日本の常識を遥かに超えた世界初のグリーン電池…【関西】二次電池展 11月16日開幕

スウェーデンの電池スタートアップ企業、ノースボルトの立ち上げ時から開発総責任者として参画し、現在はノースボルト ジャパンの代表取締役を務める阿武保郎氏は「ノースボルトが目指すグリーン電池は日本の常識を大きく超えたレベルだ」と強調する。

業界トップのエネルギー密度を持つ大型角型リチウムイオン電池
阿武氏は、ノースボルトのピーター・カールソンCEOに「ヨーロッパでグリーンな電池造りに力を貸して欲しい」と熱望され2017年に開発総責任者に就任した。
阿武氏は35年近くバッテリーの事業をやってきただけに、カールソンCEOの誘いに当初は「発想は良いが冗談だろうと思った」と明かす。
というのも世界基準でグリーンなバッテリーはそれまでは存在していなかったうえに「ヨーロッパはグリーン、環境に対しても厳しい地域。
そうした位置づけの中で、
スウェーデンで化学系の工場を造ることは、
化学工業に身を置くものの常識として至難の業」だったからだ。
しかし、阿武氏は
「もし本当にスウェーデンに工場を建ててバッテリーを造れるのであれば、
世界で初めてのグリーンバッテリー事業になる。
バッテリー事業に長年携わってきた人間の最後の仕事としては
非常に意義のあるチャレンジだ」と考え、ノースボルトの一員に加わった。
グリーンを標榜するノースボルトの電池は
ヨーロッパの社会が求めている
自動車業界や貴金属採鉱業界向けの
業界トップのエネルギー密度を持つ大型角型リチウムイオン電池で
「水力や風力で発電した電力を使って工場を稼働させる。
さらに我々が購入する材料、
あるいは設備も含め、
カーボンフットプリントの良くない材料、
いわゆるCO2を大量に排出しているような材料は使わない」のが特徴だ。
このため
「材料や
設備の調達先に対しても
カーボンフットプリントをチェックする。
なぜなら、
いずれトータルのカーボンフットプリントの数値に応じて販売価格にペナルティが課されるようになっているためだ。
それはどういうことかというと、
脱中国という動きになる。
日本メーカーは中国部品、中国材料依存型の企業が非常に多いため、
日本メーカーから調達する可能性も低くなる。
それほどまでにこだわっているということだ」と阿武氏は語る。

材料から厳選、製造することでメイドインヨーロッパを実現
脱中国に関しては調達先の選定にとどまらず
ノースボルト自らも先手を打っている。
「同業他社のほとんどは中南米や中国産のリチウムを使っているが、
カーボンフットプリントや
チャイルドレーバー(児童労働)の観点からいうと、
それは正解ではない。
従って我々はポルトガルのエネルギー大手ガルプ・エネジアと
リチウム加工の合弁会社を設立して、
メイドインヨーロッパのリチウムを使う」という。
また、阿武氏は
「スウェーデンの総合製紙会社ストラ・エンソとともに、
リグニン(フェノール性高分子化合物)をベースとした負極材を
スウェーデンにある我々の工場内で製造する計画も進めている。
もちろん今、一般的に使用されているグラファイトに比べて
エネルギー密度は低いが、
ハードカーボンをリチウムイオンにする人はあまりいない。
我々は将来的に別のことを考えていて、
日本の得意技でもあるナトリウムイオンでやろうと思ったら
ハードカーボンのメリットもある。
これも中国メーカー頼みのグラファイトカーボンからの脱出となる」と話す。
さらに阿武氏は
「ノースボルトは電池の製造をしたことのない会社だったが、
設立当初からリサイクル事業を同時並行で立ち上げている、
これはおそらく世界でノースボルトだけ」と強調する。
「ただ単にCO2を減らそうというだけではなく、
もっと大きいマクロの世界、
環境のためには何をすべきか、
そのくらいリサイクルする意味、意義を
ビジョンとしてもっている。
これは他社との違いであり、特徴」だからだ。

2030年までに電池正極材料の50%をリサイクル材料で生産する
そのリサイクル方法も同業他社とは異なる道を目指している。
具体的には
「現在、日本や中国では、使用済み電池を燃やしてニッケルとコバルトなど限られた材料でリサイクル&リユースしている。
たが我々は有機溶解液の中に入れて行う。
これは湿式精錬と言われている方式だが、
これでやると使用済みの電池の95%をリサイクルができる」という。
阿武氏によると「
電池正極材料の50%に
このリサイクル材料を再利用する
ことを2030年までにやる計画を持っている。
これは第1の目標で、
さらに60%、70%へと引き上げていく」とのことだ。
こうした目標設定も
「おそらくヨーロッパとしては電池メーカー、自動車メーカーも含めてリサイクルのシステムを構築しないところにはペナルティを課すか、さらには販売禁止にするのではないか。
要するに売りっぱなし売切りはダメということになる。
必ず責任をもって車載電池を回収しなさいという政策が出てくる」ことを見越したものだ。
そう語る阿武氏は、
11月16日にインテックス大阪で開幕する二次電池展【関西展】の最終日に行われるセミナーで「世界で最もクリーンバッテリー ~ノースボルトの戦略と展望~」をテーマに登壇する。
阿武氏は
「日本の皆様にノースボルトという会社の取り組みやビジョンについてご理解頂きたい」とする
一方で
「カーボンフットプリントも含めて、
ヨーロッパのグリーンというレベルはおそらく皆様が思っているレベルではない。
日本の材料メーカー、
あるいは設備メーカーの皆様が
ヨーロッパへ参入するためにはどういうことをやっていかなければいけないかということについて語りたいと思っている」
と抱負を述べていた
日本の常識を遥かに超えた世界初のグリーン電池…【関西】二次電池展 11月16日開幕 | レスポンス(Response.jp)
関西】二次電池展(通称:バッテリー大阪)
会期:2022年11月16日(水)~18日(金)10時~17時
会場:インテックス大阪
主催:RX Japan 株式会社
※10月5日現在。最新情報は展示会HPをご確認ください