みんなが助けてくれて支えてくれる環境っていうのが一番ビーチバレーは強くなっていくと思う。 皆さんとの距離が近いってのもすごいビーチバレーの魅力ですし、皆さんのパワーがとても影響してるってことを“いい意味”でも“よくない意味”でも思ってくださって見ていただけるとビーチバレーはもっと華やかですし、近くで見れますし。選手もフレンドリーな感じではあると思うので、一緒に皆さんで作っていけるような競技だなとは思っています。『近くで一緒に作っていきましょう』みたいな感じになると選手はうれしいと思います」
Q.盗撮問題について、アスリートとして今後スポーツ界を通してどうなってほしいと思いますか?
「私的にはやっぱり水着でやってる女性の姿はかっこいいなって思っているので 実際にトップ選手が何を着てやってるかっていうと、やっぱりみんな水着を選ぶんですよ。それは今までやってきたものだからかもしれないんですけど。世界で戦ってる人はそれをかっこいいと思って選んでいるので。やっぱりそのままでビーチバレーがかっこいいなって意味で見てもらえるようになるといいなと思ってます。水着の姿が。そういうちょっと違うほうじゃなくて。
なので、そういった問題で傷つく選手がいてやめていくとか。それが影響して、自分たちがやりたいものじゃないものを選ばざるを得なくなるっていうのは、できるだけ自分たちは避けていきたいなとは思いますね」
Q.盗撮はスポーツ界全体でも同じく問題視されてますが
「『そういう目で見るんだ』って、そういう(盗撮問題の)記事を見て思ったりはしますけど。難しいところですかね。じゃあ『水着でやるな』って今言われたら『えっ?』てなりますよね。他の競技の方は、どうなんでしょう…」
Q.選手として競技団体や協会などの盗撮問題への取り組みはどう思っていますか?
「今は実際に何かがあったら対応してもらってる感じではあるので。協会もいろいろ変えようとして動いていると思う。例えば『シャワーが一般の方と共有になってしまうところは良くないと思います』っていう意見だったりとかを選手会から選手の意見としてあげたりとか。それも一緒に作っていくっていう感じで。やっぱりいろんな人がいたほうがアイディアはたくさん出てくると思うので。動線だったり、着替えだったりシャワーだったりトイレにもついてくる人もいるんですよ。目の前で待っていたりとか。なのでトイレの入口の向きを変えてもらうとかもあります。入った瞬間にそこに来る人とかもいるので。そういうのがあるんだって思って、みんなで協力していただいて、経験積み重ねて、良くしていくしかないのかなと思います」
■アスリートの盗撮に関するJVA(日本バレーボール協会)の対応は…
アスリートの盗撮問題に関しましてJVA(日本バレーボール協会)は、選手の権利を守るとともに選手が試合に集中できる環境づくりを目指そうと、以下のように対応をしているということです。
・ 会場内に盗撮防止のJOC(日本オリンピック委員会)配布のポスターを設置し、
アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNS投稿防止を促し、
会場MCからも客席に促す。
・ 会場内に盗撮に関する通報用のQRコード付きの張り紙を設置。
・ 会場となる市町村警察署に見回りの協力要請。
・ 会場内でのスタッフによる定期的な見回り。
・ 選手に対し会場内で試合以外の場面での水着での行動を控えるように注意勧告。
・閉会式での水着着用での出席を禁止(表彰式用のTシャツやトレーナーを配布)。
・大会会場ではスチールカメラ・ムービーカメラ・双眼鏡の使用は禁止とし、携帯電話での撮影ついては許可をしている。 ただし、カメラのズーム機能を使用しての撮影や周りの方に不信感を与える様な行為は禁止している。
・ 大会によっては携帯電話のカメラでも、競技中の撮影は一切NGとし、プレー中以外の撮影のみ可とする対応を取っている。
・場合によってはスタッフが撮影した内容(フォルダ)を確認し、明らかにそれとわかる画像があれば内容を削除する場合もある
青森テレビ