田畑や駐車場に突然がれきの山が…産業廃棄物の「ゲリラ投棄」で70歳代の男2人逮捕
寺の駐車場に捨てられた廃棄物(4月17日、茨城県城里町提供)
茨城県城里町で産業廃棄物約2トンを捨てたとして、茨城県警が1日、同県ひたちなか市の70歳代の男2人を廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で逮捕したことが、捜査関係者への取材で分かった。県内では近年、山中への大量投棄ではなく、平地の田畑などに少量の産廃を捨て去る手口が横行しており、県や県警が「ゲリラ的不法投棄」と呼んで警戒を強めていた。
捜査関係者らによると、2人は4月中旬、城里町上入野の寺の駐車場に、トラックに載せた産廃を不法投棄した疑いがある。寺の男性住職(69)が通報し、付近の防犯カメラ映像などから2人の関与が浮上したという。
住職によると、被害に気づいたのは4月16日朝。寺の駐車場に、高さ1メートルほどのがれきの山ができていた。残土やコンクリート片、セメントなどが入り交じっており、撤去するのに16万円かかったという。
城里町や隣の水戸市などでは昨年10月以降、計15件前後の「ゲリラ投棄」被害が確認されており、県警はこの2人が関わった疑いがあるとみて調べている。
かつては山間部に大量投棄、今はあちこちに「少量」ずつ
寺の駐車場に捨てられた廃棄物(4月17日、茨城県城里町提供)
従来、人目につかない山間部で大量の産業廃棄物が見つかるというのが不法投棄の大半のケースだったが、10年ほど前から「ゲリラ投棄」が目立ち始めた。短時間のうちに、トラック1台分、数トン程度をあちこちの田畑や道路などに捨てていく手口だ。
茨城県が2016年度から、従来型と区別した「ゲリラ的不法投棄」の統計を取り始めたところ、16年度の13件から20年度には157件に急増した。監視を強化するなどした結果、21年度以降は減少傾向にあるものの、依然として後を絶たない。隣県の千葉や栃木でも同様の被害が出ており、両県はホームページで注意を呼びかけている。
環境省によると、国がまとめる不法投棄の統計は10トン以上を基準にしている。数トン程度が多いゲリラ投棄は数字に反映されず、実態を把握できていないという。
国の統計によると、全国の不法投棄は1998年度の1197件をピークに減少し、2011年度以降は200件未満で推移している。21年度は過去最低の107件だったが、減少の背景には、ゲリラ投棄へ移行した可能性があるとみられている
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