世田谷区本庁舎の工事でトラブル、大成建設が最大6カ月の工期延長を申し入れ
小山 航
日経クロステック/日経アーキテクチュア
総事業費約450億円を投じて進む東京都世田谷区の庁舎建て替え工事でトラブルが起こっている。大成建設は「世田谷区本庁舎等整備工事」のうち1期工事の完成が、予定していた2023年9月から最大で6カ月遅れるとの見解を示した。施工計画の検討や工程管理に問題があったという。23年5月30日に世田谷区の現庁舎で開いた記者会見で明らかにし、翌31日には自社のウェブサイトに謝罪文を掲載した。
大成建設が世田谷区長に宛てた書面(出所:大成建設)
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施設の老朽化が進む世田谷区本庁舎では、機能向上などを目的に21年7月から建て替え工事が進んでいた。道路を挟んで隣接する東西の敷地に、地下2階・地上10階、延べ面積約3万6400m2の東棟と、地下2階・地上5階、延べ面積約3万6500m2の西棟を建設する計画だ。佐藤総合計画(東京・墨田)が設計・監理を担当している。
世田谷区本庁舎等整備工事の概要。既存の庁舎を解体し、東棟・西棟から成る新庁舎を建設する。東棟と同じ敷地にある世田谷区民会館は、一部を改修して使用を続ける。設計費や工事費を含めた総事業費は約450億円だ(出所:世田谷区の資料に日経クロステックが加筆)
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庁舎機能を維持しつつ工事を進めるために、工事を3期に分割。東棟は1期と2期に、西棟は1期から3期にかけて工事を進め、27年10月に完成する予定だ。
半年の遅れが生じる1期工事の内容は、区民会館の改修工事と東1期棟の建設、西1期棟の建設だ。大成建設によると、コンクリート躯体工事と外装工事の施工計画の検討が不十分で、予定どおりに着手できなかったという。同社はこれらの工事の遅延で3.5カ月、その後の外部足場の撤去や外構工事の着手までに1.5カ月、完成前の消防検査や完了検査に要する期間を1カ月とし、最大で6カ月の工期延長が必要だとしている。
1期工事の概要。図中の「仮囲いエリア」が、23年9月に完成する予定だった範囲。青枠で示したのが建て替える施設。赤枠で示した世田谷区民会館は改修して使用する(出所:世田谷区
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