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「実はMakuakeでデビューしていました!」vol.1 〜ミシュラン星獲得フレンチレストラン「アマラントス」〜

「ミシュランガイド東京2023」——昨年11月に発表されたそのリストに「アマラントス」の名があった。

オープンから一年で偉業を達成した、わずか8席のフレンチレストランは、実は「Makuake」を通じてデビューした個人店。ミシュランスターシェフ・宮﨑慎太郎氏が満を持して開いた小さなお店が今、大きな注目を集めている。

このタイミングで改めて聞いてみたい。宮﨑シェフにとって「Makuake」への挑戦はどのようなものだったのか?

プロジェクトに伴走した「Makuake」のキュレーター・尾高宏幸氏と共に当時を振り返ってもらった。

アマラントス chef proprietaire 宮﨑慎太郎氏 

株式会社マクアケ キュレーター本部 尾高宏幸氏

ミシュラン星獲得13回のスターシェフが
満を持して個人店をオープン

まずは、宮﨑シェフの華々しい経歴からご紹介したい。

2005年にパリへと渡り、ミシュラン星獲得店を含む4つの店舗で修行。2007年に帰国し、新丸ビルに出店した「オーグードゥジュール ヌーヴェルエール」にて料理長を勤め、同年から7年間ミシュラン星を獲得。その後、「ザ・リッツ・カールトン東京」からレストランの立て直しを依頼され、移籍して1年後から6年間、ミシュラン星を獲得した実績を持つ。

“ミシュラン請負人”ともいえる彼の「Makuake」への挑戦は、それだけでも大きなニュースだった。プロジェクトページでも「上半期最大ニュース」と銘打ち、入念な準備を進めたという。

尾高氏が当時を振り返る。

「宮﨑シェフは、経験や実績はもちろんですが、何よりも『本当に美味しい料理とは何か?』を追求されている熱い想いを持った方。とにかくプロジェクトページではそこをしっかりと伝えることを意識しました。

『Makuake』の飲食店のプロジェクトページは、料理をメインに見せることの方が多い。しかし、このプロジェクトの顔は宮﨑シェフ。まず、シェフのお顔を見せ、その存在感を感じていただけるような構成にしました。

今回は、どれだけ素晴らしいシェフの挑戦であるかと、シェフの挑戦にかける想いを伝えることこそが、料理やお店のコンセプトを丁寧に伝えることと同じかそれ以上に大事になってくる。もっというと、それをわかってくれる方に応援購入していただけるといいなと考えていましたね」

※プロジェクトページはこちら

宮﨑シェフが続ける。

「飲食業界一本でやってきたので、始める前はとにかく未知数。よくわからない、不安なことも多かったんです。

でも、尾高さんを含め、『Makuake』の方たちは、みなさんレスポンスが早かった。質問をしたらすぐに答えが返ってくる。その場でわからなくても、すぐに確認して連絡をくれる。僕の相談に真摯に向き合ってくれていることが伝わって、すごく安心できました」

「この仕事をやっていて良かった」
直に感じた期待と応援

新丸ビル、ザ・リッツ・カールトン東京。ここ十数年は、高層ビルの“大きな箱”で料理を提供してきた。もちろん、それ自体が魅力的な挑戦であることは間違いない。

しかし、コロナ禍になり、改めて自身のやりたいことを考えてみた。次第に、これまでに出会った多くのお客さんと、ゆっくり、楽しい時間を過ごせる小さなレストランを開きたいとの想いが強くなった。

「『Makuake』に挑戦した知人のシェフから話を伺い、ぜひやってみたいと。実店舗が完成する前に、多くの方にお店を知ってもらえるメリットは非常に大きかった。

従来であれば、好調なのか苦戦しているのかはオープン後でないとわかりません。もちろん自信があるから個人店をやろうと思ったわけですが、『Makuake』であれば、『これだけ期待されているということは、まずは大丈夫そうだ』と一旦安心できるというか。来店見込み人数に合わせた仕入れもできますしね」

宮﨑シェフのプロジェクトには、1,000万円近くの応援購入金額が集まった。この数字は、いまだに「Makuake」のフレンチレストラン部門の一位をキープしている。

「尾高さんにアドバイスをいただいた通り、楽しみに待ってくださっていた友人や繋がりの深かった過去のお客様などにメッセージを送りましたので、良いスタートダッシュが切れました。

まずは、そうやって事前にお声がけしていた方が応援購入してくださったのですが、次第に『あ、全然知らない方も買ってくださっているな』ということが増えてきて。まだ完成していない、どんなお店なのかもわからない中で、こんな風に期待して応援してくださるんだということがとにかく嬉しかった」

その“期待”は、伸びていく応援購入金額はもちろん、サポーターからの応援コメントでもダイレクトに感じることができたという。

「知らない方でも『すごく楽しみにしてます!』と言われると、シンプルに嬉しい。知っている方でも『ああ、◯◯さん久しぶりだな。元気かな?』って思うし。コミュニケーションツールとして、すごく良い。みなさんから応援の気持ちをいただき、コロナ禍で色々あったけど、この仕事をやっていて良かったなと思いました」

複雑化した現代において
「Makuake」は新たなPR手法

「Makuake」プロジェクトが大成功に終わり、オープンから一年でミシュラン星を獲得した。この美しいストーリーは、シェフが想像していた通りのものなのだろうか?

「『ミシュランシェフ』であることはプロジェクトページにも大きく書いていたので、心の中では『取れなかったらまずいな』とは思っていました。騙すことになってはいけないという、良い意味でのプレッシャーがあったので獲得できて良かったです(笑)。

40〜50席のレストランから8席のカウンターになったのだから、スタッフは少ないですが、絶対にクオリティは下げないようにと思ってやってきました。ミシュラン星が全てではないですが、このやり方で頑張っていたら、いずれ結果はついてくるだろうと。先ほども言いましたが、自信がなければやらないですから」

「Makuake」を通じて安心感を持ってお店を開くことができ、ミシュラン星の獲得によって、

さらに認知度を高めることができた。ビジネスとして軌道に乗ってきた今だからこそ、やりたいことがある。

「少し休みを取って、スタッフみんなで食材の生産者さんの所にご挨拶に行って交流を増やしたい。そして、その経験をお客様に伝えたい。シェフとしてはすごく当たり前のことなんですが……今までは忙しくてなかなかできなかったので。心を豊かにするような、そんな時間を過ごしたいんです。

そういう意味でも、『Makuake』さんにはすごく感謝していますし、新しいPRのあり方だなと思います。一昔前は、雑誌に掲載されれば安泰という感じ。今はそんなことはなく、かといってTVなわけでもない。すごく複雑になりました。

『Makuake』さんにチャレンジさせてもらったことで、『なんだか宮﨑さんって新しいことをやったよね』というポジティブなイメージにも繋がっていますしね」

このような歴史的プロジェクトに伴走できたことに、尾高氏も心からの感謝を伝えた。

「このプロジェクトを設計するにあたって、社内外からたくさんのご意見をいただきました。私だけではなく、文字通り『みんな』で創り上げたプロジェクトだと思っています。

その上で、ミシュラン星のレストランが生まれたことにほんの少しでも貢献できたのだとしたら、こんなに嬉しいことはないですし、私の人生においても誇るべきこと。生意気かもしれませんが、これからもお身体に気をつけて、宮﨑シェフらしいずっと愛されるお店を作り続けていただきたいです」

執筆:米谷真人
写真:山崎皇輝
動画:岡本光樹

 

 

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