施工不良の横手駅前ビル、傾いた柱の建て直しで完成1年遅延

奥山 晃平
 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

完成間近の複合ビルに施工不良が見つかった、秋田県横手市のJR横手駅東口で進む再開発事業。発覚から2カ月がたち、ようやく対応方針が定まった。再開発事業の実施主体である横手駅東口第二地区市街地再開発組合は2023年9月6日の理事会で、傾いた柱を正しい位置に設置し直すことを決めた。工事は24年7月に完了する見込みで、当初の完成予定から1年ほど遅れる。

施工不良が見つかったJR横手駅東口の再開発ビル(写真:横手市)

施工不良が見つかったJR横手駅東口の再開発ビル(写真:横手市)

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 施工不良があった地上7階建ての複合施設「B-1棟」では、鉄骨柱を1階の基礎コンクリートと固定するためのアンカーボルトを65mmずれた位置に設置していた。施工者の横手建設・半田工務店・伊藤建設工業JV(共同企業体)はミスに気付いたものの、是正せずに隠蔽を図った。1階から3階まで長さが10.5mある鉄骨柱1本を0.275度傾けてずれを吸収。柱の傾きに合わせて2階の梁(はり)の端部を切断したり、柱と梁を接合するボルトの穴を新たに開けたりした。

 設計・監理者のアーレックス・浅井謙建築研究所・Arch5JVの調査によると、傾きに合わせて調整した柱と梁の接合部4カ所の強度が不足していた。設計JVは23年8月9日に開かれた再開発組合の理事会で、接合部の補強工事が必要であるものの、42本の柱のうち1本が傾いていることの影響は小さく、ビルの構造安全性に問題はない、などと見解を示していた。

 しかし、再開発組合は最終的に、柱を建て直すと決めた。再開発組合の佐藤誠一理事長は、23年9月6日の理事会で「数十年にわたって横手市のランドマークとなるビルの柱が傾いたままでは、市全体のイメージに悪影響を与える。間違ったものは正しく直すと全会一致で決まった」と述べた。

 傾いた柱を、どのようにして当初設計通りの位置に直すのか。改修工事ではまず、傾いた柱周辺の外壁や内壁、床の一部を解体する。

横手建設は2023年9月11日、同社のウェブサイトに今後の方針などに関する報告を掲載した。半田工務店と伊藤建設工業も、自社のウェブサイトに同じ内容の報告を掲載している(出所:横手建設)

横手建設は2023年9月11日、同社のウェブサイトに今後の方針などに関する報告を掲載した。半田工務店と伊藤建設工業も、自社のウェブサイトに同じ内容の報告を掲載している(出所:横手建設

 

 

 

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