専門家「再攻撃の理由そろった」 劣勢の紛争国に打つ手はあるのか
2022年11月8日の第2次ナゴルノ・カラバフ紛争戦勝2周年記念日で、アゼルバイジャンの国旗を持つ若者ら=バクー、国末憲人撮影
領有や支配を巡ってアゼルバイジャンとアルメニアが対立するナゴルノ・カラバフ問題は、解決の糸口が見えない状態だ。旧ソ連の紛争研究を専門とする同志社大学の富樫耕介准教授(38)は、アゼルバイジャンが再度攻撃する可能性も捨てきれないという。
【画像】ナゴルノ・カラバフで開かれた集会で、拳を突き上げて抗議する人たち
准教授によると、アルメニアの世論調査では現在、ナゴルノ・カラバフの「自国への編入」が9割以上の支持を得る。一方で、アゼルバイジャンの世論は自治権を改めて与えることすら拒否している。両国の世論がほぼ交わらない状態だ。 そうした中で、軍事的に優位なアゼルバイジャンはアルメニアに圧力をかけ、反応を観察していると、准教授は見る。「アゼルバイジャン側に、再度攻撃する理由はそろっているように見えます。アルメニアの同盟国であるロシアはプレゼンスを示せず、国際社会のこの地域への注目度も低い」 ただ、紛争は一歩間違うとナゴルノ・カラバフにとどまらず、本土間の戦争へとエスカレーションしかねない。また、「アゼルバイジャン政府はこれまで、国内で反アルメニア意識を扇動してきましたが、逆に興奮した国民の愛国心が高まりすぎて、政府の手に負えなくなる恐れもあります」とも准教授は語る。 劣勢のアルメニア側に、打つ手はあるのか。富樫准教授が可能性を見いだすのは、トルコとの関係改善と絡めて交渉を進める手法だという。(国末憲人)
朝日新聞社
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