坂茂氏が大阪万博で「海のパビリオン」設計、竹と炭素繊維プラ、紙管を構造材に

川又 英紀

 

日経クロステック

 

 

 

建築家の坂茂氏が、大阪・関西万博でパビリオンを設計する。海をテーマにした民間パビリオン「BLUE OCEAN DOME」である。会場となる夢洲(ゆめしま)は四方を海に囲まれており、今回は「海の万博」ともいえる。そんな万博で海の話題を真正面から取り上げるパビリオンとなる。

 出展するのは、特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン(東京・品川)である。ゼリ・ジャパンは2023年8月25日、記者会見を開催してパビリオンの概要を発表。「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現に向けた取り組みをパビリオンでアピールする。

ゼリ・ジャパンが出展する海をテーマにした民間パビリオン「BLUE OCEAN DOME」の完成イメージ。ZERIは「Zero Emissions Research and Initiative」の略(出所:ゼリ・ジャパン)

ゼリ・ジャパンが出展する海をテーマにした民間パビリオン「BLUE OCEAN DOME」の完成イメージ。ZERIは「Zero Emissions Research and Initiative」の略(出所:ゼリ・ジャパン)

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大小3つのドームでパビリオンを構成する(出所:ゼリ・ジャパン、日本デザインセンター)

大小3つのドームでパビリオンを構成する(出所:ゼリ・ジャパン、日本デザインセンター)

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パビリオンの図面。中央の大きなドームは直径42mある(出所:ゼリ・ジャパン、坂茂建築設計)

パビリオンの図面。中央の大きなドームは直径42mある(出所:ゼリ・ジャパン、坂茂建築設計)

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 ゼリ・ジャパンは19年のG20大阪サミットで発表された、海洋プラスチックごみによる追加的な汚染を「50年までにゼロにする」目標を掲げている。そこでBLUE OCEAN DOMEは「海の蘇生」をメインテーマに据える。

 パビリオンの建築でも環境に十分配慮する。日本の竹と炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、紙管の3つの素材を構造材に採用。それぞれの素材で大小3つのドームA、B、Cを構築し、パビリオンを形成する。屋根には不燃膜材を使う。

 パビリオン本体や使用する素材は、万博閉幕後に移設や再利用することを前提にしている。容易に解体できるように設計し、廃棄物を徹底的に削減する。

パビリオンの構造材に採用する3つの素材。左から竹の集成材、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、紙管(写真:ゼリ・ジャパン)

パビリオンの構造材に採用する3つの素材。左から竹の集成材、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、紙管(写真:ゼリ・ジャパン)

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 メッセージ性が強いパビリオンを建設するため、ゼリ・ジャパンの更家悠介理事長は日本を代表するクリエーターを起用した。総合プロデューサーは日本デザインセンター(東京・中央)の原研哉氏、建築プロデューサーは坂茂建築設計(東京・世田谷)の坂氏である。

ゼリ・ジャパンの更家悠介理事長。サラヤの社長でもある(写真:ゼリ・ジャパン)

ゼリ・ジャパンの更家悠介理事長。サラヤの社長でもある(写真:ゼリ・ジャパン)

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総合プロデューサーを務める日本デザインセンターの原研哉氏。これまでも坂茂氏と一緒に仕事をしてきた間柄(写真:ゼリ・ジャパン)

総合プロデューサーを務める日本デザインセンターの原研哉氏。これまでも坂茂氏と一緒に仕事をしてきた間柄(写真:ゼリ・ジャパン)

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パビリオンを設計する坂茂建築設計の坂氏。会見にはオンラインで参加した(写真:ゼリ・ジャパン)

パビリオンを設計する坂茂建築設計の坂氏。会見にはオンラインで参加した(写真:ゼリ・ジャパン)

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 パビリオンの基本・実施設計は坂茂建築設計が、施工は大和ハウス工業がそれぞれ手掛ける。構造設計と設備設計はアラップが担当する。パビリオンの敷地面積は約3500m2、延べ面積は約2700m2、高さは最大のドームBが約15mになる予定だ。ドームの直径はAとCが19m、Bが42mとなる。

 大阪万博はパビリオンや主要施設の設計・施工の遅れが問題視されている。BLUE OCEAN DOMEについては、23年11月前半までに構造の安全審査や大阪市への仮設建築物の建設許可申請などを済ませて、同年11月中には着工するスケジュールで動いている。パビリオンは24年10月ごろの完成を目指す。

パビリオンの施工を手掛ける大和ハウス工業の能村盛隆常務執行役員(写真:ゼリ・ジャパン)

パビリオンの施工を手掛ける大和ハウス工業の能村盛隆常務執行役員(写真:ゼリ・ジャパン)

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坂茂氏が大阪万博で「海のパビリオン」設計、竹と炭素繊維プラ、紙管を構造材に | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 

 

 

 

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