米メディアが断言「ビザなし来日が認められても、中国人観光客は日本に戻らない」
日本への個人旅行も徐々に解禁?
パンデミック以前、来日する外国人観光客の3分の1は中国人だったが…… Photo: Tomohiro Ohsumi / Getty Images
パンデミック以降、長らく外国人の日本入国は厳しく制限されてきたが、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、近いうちに岸田首相が入国制限の大幅な撤廃を表明すると報じている。個人旅行も解禁され、国によってはビザなしでの入国も可能になると見込まれている。
一方、米メディア「ブルームバーグ」は、日本に来る旅行者は以前とは異なると予想する。パンデミック以前、来日する外国人観光客の3分の1を占めていた中国人の来日が期待できないのだ。 ゼロコロナ政策をとる中国は、観光目的の出国をいまだ厳しく制限している。日本が入国制限を撤廃したとしても、中国からの旅行客が増えるとは考えにくい。 そして、それ以上に問題なのは、中国における対日感情の高まりだ。かつて中国では、日本の製品には高い品質と価値があると考えられ、日本を訪れた中国人たちは日本製の炊飯器や温水洗浄便座、粉ミルクを買い求めた。しかし今では、日本らしさはマイナスになりうるようだ。 8月上旬、中国の蘇州で、コスプレで日本の着物を着ていた女性が、着物を着ていたというだけの理由で警察に拘束される事件があった。日本人のように振る舞うのは良くないというのだ。また、中国のSNSである微博(ウェイボー)では、「中国人が無印良品を買わなくなった理由」というハッシュタグが一時トレンド入りした。 さらに、日本風の雑貨を中国内外で販売してきた名創優品(MINISO)は、日本らしさを売りにしたマーケティング戦略を「誤りだった」として8月後半に謝罪した。同社は中国企業だが、ユニクロを彷彿とさせるロゴを使用し、その商品や店舗には、無印良品や100円ショップのダイソーを思わせる要素もあった。
悪化する日中関係
現在、台湾問題をめぐって日中関係は悪化している。8月、米国下院議長ナンシー・ペロシの台北訪問を受け、中国は軍事訓練を行なったが、それにより日本の排他的経済水域にもミサイルが着弾した。 これ以前に中国で対日感情が悪化したのは2012年で、中国各地で反日デモが発生した。日本政府による尖閣諸島の国有化が引き金になり、日本企業の工場や店舗が襲撃されたのだ。それは習近平を総書記に選出した共産党大会の直前でもあった。 しかし、これ以降は日本を訪れる中国人観光客が急増し、中国人の対日意識もすぐに改善された。訪日中国人観光客は2013年の131万人から、2019年には959万人に増えた。NPO法人の「言論NPO」の調査によると、その間、日本に好印象を持つ中国人の割合も5.2%から46%に急伸している。 しかし、この数字は2021年には32%にまで低下した。パンデミックによって、日中間の人的交流が制限されたことも影響しているのだろう。2022年10月には、5年ぶりに共産党大会が開催される。今回は習近平の3期目入りがかかっており、再びナショナリズムが高まっていることも影響しているのかもしれない。 今後、日中関係改善の糸口は見つかるのだろうか。
COURRiER Japon
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