東京ミッドタウン八重洲が全面開業、57店舗で年間1000万人の集客目標

中東 壮史

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

2023年3月10日、JR東京駅前に立つ大型複合施設「東京ミッドタウン八重洲」がグランドオープンした。これに先立ち三井不動産は同年3月7日に記者会見を開き、商業施設やオフィス、ビジネス交流施設「イノベーションフィールド八重洲」などのメディア向け内覧会を実施した。

 

 

 

 

なお日本初出店の「ブルガリ ホテル 東京」は同年4月4日に開業を予定する。

 

 

 

JR東京駅前に立つ大型複合施設「東京ミッドタウン八重洲」。2023年3月10日に全面開業した(写真:日経クロステック)

JR東京駅前に立つ大型複合施設「東京ミッドタウン八重洲」。2023年3月10日に全面開業した(写真:日経クロステック)

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 記者会見で同社の菰田正信社長は、

「東京ミッドタウン八重洲は、

羽田空港まで車で15分の好立地に、

ジャパンブランドにこだわった商業施設、

オフィス、

バスターミナル、

小学校

などを集めたミクストユース型施設だ。

 

日本中、世界中から人が集まり、出会い、交わることで、新しい価値を生み出し、世界に発信していく。そんな拠点にしていきたい」と熱く語った。

 

 

 

2023年3月7日のメディア向け会見で「東京ミッドタウン八重洲」への意気込みを語る、三井不動産の菰田正信社長(写真中央)。左に同社商業施設本部の牛河孝之アーバン事業部長、右に同社ビルディング本部の藤井拓也ビルディング事業三部長が座る(写真:日経クロステック)

2023年3月7日のメディア向け会見で「東京ミッドタウン八重洲」への意気込みを語る、三井不動産の菰田正信社長(写真中央)。左に同社商業施設本部の牛河孝之アーバン事業部長、右に同社ビルディング本部の藤井拓也ビルディング事業三部長が座る(写真:日経クロステック)

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 オフィスエリアは

出入り口管理に顔認証システムを導入し、

エレベーターには非接触ボタンを設けた。

オフィスの基準階面積は約4100m2あり、

シェアオフィスや

会議室、

入居企業向けのフィットネスジム、

ラウンジ、

ビジネス交流施設などを備えて、

多様な働き方に対応する。

 

 

 

地上24階にある入居企業向けのフィットネスジム(写真:日経クロステック)

地上24階にある入居企業向けのフィットネスジム(写真:日経クロステック)

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 菰田社長は、

「新型コロナウイルス禍を経てリアルな場でのコミュニケーションの重要性を強く感じ、

ワーカーが『行きたくなるオフィス』を目指した。

 

ハードとソフトの両面で充実を図った結果、

オフィスフロアは満床となっている」と説明する。

 

 

 同社商業施設本部の牛河孝之アーバン事業部長は、

「商業施設57店舗の年間売り上げは約70億円、

来館者数は年間約1000万人を想定している」

と目標を掲げた。

 

東京駅や羽田空港を利用する国内外の旅行客や

ワーカー、

都心生活者など

幅広い客層がターゲットだ。

 

 

 

マスターアーキテクトは米国の設計事務所Pickard Chilton(ピカード・チルトン)が手掛けた(写真:日経クロステック)

マスターアーキテクトは米国の設計事務所Pickard Chilton(ピカード・チルトン)が手掛けた(写真:日経クロステック)

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 東京ミッドタウン八重洲は、

 

六本木と日比谷に続く3つ目の「東京ミッドタウン」ブランドで、

 

JR東京駅八重洲口側の3地区で進行している市街地再開発事業の第1弾。

 

三井不動産は、

八重洲二丁目北地区市街地再開発組合の一員として開発を推進してきた。

 

 

 建物は、

地下4階・地上45階建てで最高高さ約240mの八重洲セントラルタワーと、

 

 

地下2階・地上7階建てで最高高さ約41mの八重洲セントラルスクエアで構成される。

 

 

敷地面積は約1万3400m2で、

延べ面積は約28万9750m2だ。

 

 

 

 環境負荷低減への取り組みとして、

CASBEE(建築環境総合性能評価システム)のSランクと、

建物の1次エネルギー消費量の削減率50%以上を評価する「ZEB Ready」認証を取得している

 

 

 

 

新幹線に乗るまで15分

 
 

 商業エリアのデザインコンセプトは「TOKYO FACE」。

 

