プーチン大統領に〝三重苦〟「ルーブル暴落・人材流出・兵器不足」北朝鮮にも頼らざるを得ず…北方領土から消えた兵器

 

夕刊フジ

ロシアのプーチン大統領(古厩正樹撮影)

 

 

 

 

 

ウクライナとの戦争が長期化しているロシアだが、国内にも地雷が埋まっている。通貨ルーブルが対ドルで下落基調が続き、ウクライナ戦線への動員の影響で労働力不足も深刻だという。一方で、ウクライナの前線で兵器も不足しているとみられ、北朝鮮を頼らざるを得なくなるなど、プーチン大統領は「三重苦」に陥っている。

 

 

 

 

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ルーブルは8月中旬、ウクライナ侵略開始直後の昨年3月以来となる1ドル=100ルーブル台の安値水準を付けた。ロシア中央銀行の利上げでやや買い戻されたが、ここにきて再び98ルーブル台まで下落しており、資金流出リスクを抱える。 新興国経済に詳しい第一生命経済研究所の西濱徹主席エコノミストは「ロシア経済は欧米の制裁をかいくぐる『迂回(うかい)貿易』で難を逃れており、急回復もしなければ、急失速することもない状態が続くだろう。ただ、背後にいる中国の事実上の属国状態になることは避けられない。一方、国内の侵攻推進派からは軍備費調達のため財政拡大を求める声がある一方、国民生活のためには物価安定のための利上げも必要という板挟みで、プーチン氏も政策運営面での軋轢(あつれき)は避けられないかもしれない」と語る。中央銀行の企業調査では、人材不足が過去25年で最悪の状態だという。 露紙RBKによると、人手不足はあらゆる業種に及び、首都モスクワと第2の都市、サンクトペテルブルクの失業率は「ゼロに近い」という。昨秋の30万人規模の部分動員や、70万~80万人と推定される動員忌避者の出国が主な原因のため、今後の経済回復に足かせになる懸念がある。 筑波大学の中村逸郎名誉教授は「ウクライナの反攻を受け、兵員や兵器製造の工場労働者も必要になるなか、人手不足は深刻だ。ロシアの将来を悲観する若者の出国もあると考えられる。『1ドル=100ルーブル』はロシア人にとって精神的にギリギリのラインともいわれ、今後の国外脱出にも拍車をかけかねない」とみる。 プーチン大統領は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と首脳会談を開くとみられるが、武器や弾薬不足が大きな要因とみられる。 そしてロシア軍が2020年に北方領土の択捉、国後両島に配備していた複数の地対空ミサイルS300V4が島外に搬出された。東京大の小泉悠専任講師が衛星画像を基に分析した。ウクライナの攻撃に備えるため、ロシア本土に再配備したとみられる。 サハリンの軍施設で保管されていた旧型戦車や大砲も昨年秋から相次いで姿を消した。小泉氏は「ロシア軍は極東の兵器を引き抜いている。戦車や大砲がウクライナの前線に送られているのは間違いない」と指摘した

 

 

 

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