1) 23時~3時のゴールデンタイムの、最低5時間以上の熟睡

 

2) スロー・ジョギングと、筋トレ

 

3) 高たんぱく・低糖質

卵は1日3つ食べるように」と指導

 

 

4) 脳トレ、

 

5) やはり、DHA、MCTオイル、

 

 

 

 

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原因物質は40代から蓄積する?認知症リスクを抑える「4つの習慣」

PHPオンライン衆知(THE21)

 

 

現役バリバリのミドル世代にとって、認知症はまだまだ遠い存在。ほとんどの人は「うちの親は大丈夫かな?」と家族の心配をするくらいだろう。しかし、認知症専門医院「ひろかわクリニック」を営む医師の広川慶裕氏は、認知症の原因物質は「40代」から脳に溜まり始めると指摘する。 ※本稿は、『THE21』2023年1月号特集「40代・50代から衰える脳 伸びる脳」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

認知症は「生活習慣病」の延長線上

認知症と言えば、高齢者の病気。親や高齢の親戚は大丈夫だろうか──そんな「他人事」的な考えを持ってはいないでしょうか。確かに認知症が「発症」するのは、多くの場合年を重ねてからかもしれません。 しかし、認知症予防専門医として、長く現場で予防や治療に取り組んできた私に言わせれば、認知症は「症状が出る前」からの予防習慣が必須です。 では、具体的にいつから「予防」を意識するべきか。それはズバリ「40代」からと考えてください。 そんな急な、と思われるかもしれませんが、これには2つの理由があります。1つは、私の考えでは、認知症は「生活習慣病の延長線上」にある病気だから。生活習慣病=認知症の予兆、と考えてみてください。 というのも、生活習慣病の代表である糖尿病や高血圧、メタボなどは、いずれも血管の機能を著しく下げる病気です。全身に血を巡らせる機能が低下すれば、その影響をモロに受けるのは「脳」に他なりません。 40代と言えば、健康診断などで引っかかる人が急激に増える時期です。40代から「認知症予防」に取り組んでほしいと力説する理由の1つについて、納得していただけたでしょうか。

老廃物は40代から蓄積される

もう1つの理由ですが、こちらのほうがより納得感があるかもしれません。様々なタイプがある認知症ですが、実は日本での発症例の7~8割ほどは「アルツハイマー型」や「レビー小体型」など、脳に老廃物が蓄積することが原因となるタイプで占められています。そして、この老廃物が溜まり始める時期こそ「40代」なのです。 アルツハイマー型の認知症を引き起こす「アミロイドβ」という物質で、より詳しく説明しましょう。これは本来、記憶を脳に定着させるために必要な物質で、人の体内で毎日生成されているもの。使い終わったアミロイドβは、すぐに代謝されて排出される仕組みです。 しかし、年を取るとこの「使用済みアミロイドβ」を排出する力が弱まり、ゴミとしてそのまま脳内に蓄積されてしまいます。そして、その蓄積量が一定ラインを越えると、次第に認知症の症状が出てきます。 このアミロイドβの蓄積が始まるのが、何を隠そう40歳頃からなのです。そして、20年ほどの長い時間をかけて、蓄積はピークに達します。 研究によると、アミロイドβの蓄積自体は、自覚症状のない段階ですでにピークを迎えることもあるようです。「認知症なんてとんでもない、まだ何の症状もないよ」と思っている方も、脳内を調べてみると、とっくにアミロイドβの蓄積が始まっているかもしれません。 40代・50代のうちは他人事、ではないのです。もう原因物質の蓄積は始まっているものと考え、ぜひ今日から予防を始めてみてください

 

 

 

 

