光ファイバー伝送容量10倍、NTTが開発した空間多重化技術の中身
NTT未来ねっと研究所の芝原光樹特別研究員と宮本裕フェローらは、光ファイバーの伝搬モードを利用して10倍に伝送容量を増やす空間多重化技術を開発した。1300キロメートルの長距離伝送に成功。10モード伝送での世界最長記録を更新した。ペタビット級(ペタは1000兆)の光通信網の実現につながる。
空間多重化は光ファイバーのコアの中を光が全反射を繰り返して進む際に複数の伝搬モードをとる現象を利用する。モードによって信号の混ざり込みや遅延時間にバラつきができるため、これを信号処理で補正する。そこで中継器で光学的にモードを入れ替える。速いモードと遅いモードを入れ替えると遅延の大小を相殺できる。 10モードの入れ替えの組み合わせを最適化し、遅延のバラつきを5分の1に抑えた。
バラつきは1300キロメートル先で36ナノ秒(ナノは10億分の1)で
数百個の信号が含まれる。
この信号同士の混ざり込みや遅延を補正するため、
バラつきが小さくなるほど信号処理の負荷が小さくなる。
約5分の1になった。
中継器は52キロメートルおきに配置し、光増幅器と組み合わせた長距離伝送は世界初。周波数多重化と空間多重化を組み合わせて毎秒4・13テラビット(テラは1兆)を達成した