【2022年版】オーディオ用USBケーブル20機種一斉試聴! 最新モデルからロングセラーまで注目モデルを徹底比較!

2022/11/02秋山 真

 

 

【2022年版】オーディオ用USBケーブル20機種一斉試聴! 最新モデルからロングセラーまで注目モデルを徹底比較! (2/5) - PHILE WEB

 

【ZONOTONE】Grandio USB-2.0 15,950円/1.2m(税込)
横方向への広がりはそれほどでもないが、音像の前後関係は明確だ。色濃く艶っぽいボーカルは一歩前に出て歌い、距離感が近い。リズム楽器は低域に量感があってよく弾み、それがグルーヴを生み出している。ジャンルによってはもう少しヌケ感が欲しい気もするが、古いジャズやライブ盤などは相性が良いだろう。解像感といったようなオーディオ的な快感よりも、音楽寄りでミュージシャンとの一体感を重視したチューニングと聴いた。
 

fレンジ:7.0 Dレンジ:7.0 S/N:6.5 解像力:7.0 分解能:6.5 レスポンス:6.5 パワー:7.0 パースペクティブ:7.0

【SUPRA】USB 2.0 EXCALIBUR 25,300円/1.0m(税込)
10年前に発売された先代の「USB 2.0」は刺激的な音を一切出さない、少しまったり系のケーブルだったが、最新の「エクスカリバー」は切れ味がひと味もふた味も違う。先代の長所は受け継ぎながらも、明らかにワイドレンジ化しており、空間表現にも長けている。それでいて中低域のパワー感とドライブ能力も申し分なく、ボーカルは実体感をもって空間に綺麗に浮かぶ。まさに10年ひと昔。あらゆる要素が高次元に進化した見事な完成度に拍手。
 

fレンジ:8.0 Dレンジ:7.5 S/N:8.0 解像力:8.0 分解能:7.5 レスポンス:7.5 パワー:8.0 パースペクティブ:8.0

【SAEC】SUS-380 MK2 28,600円/1.2m(税込)
ニュートラルでスムーズな音というのが第一印象。脚色感がなく、一音一音の繋がりが良い。中低域には弾力とコシがあり、それが全体の厚みを形成している。レンジの広さや解像力よりも、まとまりの良さで勝負するタイプであり、どんなジャンルでも破綻することはなく終始安定して聴かせる能力は、この価格帯では採点以上の価値がある。USBケーブルで音質が変わることに半信半疑という人へ最初の1本としてオススメしたい。
 

fレンジ:7.0 Dレンジ:6.5 S/N:7.0 解像力:6.5 分解能:6.5 レスポンス:7.0 パワー:7.0 パースペクティブ:6.5

 

 

 

 

 

 

 

【AUDIO MIJINKO】PEARL USB 33,000円/1.0m(税込)
先ほどの「COSMO USB」とは音調が随分異なる。控えめだったローエンドが伸び、ボーカルもきちんと前に出てきた。先ほどの表現を借りるなら、スピーカーを内振りに戻した感じだ。とはいえ、音像は標準よりも大きめで、全体としてはスケール感で聴かせるタイプ。特有の艶っぽさが感じられるのは、導体に銀単線が使われているからか。製品ごとにキャラクターを大きく変えられるのは、オーダーメイドが得意なメーカーならではかもしれない。
 

fレンジ:7.5 Dレンジ:7.0 S/N:7.0 解像力:7.0 分解能:7.0 レスポンス:7.0 パワー:7.0 パースペクティブ:7.0

【TRANSPARENT】Transparent USB Cable 43,000円/1.0m(税込)
滑らかで流れるような音の出方が印象的だ。子音の処理に刺々しさが全くないことから、ボーカルが安定し、歌唱力が上がったように感じられる。ほどよくダンピングされた重量感のあるオケは、中低域にヌケ感があるとさらに良いが、弾力性は失っていない。総じてバランス感覚に優れた至極真っ当な音のするケーブルで、演奏のピッチまで正確になったように感じられるのは、USBケーブル以外の同社製品でも見受けられる特徴だ。
 

fレンジ:7.5 Dレンジ:7.5 S/N:7.5 解像力:7.5 分解能:7.5 レスポンス:7.0 パワー:7.5 パースペクティブ:7.5

【KRIPTON】UC-HR 46,200円/1.0m(税込)
2011年発売のロングラン製品であり、過去の取材で何度も使用しているので素性はわかっているつもりだ。まずは低重心。ローエンドの伸びもしっかりしている。音場は横方向に広く、音像はどちらかというと前に出てくるタイプ。終始どっしりと安定しているのは電源線と信号線を分離した「デュアル構造」ならでは。ただ、高さ方向やハイエンドの伸び、解像感や立体感がもう少しほしい。リスペクトしているからこそ、新製品の登場に期待したい。
 