睡眠は「ゴールデンタイム」を逃さない

では、具体的にどんな対策を取るべきか。まず、最重要事項は睡眠です。 最新の脳科学によると、脳は睡眠中に「少し収縮する」ことがわかってきました。それによって生じるわずかな「すき間」を使って、アミロイドβをはじめとする「余分な物質」を脳脊髄液が洗い流しているというわけです。これを「グリンパティックシステム」と呼びます。 つまり、十分な睡眠こそ「老廃物の排出」のための必須条件ということ。具体的には、最低でも毎日5時間以上の睡眠はマストです。それ以下では、アミロイドβを排出し切るのは難しいとされています。 また、睡眠時間には、体を修復する成長ホルモンが最も分泌されやすい23時~3時の「ゴールデンタイム」を含めるのが理想です。 生活リズムもなるべく一定に保ちましょう。休日に多少のんびりするのは構いませんが、昼過ぎまでずっと寝ているような生活は、認知症予防の観点からもNGです。

有酸素運動よりも「筋トレ」が効果的

「運動習慣」人物イラスト:小川かりん

 

 

 

 

次に、運動も忘れてはいけません。実は、パズルなどの「脳トレ」よりも身体の運動のほうが、「認知症予防」という点ではエビデンスが豊富です。 最近では「毎日ジョギングをしている」という方も増えましたが、私としては、有酸素運動よりも筋トレのほうが効果的だと思います。 理由としては、筋トレの後に筋肉が修復・成長する際に出るホルモンが、脳神経の成長・発展に作用するから。なお、ストレッチやスポーツ等で「骨に刺激を与える」場合でも、同様の機能を持ったホルモンが分泌されます。 それに、多忙で運動の時間なんて取れないという方も、「マイルドスクワット」などなら、すき間時間にできるのではないでしょうか。 それも難しい場合には、デスクワーク中に足にグッと力を入れ、床に強く押しつけるだけでもある程度の効果が期待できます。大腿四頭筋を鍛えられるうえ、人からは運動しているように見えません。1日に数回程度でも、ぜひ取り入れていただけたらと思います。 有酸素運動では「スロージョギング」に注目です。わざとゆっくり、歩くような速さで行なうジョギングのことですが、実はかなりキツい運動。ウォーキングの1.5倍程度は運動効果があると見積もられています。 このとき、足指のつけ根あたりで着地すると足を痛めることがありません。より負荷をかけたい場合は、時々わざとかかとから着地して骨に刺激を与え、先ほど申し上げた「骨が刺激を受けた際に出るホルモン」の分泌を促すのも効果的です

 

 

 

 

 

 

「百人一首」は最強の脳活ツール

脳トレのような頭を使うタイプの対策は、とにかく色々な種類のものを試すのが肝。特定の分野だけに取り組んでいても、脳機能の全体的な向上や認知症予防の効果はあまり期待できません。 お勧めは、2つのタスクをかけ合わせる「デュアルタスク」です。例えば、先ほどご紹介した「スロージョギング」をしながら、道行く車のナンバープレートを足し算してみる、などは非常に効果的でしょう。 また、何か文章を声に出しながら書き写す「音読&書写」の組み合わせも効果的。音読は文字を認識し、それを声に出し、耳で確認を取る複合的な作業です。そこに「書き写し」の作業を加えれば、脳を満遍なく回転させることができるでしょう。 さらなる活性化を図るなら、自分の好きな小説や詩の一節でやってみるのもお勧めです。特に推奨するのは「百人一首」の歌の数々。文字数も適度で、教養も深まる。さらに、なんといっても音読したときの「読み味」が最高です。まさに一石何鳥にもなる題材だと思います。

食は「高タンパク・低糖質」を意識する

認知症を防ぐ「食習慣」

 

 

 

