人材不足の実情
9割超の設計事務所が人材不足、「受注機会の逸失」を懸念
Part1 人材編(1)
桑原 豊
日経クロステック/日経アーキテクチュア
2022年度の設計事務所決算は好調だった。一方で、人材不足を感じている会社は9割に及んだ。仕事の依頼があっても対応できる人材が確保できない状況だという。設計事務所にとって、人材確保は喫緊の課題だ。
今年の経営動向調査では、「人材」をテーマに質問した。まず「人材の不足・余剰感の状況」について。「不足感がある」(47%)と「どちらかといえば不足感がある」(44%)を合わせて91%に及んだ。「適正である」はわずか9%。「余剰感がある」「どちらかといえば余剰感がある」はゼロだった〔図1〕。
〔図1〕深刻な人材不足に悩まされる建築設計界
調査では「人材の不足・余剰感の状況」について尋ねた。「不足感がある」が最も多い47%、「どちらかといえば不足感がある」も44%で、合わせて91%に及んだ。自由意見では「人材不足で困っていること」を回答してもらった。吹き出しは、その一部(資料:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]
不足している職種は、「設備設計」が79%、「意匠設計」が65%で半数を超えた。以下、「構造設計」(46%)、「工事監理」(30%)と続く〔図2〕。
〔図2〕8割近くが設備設計者の不足を感じる
人材の不足感があると答えた会社を対象に、「どのような職種の人材が不足していると感じるか」を尋ねた。最も多かったのが「設備設計」で79%、次いで「意匠設計」が65%で、この2つの職種が半数を超えた(資料:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]
人材不足によって懸念される影響について、最も多かった回答は「受注機会の逸失」で83%〔図3〕。以下、「残業時間の増大」(66%)、「外注増加による利益圧迫」(45%)が続く。いずれも売上高や収益の悪化につながる項目だ。「設計品質の悪化」(28%)、「納期の遅れ」(18%)など、会社の信頼に影響を及ぼしかねない項目を挙げた企業も少なくない。
〔図3〕「受注機会の逸失」が8割超
人材の不足感があると答えた会社を対象に、「どのような影響が出ると懸念しているか」を尋ねた。最も多かったのが「受注機会の逸失」で8割を超えた。次いで「残業時間の増大」が66%、「外注増加による利益圧迫」が45%、「設計品質の悪化」が28%と続く(資料:日経アーキテクチュア
9割超の設計事務所が人材不足、「受注機会の逸失」を懸念 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)