シリーズに加わった良質なエントリーモデル
コレクションに加えたいイヤホンがまた1台、ゼンハイザー「IE 200」の音を確かめてほしい
2023/02/17
山本 敦
コレクションに加えたいイヤホンがまた1台、ゼンハイザー「IE 200」の音を確かめてほしい (1/2) - PHILE WEB
ゼンハイザーのイヤーモニターである「IEシリーズ」に、良質なエントリーモデルが誕生した。2万円台前半という比較的手が届きやすい価格のプレミアムイヤホン「IE 200」は、スマホで音楽サブスクを楽しむ若いファンの関心も集めそうだ。
エントリーながら新しい試みを採り入れ、理想の「ゼンハイザーの音」を追求
密閉型のコンパクトなハウジングには、ゼンハイザーが独自に設計する7mm口径のダイナミック型ドライバーを1基搭載する。同社がTrueResponseトランスデューサーと名付ける独自の振動板を中核とするドライバーは、2021年に発売されたプレミアムイヤホンのレジェンドである「IE 800」にも搭載され、以後継続的に改良が図られてきた。なおIE 800に搭載された頃は「XWBトランスデューサー」という名前だった。
「IE 200」(市場予想価格:税込23,760円前後)
TrueResponseトランスデューサーは現行上位モデルである「IE 600」「IE 900」にも搭載されている。ゼンハイザーが独自に開発する基幹パーツであるため、モデルごとに細部の最適化が図られる。IE 200のTrueResponseトランスデューサーも同様だ。本機が目指す理想のイヤホンサウンドを、そのコアパーツであるトランスデューサーやドライバーの作り込みから挑めるところがゼンハイザーの強みだ。だからこそ同価格帯のイヤホンと比べながら「ゼンハイザーの音」にじっくりと耳を傾ける時間には相応の価値がある。
IE 200の分解イメージ。独自のドライバー「TrueResponseトランスデューサー」は本機にあわせてチューニングされている
IE 200のスムーズな質感のハウジングには、忠実な原音再生を実現するためにいくつかの新しい試みが採り入れられた。
アーキテクチャの部分では2つの改革に注目したい。ひとつは高域の響きを豊かに引き出し安定させるためのレゾネーターチャンバーだ。従来はハウジングの中に設けていた音響室を、IE 200ではイヤーピース側に配置している。先述のトランスデューサーと合わせて音響効果の最適化を図りながら、イヤホン本体の小型化・軽量化を同時に押し進めた。
もうひとつ、ノズルの先端にアコースティックフリースを組み込んだ。スピーカーシステムのサランネットのような役割を担うパーツを配置したことで、滑らかな高音域がいっそう充実する。
ノズルのトップ部分には空気の乱れと歪みを抑制するフィルター技術「アコースティックフリース」を配置する
IE 200はもちろんイヤーピースの交換に対応するイヤホンだが、専用のイヤーピースを組み合わせた方がレゾネーターチャンバーによる効果がもたらされることから、本機による理想的なサウンドが楽しめる。
専用イヤーピースをノズルの先端で2段階にポジションを変えて装着できる、「デュアルチューニングシステム」と呼ぶ機構を備える。ノズルの側面に配置された低音域を調整するためのバルブと、イヤーピースが接触する面積が変わることで、音の聴こえ方にも抑揚がつく。実際に聴いて確認してみると、イヤーピースを浅く装着するとオープンなサウンドになり、反対に深く挿入すると低音域がタイトに引き締まる。たしかな効果が得られるため、ぜひ自身の好みや曲にあわせて使い分けてもらいたい。
イヤーピースを取り付ける深さによって音質が変わる「デュアルチューニングシステム」を採用。浅く取り付けると通気性が高く開放的なサウンド傾向の「オープンポジション」、ノズル根元まで深く取り付けると密閉性が高く低域が豊かなサウンド傾向の「クローズ/スタンダードポジション」になる
さらに、低音域の切れ味を高めるため、ドライバーの後方に「アコースティックバックボリューム」と呼ぶ機構を設けて、ハウジング内部に発生する空気の流れをコントロールしている。上位モデルのIE 600にも搭載されたこの高音質化技術を、IE 200の本体形状に合わせて最適化した
着脱可能な編組ケーブルは絡みにくく、高い強度を確保。ケーブルのイヤホン側コネクターは汎用性の高いMMCX、再生デバイス側は3.5mmのL字型プラグとしている。イヤホン側のコネクターはやや凹みの深いデザインとしているので、リケーブルを探す際には形状がフィットして、コネクターがしっかりとロックするか確かめておきたい。
付属ケーブルには、軽量かつ高耐久性、タッチノイズも抑えた「ブレードケーブル」を新たに用意した(*写真はイメージです、ケーブルクリップは付属しません)
IE 200はループ掛けスタイルで装着するイヤホンだ。耳元にはループ掛けが安定するように、折り曲げて形状を保てるシリコン製のループガイドがある。本体がとてもコンパクトなので、耳の小さい方でも心地よいフィット感が得られると思う。
装着はループ掛けスタイルで、ズレにくく高いフィット感が得られる
様々な種類の音楽に自然と寄り添える柔軟さ、色んな用途に使いたくなる
