止まらぬ日野の不正、親会社の豊田社長は「極めて残念」[新聞ウォッチ]
中型や大型のトラック・バス向けエンジンの排ガスや燃費試験のデータ改ざんが相次いで発覚し、存亡の危機にさらされている日野自動車で、今度は小型トラック用のエンジンでも新たに不正が見つかったという。 今回、不正が発覚したのは主力の小型トラック、日野『デュトロ』に搭載されている自社エンジン。8月2日の特別調査委員会の調査報告後に、国土交通省の立ち入り検査でも、排ガスを2回以上測定しないといけないところ、1回しか行っていなかったという手抜き試験が指摘されて発覚したもので、夏季休暇明けの8月22日にオンラインで緊急記者会見を開いて発表。小木曽聡社長は「弁解の余地がない」などと謝罪した。 今回の小型トラック向けエンジンの不正発覚で、自社エンジンを搭載した全車種の生産・出荷が止まることになり、業績への影響が拡大するのは必至で、まさに経営は“火の車”状態とみられる。 きょうの各紙にも「日野『不正体質』深刻、業績へ影響拡大必至、国交省、重い処分検討」(読売)や「日野経営に打撃深刻」(朝日)のほか、「日野自、経営責任免れず、追加不正公表わずか半月で」(毎日)などのタイトルで取り上げている。 親会社のトヨタ自動車の豊田章男社長は8月2日の調査報告後には、「お客様の信頼を裏切り、大変遺憾に思う」とのコメントを発表していたが、今回発覚したエンジン不正問題については「ステークホルダーの期待や信頼を再度大きく損なう事態に至ったことは、親会社としても、株主としても極めて残念」として、前回の「遺憾」から「残念」に表現を改めた。 また、産経などによると、トヨタの長田准執行役員が取材に応じ、「親なので子供がしたことはわびるが、自立した子供でもあり、どう変わっていくかが必要だ」と突き放したと報じながら、トヨタは「静観の構えを見せており、再生に向けて日野に自立を求めている」とも伝えている。これまで歴代の経営トップや幹部を送り込んで「静観の構え」というのもないようだが……。 2022年8月23日付
●日野、小型車も不正、国内向け全車種販売できず(読売・2面)
レスポンス 福田俊之