旧統一教会問題、底なしの様相 岸田内閣、多難な再スタート〔深層探訪〕

時事通信

記者会見する岸田文雄首相=10日午後、首相官邸

 

 

 

 岸田文雄首相が10日行った内閣改造・自民党役員人事は、骨格を維持しつつ重要課題には閣僚の続投や再登板で対応、党内各派のバランスにも配慮した「手堅い陣容」(同党ベテラン)となった。だが、政権を直撃した世界平和統一家庭連合旧統一教会)問題は底なしの様相を呈しており、払拭(ふっしょく)には程遠い。党内からは「内閣支持率は上がりそうにない」(閣僚経験者)と冷めた声が漏れる。 

 

 

 

 

【図解】岸田内閣の支持率推移  

 

 

◇過去の関係は問わず 

 「社会的に問題が指摘されている団体との関係は、国民に疑念を持たれることがないよう十分に注意しなければならない」。首相は10日の記者会見で、旧統一教会への対応を自ら切り出した。  閣僚の人選に当たり、首相が最も神経を使ったのは、教団との関わりだ。政府では首相側近の木原誠二官房副長官、党側では梶山弘志幹事長代行が、それぞれ「身体検査」を担当。改造前の閣僚のうち、教団側に祝電を打ったり選挙で支援を受けたりするなどの接点が判明していた7人は全員、閣外に去った。  だが、初入閣組や続投組も「シロ」とはいかなかった。岸田派所属の寺田稔総務相が2018年、教団の関連団体の会合に参加費2万円を支払っていたことが10日になって発覚。留任した山際大志郎経済再生担当相も会見で、18年に関連団体のイベントに出席していたことを明かした。  首相は入閣を打診した際、教団との関係の点検を求め、「結果を踏まえて厳正に見直すことを了解した者のみ任命した」と会見で説明。過去の関わりには事実上、目をつぶった格好だ。議員本人もきちんと把握していないケースもあるとみられ、党関係者は「統一教会と党所属議員の問題はこれからも出てくるだろう」と諦め顔だ。  首相は全閣僚に説明を尽くさせることで乗り切る構えだ。就任会見は深夜に及ぶことを理由に、祝日明けの12日に先送りしようとしていた官庁は少なくなかったが、首相官邸は全閣僚に対し、10日中に会見して説明するよう急きょ指示した。  

 

 

◇「配慮し過ぎ」

  今回の人事は、昨年10月の衆院選と7月の参院選を乗り切り、本格政権の足場を築いた首相がどのような陣を敷くかが注目された。  派閥ごとにみると、安倍派と麻生派が各4、茂木派と岸田派が各3、非主流の二階派が2、無派閥2と、各派への配慮が鮮明になった。ただ、各派が求めた「入閣待機組」の起用には必ずしも応じず、喫緊の課題である新型コロナウイルス対策に山際氏とともに当たる厚生労働相に、茂木派から経験者の加藤勝信氏を起用。国家安全保障戦略など関連3文書の改定を年末に控える防衛相には、無派閥の浜田靖一氏を再登板させた。  結果として留任と再登板が合わせて10人と、初入閣の9人を上回った。自民党ベテランは「各派に配慮し過ぎで斬新さがない」と冷ややかに語り、首相周辺も「派手さはない」と認めた。  唯一、目玉人事になり得ると目された菅義偉前首相の入閣もなかった。ただ、昨秋の総裁選で菅氏が推した河野太郎氏が、菅氏肝煎りで発足したデジタル庁の担当閣僚に就任。菅氏は「これはいいよね」と満足そうに語ったという。同氏と気脈を通じる森山裕氏の選対委員長起用と併せ、首相は非主流派の取り込みにひとまず成功したようだ。  公明党とも神経戦があった。12年の政権奪還以降、公明党の「指定席」となっている国土交通相を取り戻そうという動きが自民党にあったためだ。だが、公明党は来春の統一地方選をにらみ「非常にうまみのあるポスト」と手放す気はさらさらなかった。同党の山口那津男代表は8日に首相と会談した際、「国土交通相には斉藤鉄夫さんをよろしくお願いします」とくぎを刺した

 

 

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