ロシア撤退要求の決議採択へ 国連総会、賛成数が焦点に
国連総会の議場=米ニューヨークの国連本部で2022年6月9日、隅俊之撮影
ロシアによるウクライナ侵攻から1年になるのを前に、国連総会(193カ国)は22日、緊急特別会合を再開した。ロシア軍の撤退などを要求する決議案を23日にも採択する見通し。南半球を中心にした新興国・発展途上国の「グローバルサウス」と欧米などとの対露姿勢に温度差が浮かぶ中、決議案にどこまで支持が集まるかが焦点になる。
ウクライナが提出した決議案には、日本や欧米など50カ国以上が共同提案国に加わった。約80カ国・地域が演説する予定で、23日夕にも採決にかけられる。日本からは、訪米した林芳正外相が23日に演説する。 ウクライナのクレバ外相は演説で「生き延びるためには戦い続けるしかない」と強調。「ウクライナともロシアとも仲良くしたい、どんな結果でもいいから早く終わらせろと思う人がいるのは分かる。さまざまな理由でウクライナに味方したくないという国もあるだろう。それなら、国連憲章の側に立ってほしい」と訴えた。 決議案は、武力によるいかなる領土の取得も認められないと再確認。ロシア軍の「即時、完全、無条件」の撤退を要求している。領土保全など、国連憲章に合致した形での和平を達成する必要性も盛り込んだ。また、国際法上の犯罪には「適切かつ公正で独立した調査と訴追」が必要だと強調した。 国連総会は昨年3月以降、ロシアによるウクライナ東部4州の一方的な併合を認めないとする決議(10月)を143カ国の賛成で採択するなど、五つの決議を採択した。ウクライナや欧米などは10月と同程度の約140カ国の支持を集め、侵攻から1年が過ぎてなお、ロシアの孤立が続いていることを浮き彫りにしたい考えだ。 一方、ロシアを擁護するベラルーシは「和平交渉の開始を求める」「紛争地域に武器を送るのを控えるよう求める」などの文言を盛り込んだり、「ロシアによるウクライナ侵攻」の文言を削除したりするなど、二つの修正案を提案した。ロシアに配慮する国々の支持を集める狙いがあるとみられる。 国連本部ではウクライナ侵攻から1年となる24日、安全保障理事会の閣僚級会合が開かれる。米国のブリンケン国務長官らが出席する見通し。
【ニューヨーク隅俊之
ロシア撤退要求の決議採択へ 国連総会、賛成数が焦点に(毎日新聞) - Yahoo!ニュース