やり方がわからないなら、習えばいい!

米紙「家事のできない日本の高齢男性たちが、料理教室に通い始めている」

「ベターホームのお料理教室」で料理を学ぶ男性たち Photo: Taro Karibe / The Washington Post

「ベターホームのお料理教室」で料理を学ぶ男性たち Photo: Taro Karibe / The Washington Post

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ワシントン・ポスト(米国)

ワシントン・ポスト(米国)

Text by Marina Lopes and Julia Inuma

 

他の先進国に比べると、日本の男性が家事や育児に割く時間は短いと言われている。だが、その状況も徐々に変わりつつあるようだ。米紙「ワシントン・ポスト」が、家事のスキルを学ぶ日本の高齢男性たちを取材した。

 

目標はビーフストロガノフ


ヨシダ・マサヒロはスーツを脱ぐと、ボタンダウンシャツの上からエプロンをつけた。65年の人生で台所を避けつづけてきた彼だが、いよいよ料理をするときが来たのだ。

ほとんどの日本人男性と同じく、ヨシダが結婚するまでは彼の母がすべての食事を用意してくれたし、結婚後は妻がその役割を引き継いだ。

しかし、4年前に彼が国家公務員を定年退職したとき、妻が食事の支度の分担を提案したのだった。ヨシダは同意したものの、基本的な料理を作るだけでも途方に暮れてしまった。ユーチューブのお手本動画を見ても混乱するばかりだった

 

 

 

 

 

というわけで、彼は料理教室に通うことにした。いま、彼のような日本の高齢男性が増えているのだ。

彼が受講する「ベターホームのお料理教室」の6ヵ月コースでは、ニンニクのみじん切りやマッシュルームの薄切り、さらにお肉の買い方まで教えてくれる──これらのスキルがすべて組み合わさると、ヨシダが卒業までの目標としているビーフストロガノフが作れるようになるのだ。

「料理がこんなにも複雑な工程だとは、まったく知りませんでした」とヨシダは言う。
 

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ビーフストロガノフを作ることを目標に、料理教室に通うヨシダ・マサヒロ Photo: Taro Karibe / The Washington Post

 

家事は誰の仕事?


何世代にもわたり、日本の家庭生活は厳密なジェンダーロールに支配されてきた。退職するまで果物ナイフを持ったことがなく、一枚の皿も洗ったことがないという男性も珍しくない。妻を失って初めて、自分が最も初歩的な家事もできないことに気づく人も多い。

古い日本のことわざ「男子厨房に入らず」も、男たちを家事のほとんどから遠ざけてきた。手伝いたいと思っても、やり方がわからないのだ。

 

 

 

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