駐日米国大使が激怒! れいわ山本太郎をそのまま真似る中国外務省「処理水問題は日中プロパガンダ合戦へ」むしろ中国の原発のが危険
福島における「原発処理水」海洋放出の問題は、中国との情報戦の様相を呈してきている。プレジデント元編集長で作家の小倉健一氏は「れいわ新選組、社民党、共産党の無責任さが中国サイドに都合よく利用されている」と警鐘を鳴らすーー。
中国外務省が福島の処理水放出にいちゃもんをつけてきたが、ゆるキャラがふざけていることについては同意する
9月1日、中国外務省の汪文斌副報道局長は、日本が繰り返し処理水の海洋放出が科学的根拠を持っていることを主張し、また、中国が実施した水産物輸入禁止措置には科学的根拠がなく、そして、中国だけが日本の海洋排出に反対していることについて問われ、次のように回答した。 「日本側の発言は完全に白黒を逆転させており、国民を混乱させている」 「なぜ放射性元素であるトリチウムを無害なマスコットキャラクターとしてデザインし、福島原発の汚染水を世界中の原発の通常運転と混同したのか?」 「これまで、日本の海洋放出を公然と支持する国が少なかったのはなぜか。実のところ、日本を口先だけで支持している国々は、まさに日本の水産物の輸入が最も減少している国々なのである。日本側が科学を尊重するのであれば、なぜ40%もの日本国民が海洋排出に反対しているのだろうか?なぜ80%もの日本人が懸念と不満を表明しているのだろうか?」 「現在公開されている福島原発汚染水のモニタリングデータは、日本側から一方的に提供されたものに過ぎない」 中国外務省の発言を受けて、私は初めて知って調べたが、トリチウムのマスコットキャラクターは実際に存在していて、復興庁が2年前に、東京電力福島第一原発の処理水に含まれる放射性物質トリチウムの安全性をPRする目的で作成した「ゆるキャラ」らしい。「トリチウム ゆるキャラ」と検索するとでてくるが、復興庁担当者いわく「親しみやすさという意味が大きい。『善』でも『悪』でもない中間的な感じを目指した」らしい。批判を受けて、公開翌日には、ホームページ、チラシなどから姿を消したようだが、中国外務省がふざけていると感じるのはもっともだ。日本中の官公庁に、ゆるキャラが溢れかえっているが、ただの税金の無駄だ。こういうことはやめて、真剣に問題と取り組んでほしい
数字を見れば、危ないのは福島より中国の原発処理水の方だろう
さて、ゆるキャラでは中国外務省と怒りは共有できたものの、他の点については、ただのプロパガンダである。中国の原発では、1年間に液体で、紅沿河原発は87兆ベクレル、寧徳原発は98兆ベクレル、陽江原発は107兆ベクレル、泰山第三原発は124兆ベクレルのトリチウムをそれぞれ海洋や河川等に放出している(出典:『(参考)世界の主要な原発におけるトリチウムの年間処分量』https://www.cn.emb-japan.go.jp/files/100193104.pdf) 日本の福島では、「ALPS処理水」を海洋放出するにあたり、放出するトリチウムの年間の総量は、事故前の福島第一原発の放出管理値(年間22兆Bq)を下回るように設定されている。数字だけ見れば、むしろ危ないのは中国である。 中国外務省は、「福島原発の汚染水を世界中の原発の通常運転と混同した」と強弁したり、「現在公開されている福島原発汚染水のモニタリングデータは、日本側から一方的に提供されたものに過ぎない」と、処理水の分析データそのものに問題がないために、データの信憑性を必死で疑おうとしている。
山本太郎も処理水放出に反対。中国メディアは岸田首相に難癖つける
同様の主張をしていたのが、れいわ新選組の山本太郎氏だ。「他国の原発が、福島第一より高濃度のトリチウムを海洋投棄しているのは(それを是としているわけではないが)福島第一と違って原発事故を起こしていないからである」(https://reiwa-shinsengumi.com/activity/6726/)と過去に指摘している。中国政府が日本政府とのプロパガンダ合戦に備え、山本氏の発言を踏まえていてもおかしくない。 信じられないかもしれないが、中国メディアの日本報道を見ると、岸田文雄首相が「福島産の水産物」を食べたことについても、難クセを必死でつけている。 「8月30日、岸田文雄首相と3人の政府高官は、カメラの前で福島産の魚介類を食べるデモンストレーションを行った。ハイビジョン映像の中で岸田は、”噛むとシックで、歯ごたえがある “と言う。そして “おいしい!”と首をかしげる。続いて昼食のアップが映し出され、数人の警官が魚を口に入れ、懸命に咀嚼するアップが映し出される。脇役の3人も懸命に咀嚼しているが、表情が特に硬く、非常に不自然だ。これはポーズであり、食べているのは福島の魚介類ではない可能性がある」(百度ニュースサイト『口をふさがれた漁師は、岸田が食べた刺身が福島産かどうかについて、中国に真実を語った』2023年9月1日) もし、この水産物が福島産でなければ、岸田首相は退陣することになるが、日本人がその発想に立つとすれば、よほどの陰謀論者だろう。中国人の政府への信用の無さを日本政府に転用したとしかいえない報道であるが、同じような見方をする報道はいくつもあった