多様性に富んだ「TOKYO」のさまざまな「FACE(顔・面)」を表現する。

天井や壁のアクセントに、多角形を用いた特徴的なデザインが使われている。

 

 

天井や壁などに多角形のデザインを用いて華やかに商業ゾーンを彩る(写真:日経クロステック)

天井や壁などに多角形のデザインを用いて華やかに商業ゾーンを彩る(写真:日経クロステック)

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 23年3月10日には地上1~3階の商業施設が開業した。

1階は「ジャパン・ラグジュアリー」をテーマとする店舗、

2階は飲食や物販などの小規模店舗が集積しエリア内のどこでも飲食可能な「ヤエスパブリック」、

3階はレストランという構成だ。

 

 なかでも2階のヤエスパブリックは、電車やバスを待つ空き時間などに気軽に立ち寄りやすい設えとしている。

 

コンセント付きのワークスペースや、

子連れでも使いやすい小上がり席など、

多様なシーンを想定したスペースを用意しているのが特徴だ。

 

 

 

飲食だけでなく、休憩スペースとしても利用できる「ヤエスパブリック」(写真:日経クロステック)

飲食だけでなく、休憩スペースとしても利用できる「ヤエスパブリック」(写真:日経クロステック)

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子連れでも使いやすい小上がり席。窓を介して東京駅八重洲口前のグランルーフが見える(写真:日経クロステック)

子連れでも使いやすい小上がり席。窓を介して東京駅八重洲口前のグランルーフが見える(写真:日経クロステック)

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 4~5階の「イノベーションフィールド八重洲」は、

交流ラウンジや

イベントスペース、

貸し会議室、

テンポラリーオフィス、

スタジオなどを備える。

 

 

東京大学八重洲アカデミックコモンズをはじめ、

企業や

アカデミア、

スタートアップなどが集う、

交流と創発の拠点だ。

 

イベントの予定がなければ、交流ラウンジなどは誰でも気軽に利用できる。

 

5階のイベントスペース。年2回の大型イベントと、月2回のイベントを通して年間約2000人の参加を見込む(写真:日経クロステック)

5階のイベントスペース。年2回の大型イベントと、月2回のイベントを通して年間約2000人の参加を見込む(写真:日経クロステック)

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 三井不動産八重洲街づくり推進室の七尾克久室長は、

日経クロステックの取材に対し、

「たとえ数分のショートステイであっても、この場所に来れば人と交流ができる。その交流が、イノベーションにつながっていく。そんな場づくりをしていきたい」と抱負を語った。

 

同八重洲街づくり推進室の上垣和主任も、

「イノベーションフィールド八重洲は、地下1階でJR東京駅と直結していることが強みだ。

5階の交流ラウンジから、15分程度で新幹線に乗り込める」と、

ロケーションの優位性に自信を見せた。

5階の交流ラウンジ。イベント参加者やビジネスパーソン、地域の団体などの交流を促す(写真:日経クロステック)

5階の交流ラウンジ。イベント参加者やビジネスパーソン、地域の団体などの交流を促す(写真:日経クロステック)

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5階の交流ラウンジからはテラスに出ることができる(写真:日経クロステック)

5階の交流ラウンジからはテラスに出ることができる(写真:日経クロステック

 

東京ミッドタウン八重洲が全面開業、57店舗で年間1000万人の集客目標(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 

 

 

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東京ミッドタウン八重洲が一部開業、人とバスの流れを変える地下空間

中東 壮史

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

2022年9月15日、三井不動産は東京駅前に竣工した大型複合施設「東京ミッドタウン八重洲」の内覧会を開いた。9月17日にバスターミナルと一部店舗が先行開業した。中央区立城東小学校は9月1日に開校済みだ。商業施設の全面開業は23年3月10日、日本初出店の「ブルガリ ホテル 東京」は同年4月の開業予定だ。

バスターミナル開業式典のテープカットの様子。左から東京大学大学院新領域創成科学研究科特任教授の中村文彦氏、中央区副区長の吉田不曇氏、京王電鉄バス代表取締役社長の宮坂周治氏、都市再生機構東日本都市再生本部本部長の中山靖史氏、国土交通省都市局街路交通施設課課長の服部卓也氏、八重洲二丁目北地区市街地再開発組合理事長の百合達哉氏(写真:日経クロステック)

バスターミナル開業式典のテープカットの様子。左から東京大学大学院新領域創成科学研究科特任教授の中村文彦氏、中央区副区長の吉田不曇氏、京王電鉄バス代表取締役社長の宮坂周治氏、都市再生機構東日本都市再生本部本部長の中山靖史氏、国土交通省都市局街路交通施設課課長の服部卓也氏、八重洲二丁目北地区市街地再開発組合理事長の百合達哉氏(写真:日経クロステック)

