先住民の島に中国の工場建設計画、立ち退きに激しい反発 インドネシア

CNN.co.jp

機動隊と衝突するデモ参加者=11日、インドネシア・バタム島の政府庁舎前

 

 

 

 

(CNN) 

 

インドネシアのリアウ諸島州に中国の大手ガラスメーカーが大規模工場を建設する計画をめぐり、島の先住民が自分たちの集落の取り壊しに反対して激しい抗議運動を展開している。

 

 

  【写真】フェンスが壊された政府庁舎 

 

 

インドネシアは中国の投資を積極的に呼び込んでおり、7月に行われたインドネシアのジョコ・ウィドド大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席との会談で、この工場の建設計画が発表された。 今月11日、リアウ諸島州のバタム島にある政府庁舎前で、先住民団体と警官隊がにらみ合った。シンガポールの対岸に浮かぶバタム島などの島では大規模開発が計画されている。 都市管理・開発の統括機関BPによると、午前9時ごろまでに最大で1000人がBPのオフィス前に集まり始めた。デモ参加者の多くは工場建設が計画されているレンパン島の先住民で、最初は穏やかだったが、やがてフェンスを破って敷地内に乱入したとされる。 BPトップが介入したものの、群衆はますます暴徒化して警官隊にボトルや石、火炎瓶などを投げ始めたといい、警官が襲撃され、暴行されたとしている。 CNN提携局のCNNインドネシアによると、現場には機動隊が配備され、デモ隊に対して催涙弾や放水銃を使用。直後に数十人が逮捕された。 これに先立ちレンパン島でも7日、地元当局や開発業者が土地の調査と測量のために訪れた際に激しい衝突があった。 住民は樹木を切り倒したりタイヤを燃やしたりして妨害を試み、自分たちの集落を囲む森林への立ち入りを阻止した。 この島に20年以上住んでいるという60代の住民の男性は、自分たちの家の破壊を阻止するために、できることは全てやると話し、「戦わずには屈しない」と語った。男性はインドネシア当局による迫害を恐れ、匿名でCNNの取材に応じた。 「私たちには(金を受け取って転居するか)、別の場所に移転させられるリスクを冒すかのどちらかしかない。それが私たちの多くにストレスと悲しみを引き起こした」と男性は憤る。 BPと地元警察の発表によれば、群衆を解散させるために催涙弾が使用された。目撃者がCNNに語ったところによると、この地域には学校が多く、近くの学校に通う子どもたちも催涙弾の被害に遭ったという。 インドネシア政府は緊張を和らげようと、レンパン島の住民に対する立ち退き手当ての改善を約束した。投資相は18日に発表した声明で、「地元住民にとって最善の解決策を探る」とする一方で、「もしこのプロジェクトが流れれば、地元自治体の収入や雇用創出の可能性が失われる」とした。 これに対して先住民団体のYLBHIは、「住民は自分たちの家や文化、生計手段を失う危険にさらされている。移転や補償には経済的な価値しかなく、村の集合体としての記憶や地元の先住民としてのアイデンティティーを置き換えることはできない」と強調。「少なくとも52人の住民が逮捕され、犯罪者にされた」と言い添えた。 その上で、「(関連する省庁は)何世代にもわたってレンパン島で生活してきた人々の権利を認め、尊重する義務がある。これは歴史ある村や遺跡の存在によっても、文献や科学調査を通じても証明されている」と訴えている。 インドネシア政府によると、レンパン島には中国の大手ガラスメーカー、信義ガラスが115億ドル(約1兆7000億円)を投じて工場を建設する計画。CNNは信義ガラスにコメントを求めたが返答はなく、香港の本社にも電話をかけたがつながらなかった

 

 

 

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