オープンハウスが三栄建築にTOB、「黒い交際」元社長の影響排除し住宅事業強化
小山 航
日経クロステック/日経アーキテクチュア
元社長の「黒い交際」で揺らぐ三栄建築設計は、経営を立て直せるか──。オープンハウスグループ(以下、オープンハウス)は2023年8月16日、三栄建築設計の完全子会社化を目指し、TOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。
期間は8月17日から9月28日まで。
買い付け金額は1株当たり2025円で、計約430億円。
TOBが成立すれば、三栄建築設計は上場廃止となる見込みだ。
同社はTOBに賛同するとともに、株主に対してTOBへの応募を推奨する旨を8月16日付で発表した。
TOB(株式公開買い付け)の概要。三栄建築設計の株式のうち約64%を、同社の元社長である小池信三氏と、同氏の配偶者が代表取締役を務める企業が所有している(出所:オープンハウスグループ)
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三栄建築設計は東京証券取引所プライム市場に上場しており、
主に戸建て住宅の分譲事業を手掛けている。
デザイン性の高さが売りだ。
22年11月に辞任した
創業者の小池信三元社長
が暴力団組員に利益を供与したとして、
23年6月20日に東京都公安委員会から東京都暴力団排除条例に基づく勧告を受けたことから、金融機関の融資姿勢が慎重になり、事業運営に支障が生じていた。
小池元社長と同氏の親族が経営する企業が所有する株式は23年8月16日時点で計64.21%に上る。
オープンハウスは同日、両者との間で公開買い付けの応募契約を締結。
三栄建築設計を完全子会社化することで、
小池元社長の影響力を排除して、経営の正常化を図る。
両社の連携による企業価値の向上も狙う。
三栄建築設計の物件供給力とオープンハウスの販売力を組み合わせた戸建て住宅事業の底上げや、商品ラインアップの拡充、スケールメリットを生かしたコスト競争力の向上などのシナジーを見込む。
オープンハウスグループは、三栄建築設計と連携して両社の企業価値向上を狙う(出所:オープンハウスグループ)
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オープンハウスによると、
23年6月24日に小池元社長からTOBの打診があったという。
同社は打診を受けて、三栄建築設計と意見交換を実施。
上述のシナジーの実現には、完全子会社化が望ましいと判断した。
三栄建築設計は、
オープンハウスによるTOBで小池元社長の影響力を完全に排除することが最重要だとする。
同社は8月16日、特定の経営者への依存体質から脱却し、
全員参加型の業務執行体制を築き、
透明性の高いガバナンス体制を構築する経営方針を打ち出している
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