400億円超の事業費をかける品川区の新庁舎建設、Nearly ZEBを目指す基本計画を発表
小山 航
日経クロステック/日経アーキテクチュア
品川区は2023年2月1日、品川区新庁舎整備基本計画を発表した。1968年の竣工から54年が経過した現庁舎の老朽化などを理由に、隣接する敷地に建て替える。新庁舎の規模は延べ面積約6万m2を予定する。設計・調査費を含め、概算事業費として約400億円以上を見込む同区の一大プロジェクトだ。23年度に基本設計を進め、27年度内の竣工と業務開始を目指す。
建設予定地の現況。現庁舎の東側に計画し、敷地面積は約8300m2。新庁舎に移転後の現庁舎の扱いは未定である(写真:品川区)
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大井町駅側から見た品川区新庁舎のボリューム感のイメージ。15~20階程度を想定する(出所:品川区)
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品川区は17年ごろから新庁舎の整備について検討を開始。
施設の経年劣化や、
生産中止で調達困難な設備部品があることなどから、
庁舎機能の維持や安全確保が課題だった。
同区は新庁舎の機能や建て替えの候補地の検討を続け、19年に敷地を選定。
21年に有識者や公募した区民を含む「品川区新庁舎整備基本構想・基本計画策定委員会」を設置し、建物機能やゾーニングなどの方針を基本計画にまとめた。
新庁舎では、
現在の本庁舎、
議会棟、
第二庁舎、
第三庁舎
に分散していた機能の統合を図り、
機能的・効率的な庁舎を目指す。
区総務部新庁舎整備課の山下隆新庁舎整備課長は新庁舎の機能について、
「ICT(情報通信技術)を活用した窓口サービスの充実や、
災害時の電源確保などによる防災拠点機能の充実など、
庁舎建築のスタンダードと言える点は押さえつつ、
区民が気軽に立ち寄れて交流できる場としたい」と語る。
機能的・効率的な行政機能の配置として、
中層階に関連部署を近接配置して連携を高める。
新庁舎整備課の大友恵介新庁舎建設担当課長は、
「例えば現在、建築課は本庁舎で道路課は第二庁舎にある。両方に用事がある建設事業者から見れば非効率な移動が発生する。こういった点を整理したい」と説明する。
新庁舎の代表的な階のゾーニング図。行政と独立性を保つため、議会機能を高層階に配置。窓口機能が集まる低層階は、上層階よりも階高を高くして開放的な空間を目指す(出所:品川区)
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新庁舎の床面積のうち、
主な執務空間に必要な面積として3万5000m2を割り当てた。
基本計画に先立って、区は21年度に現庁舎のオフィス環境の調査をオフィス家具大手のイトーキに委託。
執務室の環境や保管する文書、物品量を調べた。
同社がこれまで調査した自治体の職員1人当たりの保管文書量に対し、
品川区は約2倍であることが分かった。
基本計画では、この文書・物品の50%削減を目標として、
主な執務空間の面積を算出した。
山下新庁舎整備課長は、
「ペーパーレス化による保管スペースの削減と、
執務スペースの拡張を合わせて、
職員の満足度上昇も図る」と話す。
新庁舎の規模。延べ面積は現庁舎の約1.3倍となる(出所:品川区)
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品川区における職員1人当たりの保管文書・物品の量。ファイルメーター(fm)とはA4サイズの用紙を1m積み上げた量で、オフィスの収納規模を定める指標となる。イトーキが調査した複数の自治体では、2.5~3.5fm程度が標準量のようだ
(出所:品川区
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