外皮こそ脱炭素に“即効”、新発想のファサードを次々開発
山梨知彦氏(日建設計CDO)
菅原 由依子
日経クロステック/日経アーキテクチュア
ファサードの名手である、日建設計の山梨知彦チーフデザインオフィサー(CDO)は、
2030年以降に向けた挑戦を既に始めていた。
メディア初公開の
新型ルーバーなど、アイデアは尽きない。
(聞き手は菅原 由依子)
脱炭素時代において、建築のファサードはどれほど重要な役割を占めると思いますか?
建築の脱炭素化には2つあって、1つは運用時のエネルギー抑制。
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)に近付けていく概念です。
もう1つが、
エンボディード・カーボン(資材調達から輸送、建設、改修、解体における二酸化炭素排出量)の抑制。
ある公表資料によると、省エネ性能の高いZEBは、実は外皮性能も良くなっている傾向が表れていました。
日建設計では環境配慮ビルを設計するときに使う資料があります。
一次エネルギー削減効果の高い環境配慮技術を順に並べた表が描かれていて、そこで示された最も効果の高い項目が、「空気層をまとう外装計画による外部熱負荷の低減」です。
設備の項目は、
例えば
エコキュートの採用など、
1つずつの効果は小さくても、積み重ねることができる。
それでも、脱炭素に即効性のある部分は、意外に外皮なのです。
さらに言えば、大型ビルは外皮の貢献度合いが小さい。
小型ビルであるほど外装の役割は大きく、
外皮性能の高いビルをつくることが急務といえます。
これは非常に面白い傾向だと思っています。
山梨 知彦氏
日建設計 チーフデザインオフィサー 常務執行役員
1960年生まれ。84年東京芸術大学建築科卒業。東京大学修士課程を経て86年、日建設計に入社。2014年「NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)」で日本建築学会賞(作品)などを受賞
(写真:的野 弘路
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