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「東京ミッドタウン八重洲」を外堀通りの北側から見る(写真:安川 千秋)

「東京ミッドタウン八重洲」を外堀通りの北側から見る(写真:安川 千秋)

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東京駅側から「東京ミッドタウン八重洲」を見る(写真:安川 千秋)

東京駅側から「東京ミッドタウン八重洲」を見る(写真:安川 千秋)

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 東京ミッドタウン八重洲は、東京駅八重洲口側の3地区で進行している市街地再開発事業の第1弾だ。三井不動産は、八重洲二丁目北地区市街地再開発組合の一員として開発を推進している。街区全体の総事業費は約2438億円(21年10月公表時点)だ。

東京駅八重洲口前で進む3つの大型再開発事業。東京ミッドタウン八重洲は真ん中に位置する(資料:三井不動産)

東京駅八重洲口前で進む3つの大型再開発事業。東京ミッドタウン八重洲は真ん中に位置する(資料:三井不動産)

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 六本木や日比谷に続く3つ目の「東京ミッドタウン」ブランドとなる。コンセプトは「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド~日本の夢が集う街。世界の夢に育つ街~」。国内外から人や情報、モノ・コトが集まり、新しい価値を発信する街づくりを目指す。

 東京ミッドタウン八重洲には、八重洲セントラルタワーと八重洲セントラルスクエアの2棟がある。先行開業したのはセントラルタワーで、地下4階・地上45階建て、高さ約240mの超高層で、延べ面積は約28万3900m2。ホテル、オフィス、店舗、バスターミナル、小学校などが入る。マスターアーキテクトは米国の設計事務所Pickard Chilton(ピカード・チルトン)。基本設計から監理までを日本設計、実施設計と施工を竹中工務店が担当した。

 日本設計第2建築設計群長の神林徹執行役員は外観コンセプトについて、「船の帆をイメージして建物に丸みをつけ、建物全体はガラスファサードを基調とした」と説明する。敷地前の外堀通りがかつては江戸城外堀の水路だったことに着想を得た。また、外装ののびやかな曲面は、東京駅前のグランルーフとも呼応するように意識されている。

左側が東京駅八重洲口前のグランルーフで、右側が東京ミッドタウン八重洲。グランルーフに呼応する、のびやかなガラスの曲面が特徴(写真:三井不動産)

左側が東京駅八重洲口前のグランルーフで、右側が東京ミッドタウン八重洲。グランルーフに呼応する、のびやかなガラスの曲面が特徴(写真:三井不動産)

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 さらに八重洲セントラルタワー低層部の上、高さ約31mに高木などを植えた緑の屋上テラスを設けた。かつて丸の内エリアなどで、建物の高さを31m以下にそろえる「百尺規制」が街の景観をつくっていたことを歴史として引き継ぐ。神林執行役員は、「これが八重洲の新たなデザインコードとなってほしい。今後も八重洲エリアで中高層ビルなどの開発が進むと思うが、高さ31m付近に緑が連続していく風景ができればいい」と語った。

東京ミッドタウン八重洲の低層部の屋上テラスの植栽と、写真左側のヤンマー東京ビルの植栽が、高さをそろえて計画されている(写真:安川 千秋)

東京ミッドタウン八重洲の低層部の屋上テラスの植栽と、写真左側のヤンマー東京ビルの植栽が、高さをそろえて計画されている(写真:安川 千秋)

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 地下1階から地上3階の商業施設57店舗のうち、日本初出店は6店舗、東京初出店11店舗、商業施設初出店21店舗、新業態9店舗。八重洲オフィスワーカーや来街者、国内外からの観光客、都心生活者の利用を想定する。先行開業した13店舗では、「カジュアルに楽しめる飲食や物販を用意し、短時間で便利に使えることを重視した」と三井不動産商業施設本部アーバン事業部長の牛河孝之氏は説明した。

東京ミッドタウン八重洲のフロアイメージ(資料:三井不動産)

東京ミッドタウン八重洲のフロアイメージ(資料:三井不動産)

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商業施設のコンセプトを語る、三井不動産商業施設本部アーバン事業部長の牛河孝之氏(写真:日経クロステック)

商業施設のコンセプトを語る、三井不動産商業施設本部アーバン事業部長の牛河孝之氏(写真:日経クロステック

 

 

 

 

 

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