ベラルーシのパルチザンがロシアの貴重な早期警戒管制機A-50を破壊、ウクライナを支援

ニューズウィーク日本版

<ベラルーシに駐機していたA-50が、ウクライナを支援するベラルーシのパルチザン2人のドローン攻撃で破壊された。全部で9機しかないうちの1機が破壊されたのも問題だが、A-50はウクライナ空爆の拠点になるベラルーシ駐留ロシア空軍の「目」でもあった>

ロシアの貴重な早期警戒管制機A-10 (2019年の戦勝記念日) Alexander Zemlianichenko/REUTERS

 

 

 

 

ベラルーシが、国境周辺の一部でパトロールを強化していると報道されている。直前には、ロシアの貴重な早期警戒管制機が、同国領内で破壊されるという一件があった。

 

 

  【動画】パルチザン攻撃で破壊されたソ連製の早期警戒管制機A-50、残りはたった8機 

 

 

 

 

RFE/RL(自由欧州放送)は2月27日、一部のベラルーシ人からの情報として、リトアニアおよびポーランドと接する国境地帯の警備体制を同国が強化したと伝えた。 「出国口でチェックを行い、あらゆる物を振って確かめ、すべてを綿密に調べている」。27日に国境を越えたベラルーシ市民は、RFE/RLにそう語った。 「通常なら、出国時には持ち物のチェックはなく、国境警備隊がパスポートを確認するだけだった。それが今はこの調子だ。私は機材を持参していたので、それが気がかりだった。すべてが細かいところまで調べ上げられた。バスのドライバーの話によると、少なくともこの1年は、こんな状況は見たことがないとのことだった」 警備強化の直前の26日には、駐機中の早期警戒管制機が、ドローン攻撃を受けて破壊される大事件があった。ベラルーシの破壊工作員たちによるものだ。ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、ロシアのウクライナ侵攻以来、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を支持してきた。 ベラルーシの首都ミンスク出身の独立系ジャーナリストで、大西洋評議会の会員であるハンナ・リウバコバは、本誌の取材に対してこう語った。「ドローン攻撃を許したことに加え、ベラルーシでは唯一の貴重な早期警戒管制機が被害を受けたことで、ロシア軍上層部の間では、ルカシェンコ政権にロシアの軍装備品を預けていて大丈夫か、という疑問の声があがるはずだ」 チハノフスカヤも歓迎 一方、ベラルーシの野党指導者で、現在亡命中のスベトラーナ・チハノフスカヤの顧問を務めるフラナク・ビアチョルカは、一連のツイートで、ロシアの早期警戒管制機が破壊されたことを確認したと述べた。 ツイートには、こう書かれている。「ベラルーシのパルチザンたちに栄光あれ! 『勝利の計画』に参加したパルチザンから、ミンスク近くのマチュリシチ飛行場で、ロシアの早期警戒管制機を爆破する特別作戦に成功したとの報告があった。2022年初頭以来で最も大きな成功だ」 「この作戦は、2人のベラルーシ人が実行した。2人はドローンを使ったこの作戦を実行したあと、国を出て、今は安全な場所にいる。破壊した早期警戒管制機の損害額は3億3000万ユーロ(約476億円)にのぼる」と、ビアチョルカは述べる。 チハノフスカヤも、ツイッターにこう投稿した。「ロシアによるベラルーシ支配に抵抗し、ウクライナの自由のために戦い続けるあらゆるベラルーシ人を誇りに思う。あなたたちの勇敢な行動は、世界に対し、ベラルーシは帝国主義的な侵攻に抵抗していることを示してくれた。我々の英雄たちに栄光あれ!

 

 

 

ルカシェンコはどう出るか

キーウ・ポストによると、今回の作戦で破壊された航空機は、(ロシア全体でも9機しかない)貴重な早期警戒管制機「A-50」だという。 ベラルーシの反政府組織BYPOLも、ロシア航空機の破壊についてテレグラムで投稿をおこない、「マチュリシチでA-50が、上空から攻撃を受けた」と述べた。 ロシアとウクライナの間で戦争が始まって以来、ベラルーシは一貫してロシア支持の立場をとってきたが、戦闘に加わったことはない。 だがルカシェンコは2月に入り、ベラルーシに対する攻撃が行われれば反撃すると発言した。「私は、ある特定の状況になった場合のみ、ロシアと共に戦う覚悟だ。ウクライナの兵士が一人でもベラルーシに侵入し、私の国民を殺そうとした場合だ」と、ルカシェンコは述べた。自国のパルチザンの場合はどうするのだろうか。 (翻訳:ガリレオ)

マシュー・インペリ

 

 

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