fレンジ:7.5 Dレンジ:7.0 S/N:7.5 解像力:7.0 分解能:7.0 レスポンス:7.0 パワー:7.5 パースペクティブ:7.0

【inakustik】RFUSB 55,000円/1.5m(税込)
いわゆる“位相の良さ”が随所に感じられ、空中にピンポイントで定位するボーカルは、艶やかな口元がはっきりと見えるようだ。空間描写力にも優れ、サウンドステージの様子が手に取るようにわかる。この感覚は昨今話題の空間オーディオに通じるものがある。このように書くと、演出が過剰と思われるかもしれないが、音色や帯域バランスはあくまでリファレンス調が貫かれており、そのあたりにこのケーブルの非凡さを感じる。
 

fレンジ:8.0 Dレンジ:8.0 S/N:8.0 解像力:8.5 分解能:8.0 レスポンス:7.5 パワー:7.5 パースペクティブ:8.0

【CHORD COMPANY】Shawline USB 55,000円/1.0m(税込)
鮮赤色のジャケットがよく似合う、蛇口全開で喰い応えのあるガッツリ系サウンドだ。ワイドレンジなのに厚みも十分で、唸るベースラインに乗せてボーカルは朗々と歌い上げる。ドラムスには一打一打に確かな質量が感じられ、バスドラの空気の震えまで伝わってきた。蛇口全開というと一本調子なイメージがあるかもしれないが、ダイナミックレンジは確保され、音像定位も意外なほど立体的。要所要所で余裕のある表情を見せるのが実にニクイ。
 

fレンジ:8.0 Dレンジ:8.0 S/N:7.5 解像力:8.0 分解能:7.5 レスポンス:7.5 パワー:8.0 パースペクティブ:8.0

【M&M DESIGN】SN-USB6000 59,400円/1.0m(税込)
特徴的なサウンドだ。温度感が高めで、低域はドスドスと厚いビートを刻み、骨太な音像が逞しい。レンジは控えめだが、その代わりにこのアゲアゲな音圧感は、特にクラブ系サウンドと相性抜群だろう。音質にこだわるDJは要注目だ。チューニングには統一感があり、メーカーが目指したであろう世界観にブレがないことを評価したい。こういうUSBケーブルはオーディオの多様性に必要だと思う。
 

fレンジ:7.0 Dレンジ:7.0 S/N:7.0 解像力:7.5 分解能:7.0 レスポンス:7.0 パワー:8.0 パースペクティブ:7.0

 

 

【SAEC】STRATOSPHERE SUS-020 68,200円/1.2m(税込)
「SUS-380 MK2」と見た目は似ているが、全てのオーディオ的要素が大幅にグレードアップしている。ニュートラル志向はさらに徹底されて、ワイドレンジでノイズレス。空間表現にも磨きがかかり、ボーカルとコーラスの重なりがじつに美しい。これがSTRATOSPHEREシリーズの目指す“正しい音”なのだろう。2倍以上の価格差も納得のクオリティだ。にも関わらず、非の打ち所がない優等生に、舶来品のようなエンタメ性を求めてしまう私は邪道なのだろうか。

fレンジ:8.0 Dレンジ:7.5 S/N:8.0 解像力:7.5 分解能:8.0 レスポンス:7.5 パワー:7.5 パースペクティブ:8.0


【TIGLON】TPL-2000U 79,200円/1.0m(税込)
重心がググっと下がり、ドスの効いた武闘派サウンドが下へ下へ、前へ前へ、と迫り出してくる。この印象は筆者が以前試聴した同社の電源ケーブルやスピーカースタンドとは明らかに異なるが、中低域寄りのエネルギーバランスと音圧感は電源ケーブルと、余計な響きが乗らないダイレクトな切れ味はスピーカースタンドと、それぞれ部分的な共通点も聞き取れる。ヘヴィーなのにスピーディー。このあたりがマグネシウムの特徴なのかもしれない。

fレンジ:7.0 Dレンジ:7.0 S/N:7.0 解像力:7.5 分解能:7.0 レスポンス:7.0 パワー:8.0 パースペクティブ:7.0


【CARDAS】Clear High Speed Serial Buss 82,830円/1.0m(税込)
発売からかなり経っているが、古さを全く感じさせないハイダイナミックレンジ&ハイコントラスト&高解像&高分解能な圧倒的性能で最新ケーブルを凌駕する。デュアル構造ならではの際立つ安定感と、全方位に視界良好な抜群のパースペクティブは、調整の行き届いたスタジオでモニタリングしているような真のプロフェッショナルサウンドだ。1人でも多くの人に聴いてほしい今回のナンバーワン。

