日本は「リスク低減」の実例を示してくれている

「欧米は日本を見習うべきだ」─独誌が日本の対中政策を高く評価する理由

 
 

 

シュピーゲル(ドイツ)

 

Text by Michael Sauga

 

 

中国との間に、隣国同士であるがゆえのさまざまな問題やしがらみを抱える日本。その対中政策について国内では、対立を煽りすぎ、弱腰、中途半端などなど、さまざまな考えがある。

いま、欧米の国々の多くも、国際社会で大きな力をつけるとともにますます強権的になる中国にどのように向き合うべきか、頭を悩ませている。それらの国の目には、日本の対中政策はどのように映っているのか。

ひとつの見方として、ドイツの「シュピーゲル」誌に掲載されたコラムを紹介する。そこでは、日本の対中政策がしたたかにバランスをとるものだと高く評価され、欧米もそれを見習うべきだと主張されている。

 

混迷を極める対中政策


中国のこととなると、西側の同盟諸国は最近、一致団結した態度をとれず、さながら学生集会のようだ。

米国では、民主党と共和党が、どちらが中国に対してより好戦的になれるかで張り合っている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、中国が台湾を急襲しても、積極的に目をそらす構えだ。そしてEUはというと、公式の覚書によれば、中国政府を「パートナー、競争相手、および戦略的ライバル」と位置づけている。各加盟国は、自国にとって都合のよい中国の位置づけをここから選べるというわけだ。

しかし、ドイツ政府は、連立政権内で合意に至らないため、EUの定義から好きなものを選べる立場ですらない。現在、オラフ・ショルツ首相とアンナレーナ・ベアボック外相が、かねてから予告していた中国戦略を、ドイツと中国の政府間協議の前に発表するか、後に発表するかで揉めている。その政府間協議は2023年6月に予定されているので、ベアボックが所属する緑の党とショルツが所属する社会民主党は、互いに対立をさらに深める時間的余裕がある

 

 

 

 

見習うべきは日本


習近平の独裁政治がますます攻撃的になるなかで、すでにずっと前から不快な経験をしてきた国から何かしらを見習うことができれば、ドイツの混乱の解消につながるかもしれない。

参考にするべきその国とは、日本だ。日本は、多くの点でドイツと似ている。ドイツと同様、高齢化が進んでいるし、輸出が盛んな経済だ。

ところが、まだドイツで「貿易による変革」(註:中国と結びつきを強めて世界経済に取り込むことで、中国国内の政治の穏健化・現代化、人権問題の解決が促されるだろうという楽観論)といったお題目が唱えられていた頃から、そして米国で「チャイメリカ」(註:チャイナとアメリカを組み合わせた造語)なる、21世紀の2つの超経済大国の密接な関係がしきりに語られていた頃から、

 

 

すでに

日本は中国に対抗しなければならない状況にあった

 

 

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