ユニクロの服を断熱材として「着た」郊外標準店、巨大ロゴキューブを角に配置
川又 英紀
日経クロステック
1辺が約7mある真っ赤なロゴキューブ。
見かけた人に強烈なインパクトを与えるユニクロのロードサイド店「UNIQLO LOGO STORE」の第1弾となる「ユニクロ 前橋南インター店」が2023年4月21日に前橋市で開業した。
前橋市にオープンした「ユニクロ 前橋南インター店」。建物角の巨大なロゴキューブと、外壁を覆うガラスファサードが最大の特徴だ。前橋南インター店は今後、ロードサイドの郊外標準店になる(写真:日経クロステック)
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前橋南インター店はユニクロにとって、重要な意味を持つ。
今後出店していくロードサイドの郊外標準店と位置付けられているからだ。
敷地によって大きさは変わるが、
基本的な店舗デザインは前橋南インター店がベースになる。
始めからモジュール単位で店舗設計することで、
敷地に応じたアレンジをしやすくしている。
店舗の南側にある正面の出入り口。建物はフラットな平屋建て(写真:日経クロステック)
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店舗の平面は、約57m(南)×約50m(東)で正方形に近い。
平屋建てで、
高さは約8m。
約7mあるロゴキューブのすぐ上が屋根だ。
構造は鉄骨造。
延べ面積が約2700m2の超大型店である。
北関東自動車道の前橋南インターチェンジに近く、来店客は車移動が前提になる。約1万m2の敷地に広大な駐車場を完備している。前面道路は店舗の正面出入り口がある南側と、カフェやレジがある東側を通る。
もう1つの出入り口がある東側。店舗の出入り口前には芝生の「UNIQLO GARDEN」を設けた(写真:日経クロステック)
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この店舗が斬新なのは、建物の南側と東側の外壁をガラスファサードにしたことである。「街に開かれた店舗」であり、内部のにぎわいが外からでも分かるようにした。
街に開いた店舗はガラス越しに、内部のにぎわいやディスプレーが見える(写真:日経クロステック)
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店舗の南西側。ロゴキューブは合計3カ所の角に配置した。
写真左手には24年に「IKEA 前橋」ができる
(写真:日経クロステック)
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店舗デザインを監修したのは、クリエーティブディレクターであるサムライ(東京・渋谷)の佐藤可士和氏。
前橋南インター店は「ユニクロの過去10年ほどの取り組みが全て詰まった最新店舗」と説明する。
同時に、
「10年来の課題だったロードサイド店のデザインに、ようやく1つの答えを出せた。人通りが多い都心のグローバル旗艦店の開発よりも、強い来店動機がなければ顧客がやって来ない郊外店のほうがデザインははるかに難しかった」(佐藤氏)。
前橋南インター店のコンセプトを説明する、クリエーティブディレクターの佐藤可士和氏。既に15年以上、ユニクロのブランディングに関わっている(写真:日経クロステック)
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ネット通販が当たり前になった今は、わざわざ来店しなくてもユニクロの服を買える。そんな時代に求められる郊外型店舗の在り方を佐藤氏はずっと考えてきた。
ようやくヒントが見つかったのが、
コロナ禍の20年にオープンした公園のような「ユニクロ PARK 横浜ベイサイド店」や、
21年に国立新美術館で開催された自身の大規模な個展「佐藤可士和展」での展示だったという。
「ユニクロ PARKでは、この場所に来なければ体験できない要素が必要だと気づかされた。それが店舗の屋根に配置した滑り台だった。佐藤可士和展ではユニクロのロゴを1辺3.5mに拡大し、天井高が約5mある美術館内に展示した。すると誰でも知っているユニクロのロゴの前で、記念写真を撮る人が大勢いて驚いた。見慣れたロゴも一定サイズを超えると驚きが高まり、エンターテインメントのような存在になり得るという気づきがあった」
佐藤可士和展のときは倉庫に約5mの壁をつくり、
ロゴをどれだけ大きくして展示すればインパクトがあるかを実物大で検証したという。
「1辺が10cm大きくなるだけで、見た目の印象は大きく変わると分かった。当初3mで用意していたロゴはあまり心に響かず、3.1m、3.2mと拡大していく中で強いインパクトを受けるサイズを探していった」
佐藤可士和展が開幕、建築物や内装の意匠登録されたユニクロやくら寿司を学ぶチャンス
実寸でのサイズ検証が、ロゴキューブのアイデアにつながった。
今回は1辺が約7mの巨大さだ。
佐藤氏が前橋南インター店の開発ミーティングで描いたスケッチを見せてくれた。
絵のまま、本物の店舗が出来てしまった感じだ。
佐藤氏が前橋南インター店の打ち合わせで描いたスケッチ。ほぼそのまま実物になった(出所:佐藤 可士和)
ユニクロの服を断熱材として「着た」郊外標準店、巨大ロゴキューブを角に配置 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
