日本100名城の湯築城跡、VR映像で再現…武将気分で公園散策

読売新聞オンライン

VR映像の体験会で、湯築城が存在した時代の感覚を味わう参加者(松山市で)

 

 

 

 

 日本100名城にも選定された国史跡・湯築城跡(松山市)について、

愛媛県は城が存在した当時の様子を仮想現実(VR)映像で再現し、

史跡解説のデジタルコンテンツとして城跡内で活用し始めた。

 

近年の「お城ブーム」を追い風にして魅力を発信する狙いがあり、担当者は「リアルな映像で城跡への理解を深めてほしい」と呼びかけている。

(上羽宏幸)

 

  【画像】VRで再現された展望台からの中世の眺め

 

 

 

現在の展望台からの眺め

 

 

 湯築城は、中世に伊予国の守護を務めた河野氏が、14世紀前半から約250年にわたって居城としていた。石垣や天守はなく、自然の丘陵を利用した山城の麓に16世紀前半、堀などを築いて平山城となった。河野氏は栄華を極めたが、1585年、豊臣秀吉の四国攻めによって当主の河野通直が城を明け渡した

 

 

 現在は道後公園として親しまれ、家臣らが住んだとされる区域に中世の建物や土塀などが復元されている。二重の土塁や堀は良好な状態で残り、2002年、国史跡に指定された。

 

 

 映像の制作は、新型コロナウイルス禍後に増加が見込まれる観光客らに、新たな目玉を提供しようと企画された。搦手門、上級武士居住区など5か所の看板からQRコードを読み取ると、解説映像が視聴できる。ナビゲーターは元NHKアナウンサーの松平定知さんが務めた。

 

 

 映像では、城跡西側で礎石などが出土して搦手門があったことが分かり、土塁とともに門が城の守りを固めていたことを紹介。城跡南側は上級武士の居住区と推定され、ごみ捨て場の土坑から宴会用の素焼きの土器が多数発見されたことも説明している。

 

 また、中世の城内の姿をコンピューターグラフィックスで再現したVR映像がスマートフォンやタブレット端末で公開され、現在の公園の様子と比較できる。湯築城資料館では専用ゴーグルを使った視聴が可能で、360度の視点から、さらに臨場感あふれる体験を楽しめる。

 

 2日に行われた体験会には県立松山北高の郷土研究部員が参加。ゴーグルで映像を見た3年生(18)は「映像に入り込んで、自分が戦国時代の武将になったように感じた。映像を見た後に公園を歩くと移り変わりを実感できる」と興奮していた

 

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