海外「水の専門家」が来日時に驚愕 日本では「大昔の水害対策」が今も残っている!
過去の「遺産」がそのままに残る日本
海外「水の専門家」が来日時に驚愕 日本では「大昔の水害対策」が今も残っている!(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース
水の専門家ジュリオ・ボカレッティは、日本には「水管理の遺産」がそのままに残ると言う。そして、そこから世界が学べることが多くあるとも──。
水の脅威から逃れるために
2018年6月初旬、私は関西国際空港から日本に入国した。
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過酷な水害に適応した特異な国
ほとんどの地域で昔の水管理は考古学的には興味深く、文化的にも重要だが、機能的には時代遅れである。だが日本は違う。この国は、熱帯の北緯約20度(沖縄南部)から北緯45度の北海道の先端まで伸びており、中緯度の豪雨が非常に多く、世界でも有数の多様な気候を持つ。 その地形はさらに複雑さを生み出す。梅雨の時期、水は3000もの短くて急な川に集まり、日本の国土の大部分を覆う、若く険しい山々の脇に浸透していきながら、少しばかり残っている平らな土地に沼地や湿地を作る。 西側は日本海と東シナ海、東には太平洋の温かい流れがあり、この国にはとめどなく水が供給されている。まるで誰かがアメリカ本土の真ん中を切って西海岸と東海岸をぎゅっとくっつけ、その細長い土地にアメリカやヨーロッパの同緯度の地域が受けるよりも多くの水で水浸しにしたような感じだ。 これらの条件が生み出すのは著しく複雑な水の問題だ。たとえば首都圏エリアは約3700万人という世界でも屈指の人口が日本の数少ない平野の一つに集中している。ここでは、オーストラリアのダーウィンなどの熱帯雨林気候で有名な地域以上の降水量がある。 日本は環太平洋造山帯(地震活動が活発な太平洋の周縁)の縁にあり、東京のインフラはサンフランシスコやロサンゼルス以上に地震リスクがある。東京に住む人々は、フロリダの人々がハリケーンに耐えるのと同じくらい台風に耐えるだけでなく、アラスカやハワイを脅かすほどの破壊力を持つ津波被害のリスクも抱えている。 このような環境では、どのような治水も幻想であり非常に大きな挑戦だ。日本は何世紀にもわたってこの課題に向き合っている。 日本はこのような独特の条件に順応してきたという意味では、珍しい先進国の1つだ。その歴史は、新幹線の車窓からの眺めに現れている。何百年もかけて特異な環境で遂げた進化だ。(つづく) 続編では、2018年の台風7号が到来した際に起きた水害から考察を深める。このとき、京都は比較的被害が少なかったのだが、それは「300年前の設備投資」が役に立ったとボカレッティは指摘する──