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佐藤可士和展が開幕、建築物や内装の意匠登録されたユニクロやくら寿司を学ぶチャンス
川又 英紀
日経クロステック
2021年2月3日、東京・六本木にある国立新美術館で「佐藤可士和展」が開幕した。
日本を代表するクリエーティブディレクターであるSAMURAI(サムライ、東京・渋谷)の佐藤可士和氏による仕事ぶりを紹介する、
過去最大規模の個展だ。
会期は同年5月10日まで。
佐藤氏の活動は、デザインやアートディレクション、ブランディングなど多岐にわたる。
クライアントの多くは日本を代表する企業ばかりだ。
近年は建築分野のデザイン監修といった仕事が急増しており、
展覧会では建築関連の展示に大きなスペースを割いている。
建築だけでも、
ユニクロや
都市再生機構(UR都市機構)、
くら寿司、
千里リハビリテーション病院(大阪府箕面市)、
武田薬品工業など、
業種業態が異なる企業の展示がずらりと並ぶ。
模型は少なく、パネルでの紹介が多いが、
全国に広がる佐藤氏の仕事を俯瞰(ふかん)できる絶好のチャンスといえる。
佐藤可士和氏と建築家の隈研吾氏が手を組んだUR都市機構の「団地の未来プロジェクト」(写真:SAMURAI)
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その中には、建築物や内装の意匠が登録されたばかりのプロジェクトも含まれている。
デザイナーだけでなく、
建築関係者も見ておいて損はない展覧会といえそうだ。
20年4月に開業した青森県八戸市の多目的アリーナ「FLAT HACHINOHE(フラット八戸)」(手前)。
SAMURAIがロゴデザインだけでなく、
空間デザインをプロジェクトの初期段階から入り込んで手掛けた。
建物の設計・施工は戸田建設が担当。
展示中央が「千里リハビリテーション病院」、奥が「ふじようちえん」の展示(写真:SAMURAI)
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建設業界に佐藤氏の名がとどろいたプロジェクトとして知られるのが、
東京・立川市の「ふじようちえん」である。その展示もある。
幼稚園のリニューアルをプロデュースし、
屋根の上を子どもたちが走り回れる楕円形の園舎を佐藤氏は提案した。
様々な幼稚園を見て回り、
四角い建物の周りに遊具を配置するという典型的な幼稚園の在り方に
「自由さが足りないのでは」と疑問を感じたという。
そこから発想を膨らませ、
ふじようちえんのコンセプトを
「園舎自体が巨大な遊具」とした。
園舎そのものがアイコンになることも狙った。
そして今では、日本有数の人気幼稚園になっている。
建物の設計は、手塚建築研究所(東京・世田谷)が手掛けた。
ふじようちえんの説明をする、手塚建築研究所の手塚貴晴氏(左)と手塚由比氏(中央)。
手塚夫妻にとっても、
ふじようちえんは代表作となり、
数々の賞を得た
(写真:日経クロステック)
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佐藤氏といえば、ユニクロのブランディングやアートディレクションを長く務めていることでも知られる。店舗デザインにも深く関わっている。
佐藤氏が長年関わるユニクロの店舗デザインなどを紹介(写真:SAMURAI)
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20年4月に横浜で開業した公園型店舗「UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店」は
記憶に新しい。
佐藤氏と建築家の藤本壮介氏がタッグを組んだ、
ユニクロの店舗開発の第2弾だ。
約10年前には大阪のグローバル旗艦店「ユニクロ 心斎橋店」で、
真っ白いファサードの店舗を一緒につくった実績がある。
藤本氏は20年末に日経アーキテクチュアの取材に応じた際、
UNIQLO PARKの模型を見ながら裏話を明かしている。
「屋根が階段状になっている模型を可士和さんに見てもらったとき、
これが滑り台だったら面白いよね」と指摘され、パッと道が開けたという。
佐藤氏と一緒に公園型店舗「UNIQLO PARK 横浜ベイサイド店」を発案したときのエピソードを語る藤本壮介氏(写真:北山 宏一)
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藤本氏は、斜めの屋根に滑り台などの遊具を設けた店舗デザインを監修。
UNIQLO PARKを「訪れる目的になる郊外店」に仕立てた。
ファーストリテイリングの柳井正社長は一目で、公園型店舗を気に入ったという。
UNIQLO PARKは商業用建築物として初めて、20年11月に意匠登録されたことが注目に値する。
外観のユニークさが際立つ建物というわけだ。
UNIQLO PARKは建築物の意匠が初めて登録された(資料:経済産業省
佐藤可士和展が開幕、建築物や内装の意匠登録されたユニクロやくら寿司を学ぶチャンス | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
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