村上世彰氏に屈した「ジャフコ」が指示をほぼ丸のみ…野村総研株を売却へ(重道武司)
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「村上」弾がまたもや炸裂──と言っても、プロ野球・ヤクルトスワローズの若き三冠王、村上宗隆選手のことではない。「物言う株主」として企業経営者らを震え上がらせている旧村上ファンド、村上世彰氏のことだ。
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新たに“血祭り”に上げられたのはジャフコグループだ。日本のベンチャーキャピタル(VC)の草分けで、東証プライム市場に上場する業界最大手。いわば「投資のプロ的存在」(金融筋)だ。それが村上氏によって半ば手玉に取られたのだ。先週末、村上氏主宰の投資会社などが保有するジャフコ株を420億円で自己株取得せよとの要求を受け入れさせられたのである。 村上氏が投資会社のシティインデックスイレブンスなどを通じてジャフコ株を買い占め始めたのは「今年5月ごろから」(関係者)とされている。持ち株比率は8月初旬には11%を突破。直近では1390万株、19.53%にまで跳ね上がっている。 そんな中、村上氏が突き付けてきたのが500億円規模の自己株買いだ。同時に提案を受け入れない場合は「51%まで買い増す可能性があることも示唆された」(同)という。 とはいえ、ジャフコの手持ち現預金の水準は9月末時点で435億円。500億円もの資金を自己株買いに振り向ければ手元流動性が底を突きかねない。
■自己株買いの原資にしろ だが──それでも村上氏側は一向に動じない。
「恐らく最初から目を付けていたのだろう」(金融筋)。
ジャフコが保有している野村総合研究所(NRI)株を売却して
自己株買いの原資にしろと指示してきたのである。
ジャフコは野村証券グループが設立した日本合同ファイナンスがルーツ。その縁で今もNRI株の約3.9%、2396万株を握る第7位の株主となっている。要するにこの株を売り払ってカネをつくれ、というわけで今回、ジャフコ側はこれをほぼ丸のみする。 NRI株の売り出し価格は12月5~7日の間に決めるが、先週末の終値で3320円。全株売却なら税金などを差し引いても500億円を超える資金が手に入ることになり、ジャフコは一定の条件が整うことを前提に、うち420億円を同16日からの自己株TOB(株式公開買い付け)に回す。
何やら「村神様」──と言えなくもない。 (重道武司/経済ジャーナリスト
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