元徴用工とされる女性に「99円支払い」で物議
元徴用工訴訟を巡る日本企業資産の「現金化」が迫るなか、日本年金機構が年金加入を確認した人に「99円」を支払ったことへ支援団体が猛反発です。 韓国の元徴用工支援団体「日帝強制動員市民会」によりますと、日本年金機構が年金番号を控えていた元徴用工とされる女性に、厚生年金への加入事実が確認されたとして脱退手当金99円を支払ったということです。 支援団体は4日に会見し、この金額は当時支払われるべき金額で現在との貨幣価値の差を考慮していないとして、「悪質な愚弄(ぐろう)で弱いものを踏み潰す日本の本当の姿だ」などと反発しました。 また団体は、こうした事態を招いたのは日韓関係改善を急ぐ「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の態度に問題がある」などと主張しています。 元徴用工を巡っては、韓国政府が主催する現金化回避のための方策を協議する「官民協議会」に原告側弁護士らが今後参加しないと発表するなど、韓国内で対立が深まっています。
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元徴用工とされる女性に「99円支払い」で物議(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース
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「下手に譲れば…」レッドライン越える?元徴用工問題、迫る日本企業の現金化期限
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韓国大法院(最高裁)が元徴用工訴訟で敗訴した日本企業の資産の現金化手続きを8~9月にも最終確定するとの見方が出ている。日本政府は現金化を「レッドライン(越えてはならない一線)」と見ており、現金化されれば日韓関係は根底から崩れかねない。韓国政府は「官民協議会」を立ち上げ、代位弁済案などを検討しているが、一部の原告支援団体は反発し、会合への不参加を決定。タイムリミットが迫る中、先行きはまだ見通せない。 【写真】「撤去した像を返せ」市民団体メンバーともみ合う警官隊=2019年 「深刻な問題なので具体的な措置を考えている」。日本の外務省は7月下旬、現金化された場合は対抗措置を取るよう検討していると自民党部会で説明した。 日本政府は、元徴用工への損害賠償を含む戦後補償問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」との立場。現金化を韓国政府が容認することは協定を破棄することに等しく、日本政府としては受け入れられない一線だ。
韓国の最高裁は2018年10~12月、日本企業に対し元徴用工らへの賠償を命じる判決を確定させた。日本企業が賠償に応じなかったため、原告は日本企業の韓国内資産に対する差し押さえを要求し、韓国の裁判所は承認。株式や商標権などが押収され、現金化に向けた手続きが進んでいる。 韓国政府も現金化が実施されれば、日韓関係に深刻なダメージを与えると認識している。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は、三権分立を尊重する立場から解決に向けた具体的な対策は取らなかったが、日韓関係改善を目指す尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は現金化を避ける方法を模索。朴振(パク・チン)外相は7月18日の林芳正外相との会談で「現金化される前に望ましい解決方法が出てくるよう努力する」と発言した。 韓国政府は同4日に支援団体、訴訟代理人、財界、マスコミ関係者などによる「官民協議会」を設置。これまでに2回の会合が行われ、日韓両国の企業や個人による寄付で基金をつくって原告への賠償に充てる代位弁済案が浮上している。 さらに韓国外務省は同26日、最高裁に対して政府が解決に向けた取り組みを進めていることを説明する意見書を提出。司法判断の先延ばしを期待する意図があるとみられる。 だが、原告側代理人弁護士らは今月3日、外務省が文書を提出したことは現金化手続きを遅らせようとする狙いがあり、司法軽視の行為だとする声明を発表。記者会見で「外務省との信頼関係は破綻した」と批判し、今後の協議会に参加しない意向を示した。 一部の原告支援団体も既に「日本企業の謝罪と賠償以外に解決策はない」と不参加を表明しており、協議会の正当性は損なわれつつある。 尹氏の支持率が低下していることも解決に向けた動きを遅らせる可能性がある。世論調査会社「韓国ギャラップ」が7月29日に発表した調査結果によると、尹氏の支持率は28%。国民感情を左右する歴史問題を解決に導くには世論の後ろ盾が必要で、原告側の同意を得ないまま代位弁済案を進めるのは困難とみられる
日本政府も、安易に解決案を受け入れれば保守層から反発を受けることが予想され、慎重姿勢を崩していない。朴氏が訪日した際もマスコミは外相会談の冒頭取材も許可されず、会談後の会見も省略された。 日韓両政府は15年に慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」で合意したが、文政権によって合意は事実上、破棄された。岸田文雄首相は当時の外相として奔走したあげくメンツをつぶされた苦い経験もある。 北朝鮮が核・ミサイル開発を進め、台湾を巡り米中関係の緊張が高まる中、日韓連携の必要性は増している。岸田氏周辺は「首相も歴史問題を解決したいという思いはあるが、下手に譲れば『弱腰外交』と批判されかねない。微妙な空気の中でどう判断するか、とても難しい」と話している。 (ソウル山口卓
「下手に譲れば…」レッドライン越える?元徴用工問題、迫る日本企業の現金化期限(西日本新聞) - Yahoo!ニュース