若々しい脳を維持するためには、食事面の改善も欠かせません。まずはとにかく「高タンパク・低糖質」の食事を心がけましょう。 タンパク質を摂るには、肉や卵、魚などの摂取が欠かせません。大豆などの植物性タンパク質も悪くはありませんが、ぜひ動物性のタンパク質を優先的に摂取してください。 というのも、栄養源としてのタンパク質の質を評価するプロテインスコア(100に近いほど良質)を見ても、鶏卵とシジミが100、牛肉が96なのに対して、大豆はたった80。単純に、栄養効率が悪いのです。 私は、クリニックの患者さんたちに「卵は1日3つ食べるように」と指導しています。かつては「卵を食べるとコレステロール値が上がって身体に悪い」というのが定説でしたが、今やそれも過去の話。 存外エビデンスが弱いことが明らかになり、厚生労働省も「卵の摂取量で各種疾患への罹患率が上がる、という相関関係はない」と正式に否定しているんです。私自身、服薬が必要なほどの高コレステロール家系ですが、卵は毎朝3つ食べるようにしています。 また、必須脂肪酸に着目し、「良い脂質」を摂取することも重要です。必須脂肪酸とは、体内では生成できず、食べ物から摂るしかない栄養素のこと。これが豊富な油には、例えば青魚に含まれるDHAや、アマニ油、オリーブオイルなどが該当します。逆に、サラダ油やマーガリンなどは摂りすぎ注意です。 食材で言えば、サバ缶などはリーズナブルで、しかも1日に必要な必須脂肪酸を1缶でほぼカバーできる、超優秀な食材と言えます。 料理のときに使うサラダ油をオリーブオイルに切り替えたり、寝る前にティースプーン1杯の「MCTオイル(中鎖脂肪酸油)」を直接摂取したりするのが良いでしょう。「脂質は一律控える」ような食生活は、正しいとは言えません

 

 

 

 

 

 

 

 

症状の進行は「早期発見」がカギ

ここまで脅かすようなことばかり言ってしまいましたが、仮に老廃物の蓄積が進んでしまっても、希望を捨てる必要はありません。 というのも、認知症には、診断が下る以前に、軽い物忘れなどの症状が出てくる「軽度認知障害(MCI)」と呼ばれる段階があるからです。脳の萎縮はあるものの、まだ生活には支障が出ていない状態ですね。 実は、こうした段階で適切な対策をすれば、多くの場合「認知症」への進行を食い止めることが可能です。十分早期に発見すれば、健常な状態に戻れたという報告も多数あります。 実際、私もクリニックで数百人以上の「MCI(もしくはより軽度のプレMCI)」状態の患者さんを診察し、そこからの対応策を指南してきましたが、そういった方の中で「認知症」の診断を出すまでに症状が進んでしまったのはわずか数名。早期の対策がいかに大切か、おわかりいただけると思います。 最後に、プレMCIの簡易チェックリストを載せておきますので、セルフチェックをしてみてください。5項目以上当てはまってしまった方は、ぜひ一度医師の診断を受けていただければと思います。

 

 

 

 

 

 【「プレMCI」チェックリスト】 

 

(1)メンタルの不調を感じやすい(気分が沈む、集中力が続かない)

 

 (2)物忘れが増えた自覚がある

 

 

 (3)仕事上、なんでもない凡ミスをする 

 

 

(4)探し物が増えている 

 

 

(5)疲れやすく、居眠りをしてしまうことも 

 

 

(6)一度に多くのことを言われると、戸惑ったり頭が真っ白になる

 

 

 (7)同じ人に無意識に同じ話をしてしまう 

 

 

(8)話し始めの言葉が聞き取れず、聞き返すことが増えている

 

 

 (9)嗅覚が鈍った感じがする

 

 

 (10)慣れていることにもどこか違和感があり、馴染み感覚が薄くなっている 

 

 

【広川慶裕(ひろかわ・よしひろ)】 

ひろかわクリニック院長。

1955年生まれ。

京都大学医学部を卒業後、麻酔科専門医・指導医を経て精神科医に。

 

2014年、認知症専門の「ひろかわクリニック」を京都に開業し、

同年「品川駅前MCI相談室」も開室。

主な著書に『脳が若返るまいにちの習慣』(サンマーク文庫)、『図解でよくわかる 今すぐできる認トレで認知症は予防できる』(河出書房新社)などがある。 (『THE21』2023年1月号特集「40代・50代から衰える脳 伸びる脳」より) 

広川慶裕(ひろかわクリニック院長

 

 

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