イギリス、所得税の最高税率引き下げを撤回…経済対策の目玉を表明から10日で断念

 

読売新聞オンライン

イギリスのトラス首相(ロイター)

 

 

 

 【ロンドン=中西梓】

 

 

英政府の打ち出した大型減税を柱とする経済対策をきっかけに英金融市場が混乱した問題で、英政府は3日、所得税の最高税率を45%から40%に引き下げる案を撤回すると発表した。先月発足したトラス新政権の目玉政策の一つが、発表からわずか10日で撤回に追い込まれた。

 

 

  【写真】「減税を実施する」と抱負を語っていたトラス氏

 

 

 

 トラス首相は3日、ツイッターで、最高税率の引き下げについて、「英国を前進させるという私たちの使命にとって妨げとなっていた」と表明した。家計や企業の光熱費支援など、他の経済対策は継続する。

 英政府は、最高税率引き下げについて、金融業界の投資と専門性の高い人材を英国に呼び込むためとしていた。だが国内外から、富裕層優遇で格差を拡大させ、経済成長につながらないという批判が相次いでいた。

 トラス新政権は9月23日に、5年間で総額1610億ポンド(約26兆円)の経済対策を打ち出したが、財政収支を大幅に悪化させるとの懸念が広がり、英国債や通貨ポンドが急落した。トラス首相が2日、英BBCのインタビューで「最高税率引き下げは(クワーテング)財務相が決め、知らされていなかった」と発言したことも混乱を招いた。クワーテング氏の辞任を求める声も出ている

 

 

 

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