渋谷駅桜丘口の新複合施設が完成間近、「住」を担う駅周辺整備の最終ピース
中東 壮史
日経クロステック/日経アーキテクチュア
東急不動産は2023年2月9日、
渋谷駅近くで進む渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業について施設名称を「シブヤ・サクラ・ステージ(Shibuya Sakura Stage)」に決定したと発表した。
着工は19年5月。
23年11月30日の竣工後、
商業施設などを順次開業していく予定だ。
全面開業する24年夏には、「まちびらき」のイベントを実施するという。
2023年2月9日、渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業の施設名称が「シブヤ・サクラ・ステージ(Shibuya Sakura Stage)」に決まった。写真の中央に立つのが、東急不動産の岡田正志代表取締役社長。右側が同社取締役常務執行役員で都市事業ユニット長の榎戸明子氏、左側が同社執行役員で都市事業ユニット渋谷開発本部長の黒川泰宏氏だ
(写真:日経クロステック)
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JR渋谷駅西口から見た「シブヤ・サクラ・ステージ」(写真:日経クロステック)
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同社の岡田正志代表取締役社長は、
「国道264号やJR路線による
街の分断と、
谷地形による高低差を解消し、
ライフスタイルの全てがシームレスにつながる街にする。
若年層寄りだった街を、
高齢者や子育て世代にも優しい街にしていく」
と語る。
国道264号やJR路線などで分断していたJR渋谷駅周辺を、歩行デッキなどでつなげる(出所:東急不動産)
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岡田社長は
「次世代にまでにぎわいを継続するにはどのような街づくりであるべきか。
約25年の歳月をかけ、
約120人の地権者と
約640回も議論を重ねてきた」と語る。
議題に上がっていた、建物の老朽化対策や防災性の向上を図り、災害時の情報発信などによる安全安心な地区の形成を目指す。
シブヤ・サクラ・ステージは、
東急グループがこれまで渋谷駅中心地区で進めてきた「5街区」と呼ばれる
大規模再開発・都市基盤整備の最後に当たる。
第1弾は
東急文化会館跡地で12年に開業した「渋谷ヒカリエ」。
その後18年に、
東横線渋谷駅ホームや線路跡に「渋谷ストリーム」、
19年に「渋谷スクランブルスクエア(東棟)」と、
東急プラザ跡地に「渋谷フクラス」が誕生。
なお街の魅力強化を目的に、渋谷駅エリアの開発は今後も続いていく。
JR渋谷駅中心地区で進む「5街区」の大規模再開発・都市基盤整備(出所:東急不動産)
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桜丘口地区が
他の駅周辺開発と異なるのは、
今まで渋谷にあったオフィスやエンタメによる「働・遊」の機能に加え、
住宅やサービスアパートメントをつくって「住」の機能を付け足す点だ。
グローバル対応のサービスアパートメントや
国際医療施設、
子育て支援施設なども導入し、
外資系ビジネスパーソンなどを呼び込むことが、
シブヤ・サクラ・ステージの役割となる。
シブヤ・サクラ・ステージは
約2.6haの敷地に、
A街区、
B街区、
C街区
の3つのエリアを整備する。
総延べ面積は約25万5000m2。
NASCA(ナスカ、東京・新宿)代表で早稲田大学教授の古谷誠章氏と、
日建設計がデザインアーキテクト、
施工は鹿島・戸田建設共同企業体(JV)が担う。
22年10月公表時点の総事業費は約1997億円。新型コロナウイルス禍や資材価格高騰などによる変更はない。
A街区、
B街区、
C街区
と3つのエリアに分かれるシブヤ・サクラ・ステージ
(出所:東急不動産)
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シブヤ・サクラ・ステージの各街区に入る主な機能(出所:東急不動産)
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A街区には
地上39階、高さ約179mの「SHIBUYAタワー」と、
地上17階、高さ約90mの「セントラルビル」が建つ。
地下4階から地上8階までは一体となっており、
低層部には主に商業施設、
高層部には事務所が入る。
延べ面積は約18万4700m2。
基本設計と実施設計を日建設計が担当した。
JR渋谷駅西口から見上げたシブヤ・サクラ・ステージのA街区。
地下部分は躯体(くたい)工事、地上部分は外装工事や内装工事を進めている(写真:日経クロステック)
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JR渋谷駅西口の歩道橋から駅とシブヤ・サクラ・ステージを見る。
写真右側で建設中の建物がシブヤ・サクラ・ステージのA街区。
写真中央部が新改札口になる予定だ
(写真:日経クロステック)
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B街区には、高さ約127mで地下1階、地上30階の「SAKURAタワー」が建つ。
延べ面積は約6万9100m2。
主な用途は
住宅、
事務所、
商業、
サービスアパートメントだ。
基本設計と実施設計を
日建設計とナスカ、日建ハウジングシステム(東京・文京)が担当。
B街区SAKURAタワーの西側立面。16~30階に住宅「ブランズ渋谷桜丘」、
6~16階にサービスアパートメント「ハイアット ハウス 東京 渋谷」、
5階に子育て支援施設「CTIS Kindergarten, Shibuya(キャピタル東京インターナショナルスクール・CTIS)」が入る
(写真:日経クロステック)
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C街区には、
高さ約16mで地上4階の
「日本基督教団 中渋谷教会」が建つ。
延べ面積は約820m2。
基本設計と実施設計を、
日建設計と大岡山建築設計研究所(東京・立川市)が担当した。
なおC街区のみすでに運用が始まっている。
20年5月から運用が始まっている、C街区の日本基督教団 中渋谷教会(写真:日経クロステック)
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