「午後の紅茶」

 

の、

 

 

「ミルクティー」

 

おいしいですよね!

 

 

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リプトン ミルクティー、わずか1年で「元の味に戻します」 なぜ、異例の判断をしたのか?

ITmedia ビジネスオンライン

森永乳業は2022年3月に発売した「リプトン ロイヤルミルクティー」の販売を取り止め、リプトン ミルクティーの再販を決定した

 

 

 

 

 「青春時代を共に過ごした、あのミルクティーをもう一度飲みたいです」――森永乳業の元に消費者からのご意見が届いた。悲痛な声は、同社のロングセラー商品「リプトン ミルクティー」の大幅リニューアルに向けられたものだった。 

 

 

【画像】1年間だけ販売された「リプトン ロイヤルミルクティー」を見る  

 

 

 

 

同社は2022年3月にリプトン ミルクティーの販売を終了し、大幅に味を変更した「リプトン ロイヤルミルクティー」をリニューアル商品として発売した。期待を込めたリニューアル、初速の売り上げは前年以上で上々の滑り出しとなった。  しかしその1年後、同社は「元の味に戻す」という異例の意思決定を下した。その裏には、冒頭の声を含む667件の「ファンの意見」があった。

2008年をピークに苦しい時期が続く

 リプトン ミルクティーの歴史は1989年にさかのぼる。500ミリリットル入って100円というコスパの良さから学生を中心に人気に火が付いた。学生ドリンクの代名詞として長らく愛されてきたが、森永乳業の宇田川史郎さん(営業本部マーケティング統括部ビバレッジ事業マーケティング部マネージャー)は「2008年をピークに徐々に売り上げが落ちていきました」と当時を振り返る。  近年は少子化の影響で牛乳を除く紙パック全体の市場が縮小しており、リプトン ミルクティーもその影響を強く受けているという。もちろん、タピオカミルクティーブームによって一時的に活気が戻ることはあったものの、その分競合の増加やミルクティーの楽しみ方の変化など消費者のニーズは多様化・分散していった。  そこに追い打ちをかけたのが、20年に始まったコロナ禍だった。通勤・通学や部活動が減少した影響を大きく受けた。しかしコロナ禍のような異常事態には新しいビジネスが日の目を見ることもある。実際、お家時間が増加したことで家でコーヒーや菓子を楽しむ「家カフェ」需要が誕生した。リプトン ミルクティーはそこの需要を獲得できなかったのだろうか。  宇田川さんは「ミルクティーが活躍できる場は、少なかったかもしれないです」とこぼす。「要因としては、リプトン ミルクティーのメインチャネルであるコンビニに行かれる顧客がコロナ禍で減ってしまったのが一つ。もう一つは、家で少し贅沢しようと思った際に、リプトンのような買いやすい価格帯の商品が選ばれにくかったことがあると思います」と分析する。  市場の縮小に加え、メインチャネルの崩壊とまさに「泣きっ面に蜂」の状態が続いた。なんとかこの閉塞感を打破する術(すべ)はないか。落ち込み続ける売り上げと向き合い続けた結果、一気に新しい消費者を取り込むしか手段がないとの結論に落ち着き、味の大幅リニューアルに動き出す

 

 

 

 

リニューアル、初速は順調だったが……

 発売から34年の22年3月、リプトン史上最も大きなリニューアル商品「リプトン ロイヤルミルクティー」を発売した。リニューアルにあたり、茶葉感とミルク感を意識したという。  「リプトンは紅茶のブランドですので、どう顧客に紅茶としての価値を伝えられるかと考え抜きました。茶葉を5%増量し、乳固形分を1.5倍以上にすることで香り高いミルクリッチな味わいを実現できたと思っています。商品の分類も、紅茶飲料から乳飲料に変更しました」と宇田川さんは自信を見せた。  「考え抜いた」と話すように、このリニューアルは決してその場しのぎのものではなかった。10~20の試作品をつくったり、リプトン ミルクティーを週2~3本以上飲んでいるヘビーユーザーに新商品を試飲してもらったりなど市場調査もしっかり実施した。実際に「濃厚になっておいしい」「茶葉感がより感じられるようになった」といった期待していたコメントを引き出せたという。  新しいリプトンが市場に受け入れられ、前商品のように多くのファンと新規顧客を連れてきてほしいとの期待を込めて市場に送り出した。確かに、初速はよかった。売り上げペースも前年以上を記録した。  「よし、これからどんどん売っていこう!」というタイミングで、無視できないほどに顧客からの声が増えていった。「元の味に戻してほしい」「購入をやめてしまった」といった前商品の再販を望む声だった。多い日には40件ほどの意見がお客様相談室に届けられた。  事前の調査ではネガティブな意見は出なかったのに、なぜなのか? 宇田川さんは振り返って以下のように話す。「初速が伸びたのは、リニューアルに対する期待感が大きかったのだと思います。事前調査で『おいしい』という意見はいただけましたが、それはその瞬間の話で、飲み続けたいかはまた違う話だったのだと思います」  もちろん「おいしくなった」というポジティブな意見も届いた。しかしそれを圧倒的に上回る数の意見が寄せられたのだ。半年間で667件という数字は、森永乳業では前代未聞だった

 

 

 

 

リプトン ミルクティー、元に戻します

 新商品は初速が重要となる。特に飲料市場などのレッドオーシャンではなおさらだ。市場にいち早く浸透させ、丁寧にファンを増やしていく販売戦略やコミュニケーション戦略の策定と実行を着実に進めていかなくてはいけないだろう。  そのような重要な時期に「元に戻すのか、新商品で行くのか、リプトン ロイヤルミルクティーをさらにリニューアルするのか」といった難解な意思決定を迫られていた。最終的に、リプトン ミルクティー復活を望む声が多かったことを踏まえ、元に戻すことにした。  「正直、いろいろな感情や思いがよぎりましたね。意を決してリニューアルしたのに元に戻すのって正直かっこわるいじゃないですか。そういう気持ちもあったのですが、やっぱり顧客が本当に求めている、望んでいることとは何か? を考えて戻す方向に舵を切りました」

667通のラブレター、復活PR動画を公開

 戻すという異例の意思決定のあとの最初の仕事は、ファンへの情報発信だった。森永乳業はお客様相談室に届いた667件のご意見を盛り込んだ、オリジナル短編アニメーション動画「667通のラブレター」を作成し、公開した。  「元に戻すという意思決定を後押ししてくださったのは、顧客の声でした。それが、わたしたちには『愛』に感じたんですよね。なので、元に戻すお知らせを出す際には、顧客の声からつくったプロモーションにしたいという思いがありました」(宇田川さん)  動画内のセリフや役名などいたるところにリプトンに関連する要素を散りばめた。作中で流れる歌詞は、お客様相談室に届けられた声から書き下ろされた。リプトン ミルクティーがどれほど愛されているかがよく伝わるプロモーション動画となり、消費者に届けられた。  リプトン ミルクティー復活の反響も大きく、中容量サイズ(450ミリリットル)の売り上げは、計画比2倍で推移しているという(6月末時点)。「復活ありがとうございます」という感謝の声もお客様相談室に続々と届いた。  宇田川さんは今回のリニューアルと異例の意思決定を振り返り、今後の商品開発への学びとして以下のように締めくくった。  「ロングセラー商品になればなるほど、定量調査だけでは見落としてしまうヘビーユーザーの思いがあるのだと気付かされました。味に関しては、今まで以上に慎重に決めていくというのが一番の学びでしょうか。実際に飲んでくださっている顧客の表情や反応を見ずに、数字だけで意思決定するのは失敗につながりかねません」

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