fレンジ:8.5 Dレンジ:9.0 S/N:8.5 解像力:9.0 分解能:9.0 レスポンス:8.5 パワー:8.5 パースペクティブ:9.0


【Wireworld】Platinum Starlight 8 95,700円/1.0m(税込)
部屋が広くなったと錯覚するほどの巨大なスケール感には王者の風格が漂う。聴感上の音量も明らかにアップし、重量級のローエンドが、ゴーンゴーンと腹に響いてくる。純銀製の導体を使用しているが、いわゆる銀線特有の艶っぽいキャラクターは感じられず、むしろスッキリとした高域と、よくほぐれた中域によって、ゴージャスでありながらも華美になりすぎないギリギリのバランスが保たれている。これぞ老舗ならではの銀線の使いこなしだ。

fレンジ:8.0 Dレンジ:7.5 S/N:8.0 解像力:7.5 分解能:8.0 レスポンス:8.0 パワー:8.0 パースペクティブ:7.5

 

 

 

 

 

 

 

 

【Brise Audio】YATONO-USB 125,000円/1.0m(税込)
“カッティング・エッジ”という言葉が真っ先に浮かんだ。ヒスノイズまで露わにするハイレゾリューション・サウンドには、敢えて“解像感”ではなく“解像度”という表現を使いたくなるほど。レンジの広さは標準的ながら、音像は筋肉質でタイト。とにかく音が速くて、よく視える。一瞬ソニーのスタジオヘッドホンMDR-CD900STで聴いているような感覚にとらわれた。ヘッドホン、イヤホン環境がメインのリスナーには“どストライク”な1本になりそうだ。

fレンジ:7.5 Dレンジ:7.5 S/N:8.0 解像力:9.0 分解能:8.5 レスポンス:8.5 パワー:8.0 パースペクティブ:8.5


【SILTECH】CLASSIC-LEGEND 380USB 132,000円/1.0m(税込)
これまでのケーブルとは明らかに住む世界が違うようだ。天井(天上)から美音のシャワーが降り注ぐこの感覚は、数千万円クラスの超ハイエンドシステムのみぞ知る世界だと思っていた。それが132,000円のUSBケーブル1本で疑似体験できてしまうのだから、むしろ神コスパなのか?ボーカルは高い場所から溢れんばかりのニュアンスで歌い、微粒子化された音の消え際を最後の最後まで余すところなく伝える。そして訪れる無音の“存在感”。凄い。

fレンジ:9.0 Dレンジ:8.5 S/N:9.0 解像力:8.5 分解能:9.0 レスポンス:8.5 パワー:8.5 パースペクティブ:8.5


【TCHERNOV CABLE】ULTIMATE USB 330,000円/1.0m(税込)
サラウンドのような広大な音場の中に、ボーカルが大きく浮かび上がるさまは、海外の富裕層の再生環境を強く意識した音作りであることは間違いないが、それ以上に圧倒されるのが、超ハイエンド・マシマシ系と名付けたくなるような強烈なマッシブ・サウンドだ。正直、今回の試聴環境では有り余るパワーを持て余しているのがわかる。プラグ部分が非常に重いため、ケーブルインシュレーター等で支えることを推奨したい。

fレンジ:8.0 Dレンジ:8.0 S/N:8.0 解像力:8.0 分解能:8.0 レスポンス:8.0 パワー:9.0 パースペクティブ:8.5


【Shunyata Research】SIGMA USB  431,200円/1.5m(税込)
月並みな表現だが、藤井が、テイラーが、眼前に立っているのが見える。そして大河の流れのように達観した表情で滾々と歌うのだ。サウンドステージはどこまでも深い。静かなケーブルだと思われそうだが、時折見せる鮮やかな色彩に耳を奪われることも。さらに不思議なのはバックの演奏で、タメのような時間差を生み出し、それが“後ノリ”のうねりとなる。変幻自在というより千変万化。全てはTAPと呼ばれる巨大な筒の中に秘密があるのだろうか。

fレンジ:8.5 Dレンジ:8.5 S/N:8.5 解像力:8.5 分解能:8.5 レスポンス:8.0 パワー:8.5 パースペクティブ:8.5


【JORMA DESIGN】USB REFERENCE 517,000円/1.0m(税込)
ここまで、シルテック以降のケーブルにはワイドオープンで溢れるような音の出方が共通していたが、今回の最高額である本ケーブルは真逆な世界観を持っている。誤解を恐れずに言うならば、“オーディオライク”な音との決別である。そのため採点項目がことごとくマッチしない。音楽から抽出したエッセンスをギュッと濃縮したコク深い味わいは、例えるならば、19杯のコーヒーのテイスティングをした最後にエスプレッソが出てきた感じである。

fレンジ:8.0 Dレンジ:8.0 S/N:8.0 解像力:8.0 分解能:8.0 レスポンス:8.0 パワー:8.5 パースペクティブ:8.0


製品photo/田代法生
価格はすべて2022年11月3日現在の価格となります