「キエフの幽霊」描いた日本の漫画、ウクライナで翻訳され人気に
ロシアによるウクライナ侵攻で、ロシア軍機を立て続けに撃墜した英雄としてSNSで話題になったウクライナ空軍のエースパイロット「キーウ(キエフ)の幽霊」。後に架空の人物と判明するが、この「英雄」をテーマに日本の作家が描いた同人誌の漫画がいま、戦時下のウクライナで売れているという。
【写真】ラノック出版社での出版の様子。遠く離れた日本で描かれた漫画の存在を知った社長の思いは?
タイトルは「キエフの幽霊」。
ウクライナ上空に侵入したロシア軍機を、ことごとく背後から攻撃する「幽霊のような」ウクライナ軍パイロットの活躍を描いた作品だ。描いたのは埼玉県飯能市に住む同人作家の松田重工さん。4月、松田さんがツイッターに「キエフの幽霊」を紹介する投稿をあげると、SNSで瞬く間に拡散された。 ウクライナ北東部ハルキウ州の「ラノック出版社」の社長ビクトル・クルグロフさん(52)が、職場のチャットで同僚が共有したこの漫画を見て、ウクライナでの出版を決意。松田さんの連絡先が分からず、フェイスブックで駐日ウクライナ大使に連絡すると、大使が仲介に入って出版が実現した。 初版はウクライナ語で2万5千部、英語で5千部を印刷。ウクライナ国内の182の書店とポーランド、ドイツの一部の書店で販売され、「ベストセラー」になっているという。 「私たちの野心的な計画では10万部を販売するつもり」とクルグロフ社長。松田さんが描いた第2弾「ドネツクのデブ猫」も近くウクライナ語に訳され、出版される予定だ。
(牛尾梓)
朝日新聞社
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