AI研究の第一人者ヒントン氏、グーグルを退社「危険性話すため」
2017年、カナダ・トロントで講演するジェフリー・ヒントン氏=ロイター
人工知能(AI)研究の先駆者とされるカナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン名誉教授は1日、米グーグルを退社したと表明した。対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」などの生成AIが世界的注目を集めるなか、AIの危険性をより自由に発信する意向を示した。
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米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)が1日公開したインタビューで、
ヒントン氏は、
生成AIの普及で
偽の画像や文章があふれ、
真実がわからなくなる可能性があると指摘。
グーグルや米マイクロソフトなどIT大手が、
止めることのできない開発競争に陥っているとの見方を示した。
ヒントン氏は人々の雇用への影響にも触れ、
「(AIが)単調でつまらない仕事を奪う」
「それ以上の仕事も奪うかもしれない」と述べた。
長期的なリスクとして、
完全に自律したAI兵器が生まれる可能性にも言及。
「多くの人がはるか先の話だと考えていた。私も30、50年、さらに先のことだと考えていた。明らかに、今はもはやそうは思わない」として、
これまでの想定以上にAIが進化しているとの認識を示した。
ヒントン氏は同日にツイートし、
「NYTは今日、私がグーグルを批判するために退社したと示唆した。
実際には、AIの危険性についてグーグルに与える影響を考慮せず話せるように退社した」と表明。
「グーグルはとても責任ある形で行動してきた」とも述べ、
AI全般について警鐘を鳴らすという姿勢を示した。
ヒントン氏は、
画像などの大量のデータから特徴を見いだし、
AIが自ら学習する「深層学習」と呼ばれる技術を研究。
2018年にコンピューターサイエンス分野の「ノーベル賞」とされる
「チューリング賞」を受けた。
グーグルは13年にヒントン氏らが設立した企業を買収していた。(
サンフランシスコ=五十嵐大介)
朝日新聞
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