アメリカは中国に対抗して日本に加勢。駐日米国大使も福島へ
こうなると、都合が悪いのは、日本の福島産の水産物が安全であると加勢する「日本以外の国」の動向だ。エマニュエル駐日米国大使が、岸田首相に続いて、福島の海産物を食べたことは、「SOHU.com」(2023年9月2日)で、こう報じられている。 「最近、エマニュエル駐日米国大使は日本を白くする(無罪にする)ために飛び出してきており、中国のネットユーザーに『食べるショー』の波を演じた岸田文雄氏に倣って、自ら福島にまで足を運んだ」 「公開された映像などから、エマニュエルはオヒョウや刺身、その他の水産物を注文したと思われるが、これらはすべて東京電力の原子力発電所から放出された放射性物質がある福島海域で獲れたものだ。エマニュエルはカメラに向かって大口で刺身を見せびらかした」 「同時に、エマニュエルも現場で怒鳴り散らし、中国の対抗措置を『経済的・政治的手段』だと非難する逆ギレ発言を繰り返し続けた。また、岸田内閣が以前WTOに提訴すると脅したことを考慮し、エマニュエルは米国が “日本の提訴を支持する “と主張し、炎上を煽った」(ニュースサイト・SOHU.com『福島でサヤを食べる駐日米国大使、生魚のビッグマウスに目がくらむ “WTOで中国を訴えることを支持”』)
原発処理水放出に反対する福島みずほ、小池晃の無責任さ
日本の水産物を救おうと行動してくれるエマニュエル駐日米国大使には頭が下がる思いだが、完全に、科学を捨てて、情報戦に入ってしまった中国に対して、日本はきちんと対処しなくてはいけないだろう。今目立っているのが、日本からも反対運動が起きていることを強調する報道だ。 中国だけが禁輸措置を取っていることを指摘されると、中国メディアは「韓国や日本国内でも反対運動が起きているのだから、中国だけが海洋放出に反対しているわけではない」として、日本の反対運動、反対オピニオンを次々と紹介している。 「福島みずほ参議院議員(社民党党首)は集会のスピーチで、福島の被災地の人々は今日まで10年以上にわたって震災からの復興を成し遂げようと粘り強く努力してきた。核汚染水の海洋放出は、『放射性物質の海洋投棄の禁止に関するロンドン条約』に違反する。彼女は、核汚染水排出という『残虐行為』を止めるために、一般市民と協力していくことを強調した」(8月28日百度ニュースサイト) 「先日、福島県小名浜港で行われた抗議デモ行進が広く注目を集めている。デモ行進に参加した500人以上の日本人は、地元漁民の生活を守るため、原発汚染水の海洋放出計画の即時撤回を求めるスローガンを唱和した」(9月1日同サイト) 今後も、こうした発言は中国メディアによって拡散されていくことになるだろう。日本共産党の小池晃書記局長は「今の事態を解決する責任は日本政府にある。海洋放出を中止して、中国政府と事態の打開に向けた協議を行うべきだ」(8月28日)と発言している。今の事態を解決する責任は、科学的根拠を欠いた中国政府に100%ある
中国メディアの報道は、日本のれいわ、社民党、共産党の政治家が主張してきたことを、被せてきているようにも読める
これまで中国メディアと日本における政治家の行動・発言を読み比べてきたが、中国メディアの報道は、日本のれいわ、社民党、共産党の政治家が主張してきたことを、被せてきているようにも読み解ける。そしてまた、岸田首相やエマニュエル駐日大使が福島の水産物を食べることに神経を尖らせているのも事実である。 であるなら、第一に処理水放出に反対する日本の政治家にきちんと科学的な批判を加え、次に、私たち一人ひとりが福島のために行動するということがなにより大事だ。選択肢があまりにも少ないことが明らかになった岸田外交の問題は改めて精査するにしても、まずは福島のために行動する、ということであろう。
もはや言うまでもなく…
言うまでもないが今回放出された処理水による放射線の影響は、自然界で人間が1年間に受ける放射線量2.1ミリシーベルトの10万分の1未満でしかない。健康への影響はない。韓国の月城(ウォルソン)原発では、1年間に液体で31兆ベクレルのトリチウムを海洋や河川等に放出している。 繰り返しになるが、中国の原発では、1年間に液体で、紅沿河原発は87兆ベクレル、寧徳原発は98兆ベクレル、陽江原発は107兆ベクレル、泰山第三原発は124兆ベクレルのトリチウムをそれぞれ海洋や河川等に放出している。数字だけ見れば、むしろ危ないのは中国である。 結論は1つである。現在の問題は、中国政府による風評被害である。中国政府による風評被害をただせるのは、日本政府以外にはないのである。粛々と、などと耳聞こえのよい態度に徹して、ダラダラとやっているのではなく、「科学的データ」をもとにした毅然とした態度で、臨まなくてはいけない。
小倉健一
駐日米国大使が激怒! れいわ山本太郎をそのまま真似る中国外務省「処理水問題は日中プロパガンダ合戦へ」むしろ中国の原発のが危険(みんかぶマガジン) - Yahoo!ニュース