止まらぬ円安1ドル=150円に迫る 海外生活を円で換算すると…各支局員が取材
All Nippon NewsNetwork(ANN)
円安が止まりません。27日は、一時、今年最安値を記録しました。
1月には、1ドル127円台をつけていましたが、気づけば150円台に迫っています。
外国人観光客が戻ってきた日本。
一方、
日本からの海外旅行の数は、コロナ前まで戻ってないそうです。
阪急交通社広報部・鈴木毅部長:
「円安がなければ、すぐにでも100%、120%の回復があったと思う。円安の影響もあり、現状(コロナ前の)6割くらい。徐々に上がってはきているものの6割程度です」
歴史的物価高に直面するアメリカ。
そこに円安というダブルパンチです。
アメリカ・ニューヨークで在住邦人御用達の日本食スーパー『KATAGIRI』。
長期滞在に欠かせないこの店の商品を円に換算してみました。
卵が8ドル59セント、約1280円。
カットされた長芋は約730円、
えのきだけが約670円。
豆腐は1パック約450円します。
現地在住者:
「初めは円に換算していたんですが、最近は円に換算するのをやめました。1ドル=130円くらいになったときもキツイなと思ったんですが、さすがにここまでくるとは思ってなかったです」
現地在住者:
「母がおやつやお金を送ってくるけど、円安の影響で送りにくいと」
7月に赴任したばかりのニューヨークの親松支局長。
一番驚いたのが、ラーメンだといいます。
ニューヨーク支局・親松聖支局長:
「家族4人でラーメンを食べに行った場合、
ラーメン4杯、
そして餃子3つ、
ビール2杯を飲んだ場合、
2万円を超えてしまうんです。日本円頑張ってほしい」
次は、ロンドン。
赴任して1年半になる佐藤記者の報告です。
ロンドン支局・佐藤裕樹記者:
「自宅から支局に炊飯器を持ち込んで、お米をラップに包んで、冷蔵庫に置いておきます。ランチに食べるご飯です。 ロンドンに来てからランチを外に食べに行くことは、ほとんどありません」
佐藤記者が赴任した当時は、1ポンド152円ほど。
それから1年半で、180円を超えています。
ロンドン支局・佐藤裕樹記者:
「ビール1杯、1年半ほど前は850円で飲めたが、物価高騰と円安が進み、今は、1杯1260円です」
円安の波は、タイにも押し寄せています。
タイではいま、
史上2番目の円安状態にあります。
安く遊べる旅行先として日本人に人気でしたが、
バンコクの繁華街でも、マッサージ店でも日本人観光客の姿は、ほとんど見られなくなったそうです。
マッサージ店オーナー:
「(日本人は)前は多かったけど、すごく減っています。売り上げが減れば、店の存続も懸念されますし、従業員の収入も減ってしまいます」
終わりの見えない円安。
こうしたなか、
働き先を海外に求める日本の若者たちが増えています。
オーストラリアへのワーキングホリデーを希望(18):
「円安だと、あっちで稼げば稼ぐほど日本のアルバイトより稼げて、貯金もできて、帰ってくればよりお金が増える。こっちでアルバイトするより良いかな。英語も学べるし」
ワーキングホリデーの相談件数は、
1年前に比べて1.6倍に増加。
実質賃金が下がり続ける日本で正社員になるより、
海外でアルバイトをしたほうが収入もいいし、スキルも身に付くと考えるからです。
ワールドアベニュー・松久保健太社長:
「(Q.円安の影響でさらに稼げる)正直言って、稼げるかなと思います。
日本の給与と比べて、とても高い給料で、
物価が高いのもあるんですけれども、
円安になって厳しいところあるが、
現地に行って稼げるところも踏まえて、
ワーキングホリデー挑戦したいという方は増えている印象」
※気になるのが“為替介入”です。
去年9月に、1ドル=145円台に突入した際、
政府は、24年ぶりに為替介入を実施し、
10月と合わせて合計3回、行っています。
このときの効果について、ニッセイ基礎研究所の上席エコノミスト・上野剛志さんは
「年末にアメリカの利上げ幅が縮小する見通しが広がり、一時、ドルが下落した。この間、円安の進行を一定程度抑制した」としています。
為替介入はしないのでしょうか。
上野さんによりますと、
「為替介入は過度な変動を抑制するために行うもの」ということです。
去年は、8月から9月にかけて急激に円安が進んでいます。
一方、今年は、去年の同じ時期と比べて変動は緩やかに見えます。
そのため、現段階では、介入の可能性は低いといいます。
また、上野さんは
「円安のときの介入は“ドルを売って円を買う”介入。
そのため、政府が持つ外貨が減る。
将来の介入や、
海外への支払いを考えると、
外貨を持っていることが余裕につながる。
介入せずに円安が収まるのなら、それがベスト」
としていますが
「今後1カ月くらいの間で、1ドル150円を超えてくれば、為替介入の可能性は高まってくる」といいます。
ただ「今後、円安は落ち着く可能性があるのでは」としています。
「アメリカのインフレは、今後、おさまっていく傾向にある。
そして、
金利政策を決めるFRBの11月の会合で利上げは打ち止めになる可能性が高い。
そうなれば、
日米の金利差が、これ以上広がらなくなるので、
為替も『1ドル・145円程度』ではあるが、落ち着くのでは」とみています。
テレビ朝日
止まらぬ円安1ドル=150円に迫る 海外生活を円で換算すると…各支局員が取材(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース