放流水が階段駆け上がり祠にかかる、擁壁崩落事故の天ケ瀬ダム
青野 昌行日経クロステック/日経コンストラクション
日本最大級の水路トンネルからの初放流で対岸が崩落した天ケ瀬ダム(京都府宇治市)で、放流水が階段を駆け上がり、祠(ほこら)にかかっていたことが新たに分かった。階段は流水を正面に受ける位置にある。ダムを管理する国土交通省淀川ダム統合管理事務所が2023年6月7日に有識者委員会を開き、被災状況や今後の対応方針などを明らかにした。祠付近への着水状況(出所:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
23年5月8日から9日にかけて、宇治川に面したトンネル式放流設備の吐き口部から放流したところ、対岸にある道路脇の石積み擁壁が崩落。近くに架かる白虹橋の橋台前面で河岸の洗掘が生じた。同設備からの放流量は、最大で毎秒629m3に及んだ。
トンネル式放流設備と道路脇の擁壁崩落箇所。被災後の2023年5月13日に撮影(出所:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
放流設備と被災箇所の位置関係(出所:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
吐き口部から毎秒580m3放流していたときの様子。23年5月8日午後6時50分撮影(写真:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
天ケ瀬ダムの操作状況(出所:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
吐き口部の対岸の上部は、盛り土に石積み擁壁を設けた構造になっていた。放流によって打ち上げられた水は、計画高水位(HWL)よりも1.9m高い位置まで到達。擁壁の基礎が洗掘されて崩落が起こったと推察される。白虹橋付近は玉石コンクリートで根固めしていたが、放流によって洗掘が生じ、前面から土砂が流出した。
崩落した対岸の擁壁(出所:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
推察される擁壁崩落の原因(出所:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
推察される白虹橋付近の河岸洗掘の原因(出所:国土交通省
放流水が階段駆け上がり祠にかかる、擁壁崩落事故の天ケ瀬ダム | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)