今回はIE 200を最新のMacBook ProとQuestyleのポータブルDACアンプ「M15」との組み合わせで聴いた。音源はApple Musicのハイレゾロスレス/ロスレスの楽曲を選んでいる。イヤーピースのポジションは低音再生を重視して深く挿入している。
シユイの「君よ 気高くあれ」では、透明感あふれるボーカルが見晴らしのクリアなサウンドスケープの中央に凜として描かれる。弦楽器のハーモニーがとても艶やかだ。クリーンとクランチ、エレキギターの幅広い音色を濁らせることなくとても素直に再現する。パワフルで立体的なビートが足もとを安定させる。低音は量感でモノを言わせるタイプのイヤホンではなく、音の芯がどっしりと響いて揺るがない。しなやかで筋肉質なビートに好感を持った。
様々な音楽、エンターテインメントコンテンツを再生してサウンドをチェック
ルーベン・ゴンザレスのアルバム『Introducing』から「Melodia del Rio」は甘いメロディの余韻がもったりとせず、ミントのような清涼感を残す。ピアノのタッチは少し硬質め。音色はややビビッドなのに、余計な色づけを感じさせない。ベースやパーカッションのドライで小気味よいリズムも痛快。時間と空間を超えて演奏の世界にすっと入り込める。録音を通じて、音楽が演奏されている情景をリアルに思い描ける楽しいリスニングだ。
続けてカイリー・ミノーグのアルバム『DISCO』から「Real Groove」を聴いた。描かれるサウンドスケープがとても雄大で、ライブハウス、あるいはダンスフロアに漂う緊張が伝わってくる。ビートは立ち上がりが鋭く肉付きも良い。粒立ちよく軽快なエレキギターのカッティングとの対比も面白い。ボーカルは目の前にまで迫ってくるような生々しさが感じられた。
ニュートラルな音のバランスを基本としていて、低音は量感よりもパンチ力重視。音場はクリアで広い。写実的でむやみにエンターテインメント性を追求しない、ゼンハイザーらしい真面目な音づくりを貫いたイヤホンだ。聴き疲れることなく、長く音楽リスニングが楽しめる。
Xperia 5 IVでも、同じ楽曲をApple Musicで再生した。繊細なニュアンスの再現力にも富むハイレゾ対応スマホであるXperia 5 IVとIE 200との相性がとてもよいと思う。IE 200はインピーダンスを18Ωに設定しているので、スマホでも鳴らしやすい。スマホの場合、音楽コンテンツだけでなく、映画やゲームのサウンドを楽しむ際にも高品位なイヤホンがあると、体験により深くのめり込める。IE 200は映画やドラマのセリフのニュアンスを巧みに引き立て、ゲーミングコンテンツは作り込まれたサウンドのリアリティをストレートに高める。色んな用途に使い倒したい。
2021年1月に発売されたIE 300以降、ゼンハイザーの新しいIEシリーズのリリースがコンスタントに続いている。IE 200も含めて、筆者が愛用するIE 80 S、IE 800 Sともまたひと味違うキャラクターの違いがある。ゼンハイザーが掲げる原音探求のコンセプトを共有しながら、様々な種類の音楽に自然と寄り添える柔軟さがまた一段と高まったように感じるのだ。ゼンハイザーのことをよく知るファンもぜひIE 200の音を確かめてほしい。きっとコレクションに加えたくなるはずだ。
(企画協力:Sonova Consumer Hearing Japan
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3/31までの期間・数量限定
ゼンハイザー、モニターイヤホン「IE 100 PRO」「IE 400 PRO」を2/16より特価販売
2023/02/09編集部:伴 修二郎
ゼンハイザージャパンは、プロ向けモニターイヤホン「IE 100 PRO」、および「IE 400 PRO」を特価販売する期間・数量限定プライスプロモーションを、2月16日(木)から3月31日(金)まで実施する。
「IE 100 PRO」
「IE 400 PRO」
「IE 100 PRO」は、音楽制作やライブ会場での正確な音を聞き分けるために開発されたというインイヤー型モニターイヤホン。前モデルの「IE 40 PRO」と同等の
10mm径ダイナミックドライバーを1発搭載し、
ハウジングも同等のものを採用しながら、コネクターとケーブルをアップデートしている。カラーはブラック、クリア、レッドの全3色をラインナップ。価格はオープンであるが、通常時の参考価格が14,300円(税込、以下同)のところ、本キャンペーンでは10,780円となる。
カラーは3色をラインナップ
「IE 400 PRO」は、プロ向けユニバーサルIEMのミドルエンドモデルに位置付けられる。動作原理から再設計したという
7mmダイナミックドライバー
を搭載し、目立つパンチ、クリアな高域、透明なミッドレンジ再生を実現するとしている。
カラーはクリアとスモーキーブラックの2色をラインナップし、
通常時の参考価格が50,600円のところ、
本キャンペーンでは37,950円で販売される。
スモーキーブラックモデル
ゼンハイザー、モニターイヤホン「IE 100 PRO」「IE 400 PRO」を2/16より特価販売 - PHILE WEB