ロシアのハイブリッド攻撃に警戒を 駐日フィンランド大使

 

産経新聞

産経新聞の取材に応じるタンヤ・ヤースケライネン駐日フィンランド大使=東京都港区(春名中撮影)

 

 

 

ロシアと約1300キロの国境で接するフィンランドのタンヤ・ヤースケライネン駐日大使が都内で産経新聞の取材に応じ、露軍に侵略されるウクライナへの一層の支援を訴えるとともに、ロシアからのフェイクニュース発信など、「ハイブリッド攻撃」に備えるべきだと指摘した。

 

 

  【写真】クピャンスクで損壊したロシア軍戦車の脇に立つウクライナ兵 

 

 

--ドイツ製戦車「レオパルト2」を保有するフィンランドは、ウクライナに戦車を供与する国際支援に参加の意向を表明した 「私たちはウクライナにさまざまな防衛装備を送っている。ドイツから購入した榴弾(りゅうだん)砲についても独政府から輸出許可が下り、現地に送った。12回にわたり防衛装備を送っている。ウクライナへの軍事支援は重要だ。彼らは『防衛する権利』を持つ」 --フィンランドは木製の柵などで仕切ったロシアとの国境のうち、安全保障上重要と見なした部分に頑丈なフェンスを建設する 「フェンス設置は国境検問所とその周辺の約200キロだ。国境全体の15%に相当する。建設がすでに始まっており、建設の成果を今後、評価していく方針だ」 --フィンランドは1939年、ソ連から侵略された(冬の戦争)歴史を持つ。ロシアの脅威とは 「フィンランドとロシアは激動の歴史を持つ。それでも、ウクライナで起きたことは衝撃的だった。私たちはロシアへの考え方を変える必要がある。ロシアの軍事力の誇示の仕方は過去数十年で変化してきた。従来は古い伝統の〝軍事の筋肉の翼〟を伸ばし、領空侵犯をしたり、軍事能力を(各地で)見せたりしてきた。しかし、私たちは近年、新たな脅威に直面している。サイバー攻撃や、(フェイクニュース発信など)メディアを通じてフィンランド国民の心理に影響を与えようとするハイブリッド攻撃だ。私たちは新たな作戦に適切に対処する必要がある。教育現場では、メディアを批判的に読み解き、情報の真偽を見分ける方法を教えている。国民は(情報をうのみにしない)『メディアリテラシー』を身に付けることが肝要だ」 --北大西洋条約機構(NATO)へのフィンランドの加盟申請が昨夏に承認され、各国で批准が進む 「加盟承認後、約4カ月で(全30カ国中)28カ国が批准した。この速度は記録的で、喜ばしいことだ。残りの2カ国はトルコとハンガリーだ。ハンガリーについては2月末に国会が開催され、議題は承認問題のみと聞いている。批准されるのではないか」 --NATO加盟後、フィンランドはどう動く 「フィンランドはすでにNATOの軍事演習に定期的に参加している。このため、加盟が実現した『1日目』から、NATOと一緒に仕事ができる」(聞き手 黒沢潤)

 

 

 

 ■タンヤ・ヤースケライネン氏 1967年、フィンランド生まれ。93年にタンペレ大修士号取得。95年にフィンランド外務省入省。2006年に外務大臣上級顧問。13年に駐チュニジア大使(リビア兼轄)。17年に外務省中東・北アフリカ課シリア危機特別代表(大使)。18年に外務省政治局副局長。22年9月から現職

 

 

 

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