が、
北欧や、イギリスでは、当たり前です。
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英国で平均寿命が伸びない理由...「集団自決」などなくても長生きできない厳しい現実
<ロンドンの高級住宅街ケンジントンからニュークロスゲートまで、わずか10キロ離れただけで男性の平均寿命は92歳から74歳へと18年も短くなる>【木村正人(国際ジャーナリスト)】
[ロンドン発]昨年4月~今年3月までの1年間で、英国の食品とノンアルコール飲料の価格が45年超ぶりに最速のスピードで上昇していることが19日、英国家統計局(ONS)の発表で分かった。食品とノンアルコール飲料の年間インフレ率は19.2%で、前月の18.2%からさらに上昇した。これより高かったのは直近では1977年8月の21.9%という。
食品インフレ率の上昇に最も貢献したのはパンとシリアルで、平均19.4%も上昇。最新の世論・社会動向調査によると、成人の半数以上(51%)が食品の買い物をする時、購入量を減らしている。成人の約4人に1人(26%)が過去2週間に食料必需品の不足を経験、ちょうど1年前の16%を大きく上回った。 食費節約のために53%の成人が「より安い食品を買う」、26%が「缶詰や賞味期限の長い食品を多く買う」、21%が「賞味期限の過ぎた食品を食べる」と回答。16%が食事の量を減らしたり、食事を抜いたりしており、中等度から重度の抑うつ症状を持つ人で42%、リタイア前の非就業・非求職者で35%、イングランドで最貧困地域に住む人で31%に達していた。 英紙ガーディアンによると、英国の定番食品チェダーチーズ、白パン、ポークソーセージの価格はこの1年で80%も高騰。著しく値上がりしたのは(1)砂糖 42.1%(2)ソース、調味料、塩、スパイス、料理用ハーブ33.7%(3)牛乳、チーズ、卵 29.7%。エネルギーや肥料の高騰とインフレによるコスト増、悪天候による不作が原因だ。トマトも不足している。
■がん患者の最高待ち時間は671日
60歳を超え、年金生活に備える英国暮らしの筆者はスーパーで買い物をするたび、レシートを見て「本当に高くなった」とため息をつく。早く買い物に行かないと卵も品切れで、翌日買い足しに行く羽目になる。欧州単一通貨ユーロ圏では年間インフレ率は8.5%に下がっている。今更ながらモノの流れを停滞させた英国の欧州連合(EU)離脱が恨めしい。 円安にインフレのダブルパンチは円建ての収入が多い筆者には応える。それだけではない。英国の公共医療サービス(NHS)は原則無償がセールスポイントなのだが、かかりつけ医(GP)の緊急紹介から2カ月以内に治療を受けられるはずのがん患者の最高待ち時間は671日(英大衆紙デーリー・ミラー)。住む地域によって医療サービスには大きな格差がある。 筆者の友人、知人には心疾患で手術を受けた50代、60代、70代の男性が多い。
民間健康保険によるプライベート医療を受けた男性は
カテーテル治療の費用が3万5000ポンド(584万円)と算定され、
毎月の保険料が600ポンド(10万円)に値上げされたとぼやく。
別の男性はNHSの順番待ちに音を上げて自費で治療を受け、
2万ポンド(334万円)を支払った。
米イェール大学・成田悠輔助教は、日本の65歳以上が全人口の3割に達したことに関連して、ネットTVで「僕はもう唯一の解決策ははっきりしていると思っていて結局、高齢者の集団自決、集団切腹みたいなのしかないんじゃないかなと。
人間って引き際が重要」と持論を展開したことが米紙ニューヨーク・タイムズなど海外メディアで問題視された
英国の平均寿命はこの10年で横ばい
しかし、おカネのない人は長生きできないのが英国の現実だ。大学医学部(循環器系)で「生産性が低くなった老人を長生きさせる治療法を研究する必要はない」という暴論が交わされたと耳にしたことがある。コロナによる死者は22万3700人超。うち86%が65歳以上だ。英国の脱マスクなどコロナ正常化が早かったのは高齢者の犠牲の上に成り立っている。 「英国は10年もの間、平均余命より早い死に苦しんできた。なぜか? 早死25万人の謎」という衝撃的な記事が英誌エコノミスト(3月9日)に掲載された。英国の平均寿命は2世紀近くにわたって伸び続けてきた。しかし2010年代前半、他の先進国フランスやデンマークに比べ、高齢者だけでなくすべての年齢層で伸び悩み始めた。 現在、英国の平均寿命(出生時の平均余命)は81歳で、11年に比べ8週間長くなっただけだ。1980~2011年に平均寿命が伸びたペースが維持されていれば、英国の平均寿命は83.2歳に伸びていたはずだと同誌は推定する。12~22年に70万人の英国人が想定されていたより早く死んだ。コロナや景気後退の影響を除いた原因不明の早死は25万人にのぼる。 この変化は貧困層で大きい。「ロンドンの高級住宅街ケンジントンからニュークロスゲートまで、わずか10キロメートル離れただけで、男性の平均寿命は92歳から74歳へと実に18年も短くなる」と同誌は指摘する。問題は高齢者だけではない。若年層と中年層の死亡率も上昇しており、30~49歳の死亡率は12年ごろから着実に上がっている。
■最富裕層で伸びる平均余命
英国の平均余命は最貧困層で短くなったのに対して、最富裕層では伸びた。貧しい少女と豊かな少女の平均余命の差は11年には6.8歳だったのに17年には7.7歳まで開いた。少年の場合はその差は9.1歳から9.5歳に拡大した。「すべての人の医療とケアを改善する」ことを使命にする英シンクタンク「国王基金」のヴィーナ・ローリー上級研究員はこう解説する。 「1841年に生まれた男性の平均寿命は40.2歳、女性は42.3歳。これは主に乳児期と小児期の死亡率が高かったためだ。栄養、住居、感染症対策など公衆衛生の改善で死亡率は低下し、1920年に平均寿命は男性56歳、女性59歳まで延びた。20世紀には小児予防接種、国民皆保険、心臓病やがんなど成人病治療の進歩、喫煙の減少で平均寿命は飛躍的に向上した」 2019年、イングランドの平均寿命は男性79.9歳、女性83.6歳だったが、コロナ危機の20年には男性で1.3歳減の78.6歳、女性で1歳減の82.6歳と10年前の水準になった。男性の健康寿命は63.1歳、女性は63.9歳。最も恵まれない10%の地域の男性は最も恵まれない10%の地域よりほぼ10年長く生きられると予想され、女性の場合はその差は8年だった。 平均寿命の格差の約3分の1は恵まれない地域で心臓病や呼吸器疾患、肺がんによる死亡率が高いことに起因している。主な危険因子の喫煙と肥満は恵まれないグループほど高くなっていた。一方、平均寿命が急激に短くなった米国では薬物、アルコール、自殺による「絶望の死」が最も大きな被害をもたらしている。 世界金融危機とその後の緊縮財政で貧富、健康、教育すべての格差が拡大した。貧しい家庭は生鮮食品を買って栄養のバランスの取れた食事を用意したり、運動したりする余裕もない。糖分や炭水化物が多く含まれた低価格の食品やスナックは肥満の最大の原因だ。筆者は健康寿命を1日でも長く延ばすため軽いジョギングと散歩、筋トレに精を出し始めた
英国で平均寿命が伸びない理由...「集団自決」などなくても長生きできない厳しい現実(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース