奪還したヘルソンの一部にウクライナ国旗が翻る
<ロシア軍の支配下にあったウクライナ南部ヘルソン州でウクライナ軍が一部の村の奪還に成功。ロシア軍の弱点をつく効果的な攻撃を行っている>
占領したヘルソンの街の中心部に陣取るロシア軍の武装トラック(7月25日) Alexander Ermochenko-REUTERS
ウクライナ軍は4日、南部ヘルソン州のヴィソコピリア村の病院にウクライナ国旗を掲げた。昨年3月3日、ロシアのウクライナ侵攻開始から1週間後にロシア軍に制圧されたこの地域の奪還に成功したからだ。
ヘルソン州議会のユーリー・ソボレフスキー第一副議長はテレグラムで、ヴィソコピリアがロシアの支配から解放されたと発表した。ケルソン州の北、ドニプロペトロフスク州との行政上の境界に位置するこの村は、ドニエプル川の黒海への出口にあたり、戦略的に非常に重要な場所だ。 キーウ・インデペンデント紙はツイッターで、ウクライナ軍の部隊がヴィソコピリアで国旗を掲揚したことを伝えた。 イギリスの王立統合軍事研究所のサミュエル・ラマニ准研究員もツイッターで、村の病院の屋上に国旗が掲げられたと述べた。「ウクライナ最新情報」など他のツイッターアカウントも、同じ内容の発表をした。 と、ラマニはツイートした。「ロシアは占領後のへルソンで旧ソ連時代の勝利の旗を掲げ、ウクライナのナショナリズムを示すものを取り締まったと伝えられている」 2月24日の侵攻開始以来、ロシア軍は数十の町や村を占拠した。多くの住民は自宅を出て、逃げざるをえなかった。ロシア軍支配地域から脱出した人々の中には、徒歩や自転車、車椅子で、必死に逃げてきた人々もいた、と米公共放送ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)は7月に報じている。 ロシア軍の弱点を叩く ソボレフスキーは、ウクライナ軍は5日に反撃を開始し、ヘルソン地域でいくつかの目標を達成することに成功したと語った。 ロイター通信によると、ソボレフスキーはへルソン、ベリスラブ、カホフカ地区でのウクライナ軍の反撃に触れつつも、「今は特定の勝利について話す時ではない」と述べ、「今こそ我が軍を支援する時だ」と言った。 ウクライナ軍は、南部での攻防について情報は明かさないとしている。だが大統領府は同地域で「大きな爆発」と「厳しい戦闘」があったことを発表し、ウクライナ軍は弾薬庫と、ロシア軍に物資を送るために必要なドニエプル川にかかる大きな橋を破壊したと付け加えた。 イギリス国防省は3日、ウクライナ軍は最近、ロシアの指導力や管理力の低さ、後方支援の薄さを利用して、ロシア軍に対する勝利を前進させたと発表した。さらに、ウクライナ空軍はムィコラーイウ地方で「カルトグラフ」と名付けられたロシアの偵察用ドローンを撃墜した。
ファトマ・ハレド
奪還したヘルソンの一部にウクライナ国旗が翻る(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース