平均2,000万円だが…「住宅ローン完済」で退職金を使い果たした「元・大卒会社員」、年金だけで暮らせるか?

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(※写真はイメージです/PIXTA)

 

 

 

大卒で入社し、定年まで勤め上げれば、平均2,000万円を手にできるという退職金。以前、その使い道は「老後の生活資金として」が定番でしたが、昨今は「住宅ローン完済」で使い果たし、「老後、退職金はあてにできない」というケースが増えているそうです。老後の生活費、残るは年金のみ……果たして、それで生活できるものなのでしょうか。みていきましょう。

 

 

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大卒・総合職の会社員…定年まで勤め上げたのちにもらえる退職金額は?

退職金制度のない企業が増えているらしい……そんな噂を聞いたことがある人も多いでしょう。確かに退職金は就業規則で定めている福利厚生であり、制度を取り入れるかどうかは各企業によってまちまち。退職金は法的に義務付けられているわけではありません。 また退職金制度により経営を圧迫しているケースもあり、たとえば、成果に応じた算定方式への転換を図る企業も珍しくはありません。本来、退職金制度を変更し支給額を減額することは、労働条件の不利益変更となり、労働契約法第9条では不可とされています。一方でその10条では変更後の内容が合理的なものである限り、就業規則の変更によって使用者が一方的に労働条件を不利益に変更することも許容されるとされています。 その判断基準は微妙なので、会社側が一方的に変更することには慎重になるでしょうから、「退職金があると聞いていたし就業規則にも書いたあったはず……なのに、もらえない!」ということはそうないでしょう。ただ転職などを考える際、「退職金はあるもの」という考えでいると、退職時に驚くことになるでしょうから、入社時にきちんと確認しておくことが重要です。 従来型の退職金制度の転換を図る企業が増えていますが、いずれにせよ、会社員にとって大金を手にするチャンスである退職金はとても重要。特に定年で手にする定年退職金は、老後を見据えるうえでも重要です。 一般社団法人日本経済団体連合会『2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査』によると、2021年、「退職一時金制度と退職金年金制度を併用する」企業は66.1%、「退職一時金制度のみ」が15.9%、「退職年金制度のみ」が10.3%。仮に大卒総合職で60歳まで勤め上げたとしたら、定年退職金は2,243万3,000円になります。 【大卒総合職の標準退職金】 23歳(勤続1年):25.9万円 25歳(勤続3年):64.7万円 27歳(勤続5年):116.9万円 32歳(勤続10年):288.6万円 37歳(勤続15年):519.8万円 42歳(勤続20年):822.3万円 47歳(勤続25年):1,209.0万円 52歳(勤続30年):1,649.1万円 55歳(勤続33年):1,931.8万円 57歳(勤続35年):2,085.8万円 60歳(勤続38年):2,243.3万円 出所:一般社団法人日本経済団体連合会『2021年9月度退職金・年金に関する実態調査』より ※数値:会社都合の場合の退職金額(退職金一時金のみ、退職一時金と年金併用、退職年金のみの場合の額を合算し、単純平均したもの

 

 

 

 

 

40歳、32年ローンでマンション購入…「退職金でローン完済」の老後は?

老後、夫婦で2,000万円の貯蓄がないとダメだとする「老後資金2,000万円問題」も一気に解決できる……それが退職金。コツコツと頑張ってきたかいがあるというものです。ただこの退職金、以前は老後資金に充てる人が多いですが、最近は住宅ローンの完済で使用する人が増えています。 国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』によると、分譲マンション購入者の平均年齢はおおよそ40歳。そこで3,300万円・32年ローンを利用します。単純計算、60歳定年時には1,500万円超えの残金がある計算です。 【分譲マンション「購入者・物件」の平均像】 世帯主年齢:39.5歳(一次取得者) 世帯年収:852万円(一次取得者) 購入資金:4,674万円 借入金:3,337円 返済期間:32.0年 年間返済額:150.4万円 出所:国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』より ――年金生活に突入してからのローン返済はキツイ そう考えて、退職金で一気に払ってしまうことを決断するわけです。以前であれば住宅購入時の年齢はもっと若く、たとえ退職金で住宅ローンを完済してしまっても、手元にそれなりの残るケースが多かったのですが、いまは完済したらそれまで。それまでローン返済に子どもの教育費にとギリギリいっぱいの生活をしてきて、貯蓄もそれほどないというケースも多く、「老後は年金だけが頼り」というケースも、決して珍しくないのです。 厚生労働省の調査によると、元会社員の男性が65歳から手にする平均年金額は17万円ほど。配偶者が専業主婦なら、満額で月6万4,816円(2022年度)ですから、夫婦で月23万円程度の年金を手にできる計算になります。 総務省『家計調査』によると、無職の高齢夫婦(65歳以上)の1ヵ月の消費支出は21万~23万円程度で、税金や保険料などをプラスすると25~26万円程度。平均値では「会社員×専業主婦(夫)」の夫婦は毎月赤字になる計算。節約生活が絶対条件となります。しかし「会社員×会社員」であれば、平均的な老後生活は送れそうな算段です。 もちろん将来的に介護が必要になるなど、不測の事態に備えておく必要はありますが、「平均的な年金額」がみえていれば、「年金だけで暮らす」というのも現実的な話といえるでしょう。もちろん「平均的な年金額」を手にできる人は恵まれている人たちだけであり、多くの人は自助努力が求められている事実を知っておかなければなりません

 

 

 

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