ワグネルがロシアに復帰の情報「反乱第2幕」の火種か プリゴジン氏、ルカシェンコ大統領ら「反プーチン連合」結成も

夕刊フジ

ロシアのプーチン大統領(古厩正樹撮影)

 

 

 

 

 

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が同国内で武装反乱を起こしたのが6月下旬。創設者のプリゴジン氏とプーチン大統領の間で何らかの〝手打ち〟があり、ワグネルは隣接する同盟国のベラルーシに移動、収拾が図られたとの観測が広がっていた。だが、ここにきて戦闘員が続々とロシア領内に戻ってきているという。ウクライナの大反攻潰しに利用するプーチン氏の強かな計算とみられるが、専門家は、それが逆に「反乱第2幕」のきっかけとなり、命取りになりかねないと指摘する。

 

 

 

 

  【写真】ウクライナ軍の攻撃で破壊されたとするロシア軍陣地 

 

 

 

 

シンクタンク、戦争研究所(ISW)は

9日のリポートで、

 

ワグネルの500人から600人の部隊が、ベラルーシからロシア南部クラスノダール地方、ヴォロネジ州、ロストフ州まで移動していると、内部情報筋の話として伝えた。 6月下旬の武装反乱後、プーチン氏がプリゴジン氏との間で何らかの合意をし、ワグネルの戦闘員はベラルーシに移動。同国軍に協力して訓練を開始していた。 ロシアが侵攻したウクライナの最前線では、ウクライナの反転攻勢が続く一方、ロシアの首都モスクワやクリミア半島周辺でドローン(無人機)攻撃が続き、真偽は不明だが、ウクライナの関与が囁かれている。

 「プーチン氏は結局、(この状況を見て)ワグネルを呼び戻さざるを得なかったのではないか」と話すのは、ロシア政治を専門とする筑波大学の中村逸郎名誉教授だ。 

「ウクライナは8月24日にソ連からの独立記念日を迎えるが、大規模な反転攻勢に出るとの推測もある。反攻に対峙するため、ワグネル戦闘員の力を借り、正規軍を立て直す必要があったと考えられる。結果、プリゴジン氏はプーチン氏に貸しをつくることになり、政治的影響力を増すかもしれない」 このプリゴジン氏の存在は中長期的にプーチン氏の脅威となり、「反乱第2幕」に結びつきかねないという。武装反乱で、先のロシア政権内部が揺らいだほか、プーチン氏の側近や盟友もプリゴジン氏と手を組んでいるとの見方があるからだ。 

 

 

中村氏は「ベラルーシのルカシェンコ大統領はロシアを中心とした連合国家構想や、ロシアの戦術核兵器をベラルーシ国内に配備されてしまうなど、ロシアの配下にあるような立場に不満を持っている。また、プーチン氏の側近、パトルシェフ安全保障会議書記は、息子を後継者にする約束をプーチン氏にほごにされ、不満を抱いているようだ。このプリゴジン、ルカシェンコ、パトルシェフ三者で反プーチン連合を組んでいる可能性もある」と明かす。 8月下旬にプーチン氏がオンラインで参加する新興5カ国(BRICS)首脳会議があるほか、国内では9月に首都モスクワの市長選をはじめ、統一地方選が控え、重要な政治日程が続く。 この政治日程が一つのターゲットになりうるという。

 

 

 

 ■中村逸郎氏「政治的反乱になる公算」 中村氏は「三者はウクライナの反攻のタイミングや、政治日程のタイミングを狙い、プーチン氏に反旗をひるがえす恐れはある。プリゴジン氏がまず政権奪取を狙い、後にパトルシェフ氏の息子を大統領に就けるなどの政治的な取引を三者間ですでに交わしているかもしれない。〝第2幕〟は武装反乱ではなく、政治的反乱になる公算がある」と予測している

 

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