マイナーだった翻訳小説が「クール」な存在に
なぜいま英国の若者のあいだで「日本文学ブーム」が起きているのか
ガーディアン(英国)
Text by John Self
世界ではいま、日本文学が注目されている。特に翻訳された海外小説の売り上げが急速に伸びている英国では、その販売数の4分の1を日本の小説が占める。なぜそれほど人気が出たのか、英紙「ガーディアン」がその理由に迫った。
英国で人気が高まる「翻訳小説」
2023年5月、英国の文学賞「ブッカー賞」の翻訳部門にあたる「ブッカー国際賞」の授賞式が開催された。そのとき、主催者からある数字が発表され、会場はざわついた。書籍バイヤーに対する調査によると、翻訳した海外文学の売り上げは2022年、前年比で22%増加したという。
特に、そのほぼ半分を購入したのは、35歳以下の読者だった。この年代層の読者が購入するフィクションの31%以上を翻訳小説が占めており、この数字は伸び続けている。
翻訳小説の未来は明るい。いくつかの出版社の本は「文化的なアクセサリー」として捉えられるようになっている。それほどクールな存在になったのはなぜなのだろうか
英語に翻訳されて出版される世界中の小説への注目が高まった理由に、ブッカー国際賞の影響があるのは間違いない。同賞が毎年授与されるようになった2016年以降、受賞作品は大きな注目を浴び、売り上げが増えるようになった
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