名目は「キャンプ」、ロシアがウクライナの子供を強制連行…帰らぬ2人の我が子に母「毎日涙」

読売新聞オンライン

 ロシアが9月末に一方的に併合したウクライナの東・南部4州で、ウクライナ人の子供が「キャンプ」や「リハビリ」の名目でロシアに強制連行され、行方不明になる事例が相次いでいる。南部ザポリージャ州エネルホダルの女性薬剤師(41)は、10歳と12歳の息子2人がキャンプに参加したまま約1か月戻らずにいる。本紙のSNS取材に「毎日、涙に暮れている」と焦りをにじませた。(ワルシャワ 上地洋実) 

 

 

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 この女性は10月、街を占領しているロシア側の当局が企画した露南部クラスノダール地方での「サマーキャンプ」に2人を預けた。「地下シェルターで過ごしてきた子供たちに、ビタミン豊富な食事や休息を与えてあげたい」と思ったからだ。ザポリージャ原子力発電所が立地するエネルホダルは8月以降、砲撃が続いていた。

 

 

 

ロシア軍の攻撃を受け、地下シェルターに避難するウクライナの孤児ら(6月、ウクライナ南部オデーサで)=ロイター

 

 

 

 

 キャンプには、エネルホダルや周辺の村から約500人が参加し、バス10台で出発。10月15日から6日間という説明だったが、1週間後、当局から「子供は当面戻らない。ロシアの学校に通わせるので衣類を送るように」と通告された。女性は「子供を取り戻したいがロシアに行く手段もない」と無力感をにじませた。

 

 

 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は今月14日のビデオ演説で強制連行の規模を「特定されているだけで子供1万1000人」としている。子供の強制連行には、幼いうちにロシアの価値観を植え付け、ウクライナ人としてのアイデンティティーを喪失させる狙いなどが指摘されている。エネルホダルのドミトロ・オルロフ市長はSNS取材に、「子供たちは人質に取られた」との見解を示した

 

 

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