上皇さま「深い心の痛み」、英女王「日本は本当の友人」…大戦乗り越えて強い絆

読売新聞オンライン

来日したエリザベス女王と談笑される上皇ご夫妻と天皇陛下、秋篠宮さま、黒田清子さん(1975年5月、東京都港区で)

 

 

 

 

 8日に亡くなった英国のエリザベス女王は長年、皇室の方々と親交を深めてきた。同世代の上皇さま(88)との交友は70年近くに及び、先の大戦で両国国民に残った心の傷にともに向き合った。お二人の強い絆は、両国民が「本当の友人」になる後押しをした。

 

 

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英国訪問時の晩餐会で、エリザベス女王と歓談される上皇さま(1998年5月、ロンドンで)

 

 

 

 宮内庁によると、上皇ご夫妻は女王死去の訃報(ふほう)に接し、深く悲しむとともに、長年にわたる親交に感謝し、冥福(めいふく)を祈られている。

 上皇さまが女王の戴冠(たいかん)式に出席されたのは1953年。上皇さまは当時19歳、女王は27歳。若いお二人は通訳を介さず、英語で道中の出来事などを語り合われた。

 先の大戦で戦火を交えた英国には、わだかまりを抱えた人も少なくなかった。上皇さまの即位後初となった98年の訪英では、ロンドンでの歓迎パレードで、旧日本軍の捕虜だった英国人団体が馬車列に背を向ける抗議行動もみられた。

(写真:読売新聞)

 この日の夜、バッキンガム宮殿で開かれた晩餐(ばんさん)会で、上皇さまは「戦争により人々の受けた傷を思う時、深い心の痛みを覚えます」と述べられた。女王は両国の長い歴史に触れ、「英国は、晴れた日だけの友人(危機に頼れないうわべだけの友)ではなく、本当の友人なのです」と応じた。

 女王がご夫妻を温かくもてなす姿は、現地で広く報道された。側近の侍従として随行した佐藤正宏さん(81)は「英国の人たちとの交流を重ねていく中でわだかまりは解けていったと感じた。上皇さまと女王の長年の親しい交流が土台にあったからだろう」と語る。

 2012年には、上皇さまは女王の即位60周年祝賀行事に参列するため訪英。その3か月前に心臓手術を受けたばかりで体調は万全ではなかったが、訪問を強く希望された。

 今の天皇陛下(62)も、1975年の女王来日時から交流を重ねられてきた。83~85年には英国に2年間留学。訪英のたびに女王から手厚くもてなされ、テムズ川のクルーズに招かれたこともあった。9日に公表した文書で陛下は「様々な機会に温かく接していただき、深く感謝したいと思います」とつづられた。

 陛下の即位後初めての外国訪問先は英国に内定しているが、コロナ禍で延期された。陛下は「英国に御招待いただいたことに、心から感謝しております」と記された

 

 

 

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